見出し画像

【タコメーター】【オートパイロット】タコピーピー問題とオートパイロットの死を思う

今回はヨットに行かず、安楽椅子探偵的に、お家で修理(の準備)…というか思考実験的準備ですよ。
電気なのでね、理論武装して行かないと現地に行って「えーっと、この線がこう…」なんてやってられませんからね。

さて、タイトルにある、タコピーピー問題と聞くと思い出すのは…
新月の夜は島の西の浜にタコが上がって来てピーピーとうるさく鳴く「蛸鳴き」とか「蛸の浜上がり」と呼ばれる現象があり、大きな被害こそありませんが、稀に飼い猫が消える、魚網が荒らされるなどという事も。
そこで毎年秋の彼岸前には、その島では「お鱓殿(おうつぼどの)」と呼ばれる、タコが嫌うウツボを模した人形… というかカカシを、漁協の青年部が浜辺や漁港、浜沿いの道のバス停近くに何十個も置いていく、「鱓置き(うつぼおき)」と呼ばれる行事があります。
たまにテレビなどで放映されますから、見たことのある方も多いのではないでしょうか?
この「お鱓殿」と呼ばれるカカシ、本物のウツボの頭部や黄色い皮、そして赤鱛(アカエソ)と呼ばれる種類の魚のヒレが取り付けられていますが、秋の雨が長く降り続いたある年、ウツボやエソが全く獲れず、「お鱓殿」が例年の三分の一程度しか作れませんでした。

画像6

左がウツボ、右がアカエソ(どちらもその島ではなく私が釣ったもの)。

それでも真水を嫌うと言われているタコですから、この続く長雨では流石に蛸鳴きは無かろうと漁協の長が判断し、鱓置きが4、5日程遅れたと言うのです。
これが後に、その寂れた漁村の人々を二分し、そして多くの犠牲者を出す事になるタコピーピー問題になろうとは…
と言うのは、今考えたホラ話です。
タコは鳴きませんし陸(おか)には上がって来ません、ウツボ型のカカシも存在しません。
そう、あなたがウソ話と思えば、これはウソです。
しかしこの話は瀬戸内海西部、ある小さな島だけに生息するタコの習性と、その漁村の風習なのかもしれませんよー、うひひひ。

という感じの無駄な枕は良いとして、前回出航した際に…

・オートパイロット(オートヘルム)の電源が入らない
・突然タコメーターがダウンし、警告音がピーピー鳴りっぱなし

と言う問題が起きた事を書きましたが、どちらもぱっと見(リアルにぱっとしか見てない)では原因不明。
困ったもんだ… と言いつつ、夏の太陽に灼かれて熱中症寸前と言う事で、ちゃんと見る事も無く家に帰って来てしまいました。

次回マリーナに行った時には故障箇所の発見と修理をするわけですが、向こうに着いてから
「さーて、配線はどれを見ればいいかな?」
なんてやってたら、日が暮れるか、あるいはその前に再び灼熱の日光に灼かれてしまいますので、事前に家で予習をしておきますねー。

まずはオートパイロット(オートヘルム)ですが、ウチのは外付けの…

画像1

↑これですわ。
小型ヨットのデファクトスタンダードとも言える、RaymarineのST1000。

いかにもアメリカンな設計というか、アメリカのものづくり思想の権化のような製品です、良くも悪くもね。

原因究明ですが、むかーーーし、私がアップルのMacintosh Centris 650と言うパソコンを使ってた頃ですから30年近く前ですか?そのパソコン、急に電源が入らなくなりまして、電源ユニットの故障とは思いつつも、念のためにサポートに電話をしますと、

サポート:「お客様、まずは電源のプラグはコンセントに…」
私:「はい、入ってますよ(当たり前だろ!)
サポート:「では次に、その電源コードは本体にしっかり挿さって…」
私:(またかよ、当たり前だろ!)「はい!」
プスッ!
あ、あれ??
私:「い、いや… す… すみません… コネクタが奥までしっかり入ってなかったようで…」

みたいな事がありましてですね、それ以降、本当に基本の基本から確実に確認をするようになりました。

まずは電源が来ているかの確認。
電源が来ていれば、後は本体の問題。
これは外付け(=取り外し式)の強み、もし本体がダメなら家に持って帰るなどしまして、腰を据えてじっくり修理出来ます(外は暑いからね)。

というわけで、12V電源はカプラーのピンのどれにアサインされているのか検索すると…

画像2

ふむふむ、この2つが+と-ですね、了解了解。
カプラーまで電気さえ来ていれば後は本体の問題、本体がダメならバラしてみます。
逆にここまで電源が来ていなかったら、この配線が生きているかどうか?元のスイッチ周辺は?と辿っていくしかありませんなぁ。
ま、電源がどのピンにアサインされているか確認出来たので、オートパイロットはこれでOK(じゃないけど、いいです)。

次にタコメーター。
うーん、これは正直心配ですわ…
価格を調べてはいませんが(←怖くて)、タコメーターの交換なら、タコメーター単体でも5〜6人、メーターパネル全体交換なら最低でも10人の福沢諭吉が殺される程度の被害はありそうです。
貴重な人命(と言うか1万円札)を無駄に費うわけにはいきません。

とりあえずウチのエンジン、2YM15の配線を見てみますと…

画像3

左下の黄色く塗った部分が計器パネルアッセンブリー内。
その中の一番下がタコメーターですが、タコメーターと警告灯、警告ブザーは同一上の配線で結線されています(赤色に描いた線)。
前回、ブザーは鳴り続けていましたが(つまり通電した状態ですが)タコメーターは死んでいました。
という事は、ここの3Aのヒューズは切れてはおらず、警告灯やブザーへ向かう線も生きているという事ですから、計器パネルの中を見るなら(タコメーターユニットを除けば)赤く描いた線だけ確認すればOKのはず。
しかし、このアッセンブリーの中を見るのは最後。
なぜなら一番断線し難いイメージのある場所だし、タコメーターが壊れてない限りは大丈夫っぽいから。

次に、オレンジに描いた線。
タコメーターから直接オルタネーターにつながっていますが、これを最初にチェックする事になりそう。
その間に何らかの可動部(巻き込まれたり挟まれたりね)はありませんから、線自体の断線の可能性は無い気がしています。
何か問題が見つかるとすれば、ハーネス間を接続するコネクタとか、その中のギボシとかかな。
目視で問題が無いようなら通電テストして、最終的にはオルタネーター(というかエンジン)を回して見るしかないかなー。

このオレンジの線が生きているなら、次は黒い線。

黒い線も配線図を辿っていくとオルタネーター、そして同線上にはスターターリレーとエンジンストップソレノイド、エンジンストップリレー、グロープラグリレーにつながっています。
グロープラグはわかりませんが、スターターとエンジンストップ関係はちゃんと動いていましたので、こっち方面はあまり気にしなくてもいいかと考えています。つまり、こっちも基本はオルタネーターまでのラインを追えばいいと。

どちらも大丈夫なら、やっぱり本丸の計器パネルの中、そしてタコメーターユニットそのものの故障ですよねぇ…

ヨットに行ったらまずは一回エンジンを始動してみて、前回の故障再現を。
これで直ってたらややこしい話に… 下手すると故障原因が不明なまま、ずっとヒヤヒヤしながら運用する羽目にもなりかねません。
おそらくそんな事はなく、無事(って言うのか?)故障し続けてくれているはずなので、次のステップでは、

画像5

先の配線図と、今回の事象を照らし合わせると、この赤い矢印のコネクターの接続のどこかが死んでいる可能性が高いですから、まずはセオリー通りに、この矢印の各コネクタや接点の確認と、ついでに接点スプレーの噴霧を。
そこで一回エンジンを回して再び確認。
これでダメなら、各線(配線図で色を着けた線)の通電チェックを。
それでもダメなら、やっぱり計器パネルの中ですね…

最初に書きましたが、計器パネルなら福沢諭吉が10人は抹殺される程度の犠牲を覚悟しないといけません。せめてそんな事態は、諭吉様から渋沢栄一様に代替わりするまで待って貰いたいもの(2024年の上期から代わるようですなー)。

画像4

タコメーターだったら多分5人の諭吉を里子に出せば賄えるかもしれませんが、パネル自体も今はこんな感じで痛んでますからね、おそらく
「せっかく変えるなら、アッセンブリーごと全部変えるわ!」
と、謎の逆ギレをしながら計器パネル一式を注文する気がします、こういうのは勢いが大事ですからね!

オートパイロット修理01へ続く

タコメーターが動かない01へ続く