ムスコがGFを連れてきた。
6月で大学3年生を終えるムスコにGFができた。高校時代にもGFがいて大学に行く前に別れたのだが、まぁその別れ方が結構ひどかったのだ、とムスメは言う。一つ下の彼女は納得がいかず、もがきにもがいて挙句の果てにムスコと同じ大学に入学したから口あんぐりで驚いた。とはいっても大きな大学。専攻も違うので構内で会うことはなく、彼女にもBFができて楽しくやっているようだから、ほっとしている。
そもそも、高校時代の彼氏彼女と大学時代のソレとは質も将来へのimplication(意味合い、含意)も違う。だからムスコが大学に入ってから、そしてコロナ禍が明けてから女の子をトッカエヒッカエして、写真を送ってきたこともあったりなかったりして、付き合おうと思ってるんだと言ってきた子もいたけれど、
うちに連れてこない限り、真剣に相手する必要ないから。
というムスメの言葉を素直に聞いていた。
そしたら。Katyaという彼女の名前が、EmilyやIsabelle、あと誰だっけか、なんかに紛れて登場し始めたのが数ヶ月前だったろうか。そしてある日突然、
Katyaと付き合うことになった。彼女、僕のガールフレンド!
と連絡してきた。そして、夏まで帰ってこない予定だったのに、Harry StylesのNYCコンサートに二人で行くことになったので、父親("the Asshole")のところに泊まるという。その翌週にムスメと私がボストンまで会いに行く予定が入っていたから、近くまで来るけどうちには寄らない、というのもまぁいいかと思った。
そしたら、やっぱり家に一泊する、と言ってきた。コンサートは金曜の夜。父親は土曜からヨーロッパに出張で、金曜の夜に家を出るらしい。加えて、9月にEstate Saleをして彼の部屋の家具は全て売っぱらうことになってるから、その前にもう一度、それにKatyaに育った家と部屋を見せたいというのもあったのだろう。
Katyaの車でボストンから二人はやってきた。時間をきちんと守る子に育てたから、夕食に間に合うよう7時までには到着する予定だと連絡があり、当日4時頃にまた連絡を取り合い、あと30分くらいで着くよ、という連絡まで入って、時間通りに二人は現れた。
Katyaの母親はバングラデシュ人で、父親はスコットランド系英国人。彼女はロンドンで生まれた。両親は彼女が小さい頃に離婚し、この父親とは一切関係がないまま育った。8歳の時に母親側の親族がいるボストン近郊に移住。看護婦の母親はアメリカで職についた方が収入がよかったから、だそうだ。母親は再婚したが、1年足らずで再婚相手が癌で亡くなった。それから、私よりもちょと年上の彼女は独身生活を楽しんでいるそうだ。
お花をお土産にもって現れた彼女は、気持ちのいい、かわいい子だった。言動はとても自然で心地よく、ムスコも彼というそのままの姿で彼女と接している。二人とも無理がなく取り繕いもない。母親である私に対しても、モジモジすることもなくリラックスした態度で接し、同時に私がいつも座る椅子はどこかと聞くなど、気遣いも見せる。
ムスコのリクエストで、チキンカツと千切りキャベツ、味噌汁とご飯という夕食を四人でワイワイと喋りながら食べた。
さて。Loanが、同じ部屋に寝かせるのか?と騒いでいた。私が初めてthe Assholeの母親に会いに行った時、同じ部屋に寝たけれど、ギリギリまでどういうことになるのかとドキドキしたのを覚えているから、そういう会話はさっさとすませたいと思っていた。ちょうど食事の時にそっち方面に会話が動いたから、この機会を逃さず、と
「寝る部屋だけど、私は二人で同じ部屋で全然構わないけれど、貴方自身が私に対してぎこちないって感じるのなら、ゲスト用のベッドはあるからね。私もムスメも同じ階にいるわけだから、sexual activityに及ばない限り、一緒に寝ていいよ」
と言ったら、三人とも笑った。
なんでも思ってることを正直に言った方がウマクイクことが多い、と思う。
私もムスメもKatyaのことを気に入った。
We like her.
持たせる荷物を車に積みながら、ムスコにこそっと言ったら、にっこりした。気に入らないわけがない、と最初から思っていたような笑顔だった。
ただただ好きで書いています。書いてお金をもらうようになったら、純粋に好きで書くのとは違ってくるのでしょうか。