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今日はスズランの日

登場モノ

雨漏如雨露:如雨露の妖精

しゃべる奈:如雨露の妻、シャベルの妖精

雨漏如雨露(あまもりじょうろ)とその妻しゃべる奈(しゃべるな)は貧しいながらも肩寄せ合って暮らしていた。

ある日、如雨露が水漏れしながらもプランターに水を撒いていると大きな虹が出来た。

しゃべる奈は虹が美しい橋のように見えて足をかけてみるとそれは本物の橋で彼女は橋を渡ってみようと思った。

キラキラ光る橋を渡り終えるとそこには一面に白い花が咲いて花の甘い香りで頭がクラクラするようだった。

一輪でもこの花を積んで、如雨露にも見せてやろうとしゃべる奈は考えた。

彼女は名残惜しかったけれど、また橋を渡った。

次に彼女が見たのは如雨露の心配そうな顔だった。

しゃべる奈はああ、自分は倒れて寝てしまい、夢を見たんだと思ったけれど、手には白い花が握られていた。

不思議な事があるものだと二人は首を傾けながらも白い花を畑に植えた。

二人の育て方が良かったようで花は日増しに増えた。

二人はこの花から香水を作り、売りはじめたいそうなお金持ちになった。

今までは貧しい暮らしだったので子供は諦めていたけれど、余裕が出来て子供も欲しいと思うようになり、

二人は白い花に語り掛けた。するとその祈りが花から神様のお耳に入ったのか、

ほどなくしてしゃべる奈は白い花のように真っ白でかわいらしい女の子を授かった。

二人は子供にベルと名を付けた。

子供が出来てからはいっそう仕事に励み、ベルもスクスクと育ち、何処に嫁にやっても恥ずかしくない、

それどころか誇らしい娘にベルは成長していた。如雨露としゃべる奈は金も子供も手に入れ、

次に名誉が欲しいと思い、娘を都の名家に嫁がせた。

けれどもそうなってみると、娘は簡単に家に戻ることは出来なくなってしまった。

二人は娘に会えない寂しさから毒と知りつつ白い花を摘んで食べ亡くなった。

娘は家に飛んで帰り父母の死を悲しんだ。

娘は一人、家に戻り二人が愛して育てていた白い花を育て香水を売る仕事を継いだ。

一部始終を見ていた白い花たちは笑うようにゆらゆら揺れた。

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