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今日は箸の日

登場モノ

菜箸之助:菜箸の妖精

その他妖精

台所の片隅、シンク池近くに住んでいる菜箸之助(さいはしのすけ)は早朝に起きて、いつもの散歩。代わり映えしない景色を眺めつつ、今日もヒマだなっと独り言ちた。


まだ薄暗い台所は湿っていて、臭気が漂っていた。昨晩から洗ってもらっていない皿と鍋がシンク丘で主の悪口を盛んに話していた。通り過ぎたら呼び止められて、愚痴られるだろうと警戒し反対の道を通ることにした。


少し遠いけれど、どうせヒマだからと思い、一人用の小さなダイニングテーブルの丘まで足を延ばした。いつもなら、林檎ちゃんか、スッテンコロリン黄色ちゃんがいるのに、今日は誰もいない。


なんだと思い、帰ろうとすると、テーブルの端っこに居たニンニク婆に「お早うございます」と挨拶された。婆は小さく干からびてテーブルにへばり付いていたので、箸之助は気が付かず、驚いて「ああ、お早うございます」と慌てて返事をした。


「今日もお暑くなるのでしょうね?年と共に暑さが身に応えますわ、私はすっかり疲労回復のフォースを使い果たしちゃたんですよ」と婆は続けた。箸之助は足を止めて「まったくね」と答えた。


婆は後ろを振り返り、「お爺さんもそうでしょう?私ら難儀な生まれだから」と声をかけた。しかしそこにお爺さんの姿はなく、箸之助には婆が独り言を言っているように見えた。


一瞬、強いニンニク臭がしたので、みじん切りされて見えないくらい小さくされたお爺さんが返事をしたのだと箸之助は思った。彼は軽く会釈してその場を立ち去った。










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