たたん、

林檎が転がっていくのを見ていた
貴方が罪だと言ったそれが
肚の中に根付いていたことを知っていたでしょう
坂道の上にわたしたちはいない
いつだってこの地面は平衡だ
何処か遠くの世界ではなく
目の前で起こっているというだけのはなし
宇宙は風船の中にあった
そういうことでしょうと形の良い唇が嘯く

足の裏が
その果実を踏み潰してしまえば良かった
わたしたちは愚かなけもの
だから此処が坂道であれば、なんて願っている
祈りにすらなれないものを
世界で一番短い呪いを
与えることも出来ないで

ねえ、わたし、ふこうでしょう

そう言ってしまえれば良かった
まだ制服の魔法がきいているうちに
世界が斜めに
ならないでいるうちに
翅が
もがれないうちに

林檎が転がっていくのを見ていた
此処はいつだって
わたしたちにはやさしくない


BOOTHで幾らか販売しております。無料DLも中にはありますので、ぴん、と来たら触れてみてくださると嬉しいです。
https://nikumaru-shobou.booth.pm/item_lists/nNPTQNNr


#私の作品紹介

この記事が参加している募集

#私の作品紹介

96,076件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?