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ほしのこどもたち

なみだ、を
流すようなひとにはなりたくなかった
わたしの涙が夜空を割って
誰かの願いを背負うようなものには
なってほしくなかった
あの星は
きっとあなたが殺した星
誰も知らない土地に住むひとの
不幸をあなたは願ったのです
そこでは慣用句も通じなくて
魚が空を舞っては虹の上をどたばたと
あなたによくよく似たひとびとが
走っていく
赤茶色の砂が
光にまぎれて紫にかがやいてみせて
戦争なんてことばを
誰もしらなくて
大地が焼かれるようなこともない
雨が降らないかわりに
水を必要としないあなたがいて
きっと銃なんてものを見ても
生命を奪えるものだなんて思わないでしょう

どうか、

偽善だなんて言葉で片付けようとしないで
あなたが、
あなたであったことを
わたしの中から取り去らないで
そのために
わたしは涙、を
こらえるのです
因果関係も何もなかったらよかった
あなたが願うことが
わたしの不幸にならなければよかった

わたしが願っても
あなたは不幸になってくれないのに
どうして
どうして、
不公平なのでしょう
電車はいつだって等間隔
人混みの中に消えるのがうまいあなたは
もう背中も見えない
その足は
一体どんな世界を踏み躙りますか
あなたは
わたしがいいこであろうとすると
文句を言うけれど
あなたはまずもって
そうであろうと、
したことがありますか
あなたがなれなかったものを
わたしに見て、
そうして気に食わないと眉を潜める
それだけなら何も言いません

あなた、が
いつかの
遠い昔に
わたしの元へと落ちてきたのは
誰も
あなたに願わなかったから
あなたの生命はあなただけのもので
消費されたりはしなかった
それを、
忘れてしまって
そのことを
わたしは羨むべきなのかもしれない
わたしは、

わたしは
あなたに

言っていないことがたくさんあります
この世界に綴るのに適した言語がないから
あなたを抱き締めることも出来ないまま
ただ、
こらえるのです
それくらいしか、
あなたを消費しない方法が分からないから

あなたを
愛さない方法が
分からないから

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