スピッツ 『スピッツ』

今や日本を代表するロックバンドのひとつと言えるほど絶大な人気を誇るスピッツだが、彼らの音楽はこの30年間で様々な変化を経験してきた。

そんな彼らの30年間の歴史を辿るために、nikumanのお気に入りのアルバムをいくつかピックアップして、考察していきたいと思う。

(正確には考察ではなくて、ただの感想です)


今回は、スピッツのメジャーデビューアルバム『スピッツ』(1991年発売)について。

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 1987年に結成し、ブルーハーツの影響を受けパンクバンドとしてインディーズ活動をしていたスピッツ。

草野マサムネがガムを噛みながら歌ったり客を煽ったりしていたそう。驚き。

しかし彼らは、ブルーハーツのようなパンクとは少し違うところで自分たちのアイデンティティを見出していった。

草野マサムネはアコギを手にして「恋のうた」を作った。

そういったインディーズ時代の脱皮を経て完成したのがこのデビューアルバムである。

依然として残った彼ら独自のパンクが、ポップやシューゲイザーなどの要素によって彩られている。

このアルバムを聴くと、最初から最後までずっと、透明度100%の生ぬるい海に溺れているような感覚に陥る。(と言うにはあまりにも儚いサウンドかもしれないが)

キラキラしていて暖かいギターのアルペジオ、軽やかで素直なドラム、自由奔放で独特なベースラインが秀逸だ。

そこにのっかる草野マサムネの繊細で儚く、それでいて太やかな声が、時にキモいリリックを放出していて、そのギャップが実にスピッツらしいと感じる。

「お腹のうぶ毛に口づけ〜」とか「君のベロの上に寝そべって〜」とか、そんなに純粋な歌声で歌うようなことですか。好きです。

やはりこのアルバムで最も注目すべきなのは歌詞であるように思う。現在のスピッツにも繋がる独特な歌詞の世界観が既にこのアルバムの時点で形成されている。

さらに言えば、現在のものと比べるとより退廃的に「性と死」を感じさせるような歌詞が多いと感じる。

nikumanのように暗い歌詞が好きな人間は、この時期のスピッツの歌詞にはより一層グッとくるものがある。

さて、このようなアルバムを携えてメジャーデビューしたスピッツは、いくつかのメディアで"ニューウェイブ"として取り上げられたが、CDの売れ行きは良いとは言えなかったそう。

その後、より売れるために大衆受けを意識するなどもがいていた時期に彼らが世に放った音楽もとても興味深い。次回、『CRISPY!』あたりをピックアップしたいと思う。

最後に今回のアルバム『スピッツ』の中からnikumanのお気に入りソングをリストアップしました↓↓↓

1.ニノウデの世界

8.死神の岬へ

10.夏の魔物

11.うめぼし


おしまい

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