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年末軽井沢ステイが最高でした

私は軽井沢が好きだ。特に紅葉シーズンが終わってからの、人の少ない時期。冷たい空気を肺いっぱいに吸い込み、細胞がみずみずしく生まれ変わる感じが好きだ。

(以前まとめた軽井沢偏愛スポットnoteはこちら)

12月20日を過ぎてから「軽井沢に行きたい!」と思い立ち、急いでホテルを探す。全く空いておらずビビる。以前も宿泊した、駅前の「ROSSO」で最後の一部屋を抑えた。12月29日から、2泊3日の旅である。

1日目

10時台の新幹線に乗って、お昼前には軽井沢へ到着。東京からあっという間に到着するのが軽井沢の魅力の一つだ。

夕食までは完全にノープラン。ROSSOさんに荷物だけ預け、旧軽井沢方面へ徒歩で向かう。前から気になっていた「カフェ・コンヴェルサ」へ。

おいしそうなメニューばかりで迷ったものの、「オリジナルのりんご味噌マヨソース」に惹かれてサンドウィッチを注文。セットのドリンクに台湾ウーロン茶があって内心ほくそ笑む。これは完全に自論だけれど、ソフトドリンクの品揃えが素敵なお店は外れがない。

しっとりしたお肉とアボカドに、りんご味噌マヨソースが相性ぴったり。ディナーメニューも美味しそうなものばかりで、友人4人くらいでまた来たい。

店を後にして、万平ホテルへ。どのホテルも空き部屋なしだったというのに、旧軽付近にもほとんど人がいない。万平ホテルのテラスにもすんなり入れた。

アメリカンを注文し、手帳に1年の振り返りを書く。

万平ホテルのテラスは、もう何度通ったかわからない。稀有な空間だと思う。

老舗ホテルのテラスだから、みんな少しおめかししているのだけど、かといって緊張するような雰囲気でもなく、くつろいでいる。懐かしい石油ストーブのにおいや使い込まれた木のテーブルが、この唯一無二の雰囲気を作っているのだろうか。

ビジネス書を読んだりパソコンをたたいたりする感じではなくて、ゆったりと日記を書いたり、談笑したりするのにぴったりの空間。年末を大好きな場所で迎えられてよかったな。

万平ホテルを後にし、仲良しの先輩が教えてくれた喫茶店「ぱいつぼおる」へ移動。穏やかな笑顔のご主人と奥様、薪ストーブ、ログハウス。なんだこの90年代少女漫画に出てきそうな素晴らしいお店は……大好きに決まっている。

紅茶を注文し、しばし読書

ぱいつぼおるを出て、夕食の店へ向かう。「軽井沢ユニオンチャーチ」にも寄り道。夕闇の中でも美しい。

いつも美しく静謐な教会

夕食は予約していた「ラ・モンタニョン」。シャルキュトリが美味しいと評判のビストロだ。食べログやGoogleマップのレビューが極端に少ないが、そのどれもが高評価という、私的に「おいしい店」だ。

ギンガムチェックのクロスに、さらに期待が高まる。

まずはアンチョビモッツァレラトースト。

たまらなく美味しかった。ザクザクのフランスパンに、オイルで伸ばされたアンチョビがしみしみ。とろけたモッツァレラチーズがアンチョビの塩気を中和している。また好きな食べものが増えた。

他に、リヨンのサラダと海老ドリアを注文。一人でもりもり食べる。

海老ドリアはぐつぐつの状態でサーブされて濃厚なソースが格別、リヨンのサラダは美味しいシャルキュトリとビネガーのきいたベビーリーフ、マスタードのアクセントが「たかがサラダ」などと言わせないおいしさ。

小さなビストロに他の客はおらず、ゆっくり贅沢な時間を過ごさせていただいた。ほかにも気になるメニューがたくさんあったので(特にシャルキュトリたっぷりの「大人のナポリタン」)、ぜひ再訪したい。

その後、ホテルへ戻り、友人たちとオンライン忘年会。「今年面白かった本」などを教えてもらう。12時ごろには眠くなり、就寝。

2日目

朝8時ごろに起床。昨日の忘年会で教えてもらった本を買うために、ホテルから歩いて5分ほどの「軽井沢書店」へ向かうとする。

朝食は「軽井沢書店」向かいのパン屋「トリュフベーカリー」へ

このパン屋は東京にも店舗があると今まさに知ったのだが、(おそらく)長野限定の「長野ミルクパン」がべらぼうにおいしかったので悔いはない。

優しい味わいのミルククリームがたっぷり入っていて、しかし全くくどくなく、最後までおいしく食べられた。

一口目で『おいしい!』と感動するものよりも、食べ終わった時点で『ああおいしかった』と思えるものを作るほうがより難しいのでは?と最近思っている。ほかにも人気No.1の「白トリュフの塩パン」も食べたのだが、これもおいしかった。朝食がおいしいと、一日の何もかもが上手くいく気がする。

朝食を済ませ、道路を渡ってすぐの「軽井沢書店」へ。軽井沢には何度も来ているのに、どうして今まで来なかったのかと後悔するほど最高だった。

書籍のチョイスが最高。併設のカフェスペースも最高。こんな書店が東京にあったら、激混みだろう。(二子玉や中目黒の蔦屋書店のような有様になってしまう)

昨日友人に教えてもらったオードリー・若林の「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」、同僚おすすめの原田マハ「生きるぼくら」、以前から気になっていた寿木けい「土を編む日々」ツレヅレハナコ「旨いもん閻魔帳」を購入。

本は「いいな」と思うとすぐに購入してしまうけれど、【本で破産した人】は聞いたことがないから大丈夫だと思っている。

そのまま午前中は併設のカフェで「表参道のセレブ犬~」を読了。オードリー若林のキューバ・モンゴル・アイスランド旅行記なのだが、これが最高に面白かった。この本を教えてくれた友人と私は卒業旅行でキューバに行ったのだが、若林は我々の数か月後にキューバを訪れていたのだ。真冬の軽井沢にいながら、キューバのあの熱く穏やかな空気が鼻先に蘇るようだった。

昼食は予約していない。昨晩の「ラ・モンタニョン」の大人のナポリタンが食べたくて店を訪れたものの、ランチはお休みだった。雪もちらついてきたため、向かいの「ちもと」でみそ田楽とちもと団子を食べる。

この日は購入した本たちを読みたくて、喫茶店をはしごすることに。まずは「万平ホテル」でアメリカンを注文し、「土を編む日々」を読了。

季節ごとにそれぞれの美しさをたたえた万平ホテル
歩いていて自然と笑みがこぼれるほど好きな道

昼食が軽めだったため、16時すぎにはおなかがすいてしまい、「川上庵」へ。川上庵はいつも恐ろしく混雑しているが、15時~16時頃はかなりの確率で並ばずに入店できる。

この日もその限りではなく、季節の天ぷらそばと、葱の前菜を注文。川上庵はおつまみがおそろしく充実していて、あれもこれも食べたくなる。オーナー、絶対に食いしん坊だろうな。

季節の天ぷらは牡蠣

川上庵のフロアマネージャーらしき男性の仕事ぶりにいつも惚れ惚れする。目がいくつあるんだろうかと思うほどの視野の広さ、簡潔でわかりやすい指示。軽井沢は「いい仕事」を目にする機会が多いなと思う。万平ホテルのスタッフさんたちとか、カフェのオーナーとか。プロフェッショナルたちのおもてなし、最高だ。

昨日に続きまたも「ぱいつぼおる」に移動。チーズケーキとコーヒーを注文し、「生きるぼくら」を読む。チーズケーキはしゅわしゅわと口のなかで溶けるタイプで、とても美味しい。

日が暮れる前にまた軽井沢書店へ移動し、紅茶を注文して「生きるぼくら」を読み進める。ホテルに戻ってお風呂に湯をはり、半身浴をしながら読了。

自分では絶対に手に取らないタイプの本だったが、夢中で読み進める、という読書体験を久々に堪能した。幸福そのものだ。

「生きるぼくら」をはじめ、友人に勧められる本の多くが「登場人物がみな良い人で、多少のご都合主義展開も含みながらハッピーエンドで終わる」だなと思う。こうした物語を必要とする人が多いということだ。

日付が変わる前には就寝。日中よく歩いているのと、寒冷地ゆえに室内はとても暖かいので、すぐに眠たくなる。

3日目

8時前に起床。外は雪がちらつき、すでに5cmほど積もっていた。昼過ぎの新幹線で軽井沢を出るから、あまりゆっくりもできない。万平ホテルに行こうか迷ったものの、さすがにこの雪では…と思いとどまる。

雪道さえも絵になる

雪の中、ホテルから徒歩15分ほどの「ストーブカフェ・オキザリス」へ向かう。ここも待たずに入店できラッキーだった。

スジャータがこれほど美しく並んでいるさまに、「ここは絶対にいい店だ」と確信を得る。神は細部に宿る。その後、紅茶のカップがあたためられた状態で出てきたので、先ほどの確信が間違いではなかったとわかる。

オレンジシュゼットのフレンチトーストと、セットの紅茶、それから「ロティ」のハーフサイズを注文。

フレンチトーストもじゅわっと柔らかく、オレンジのソースをたっぷり絡めて食べる。ロティ(千切りしたじゃがいもを焼いたもの)もおいしい。フレンチトーストにかかった粉砂糖が外をちらつく雪に似ていて、勝手にうれしくなってしまう。

紅茶もポットにたっぷりと。4杯分はあったと思う。幸福な朝食の時間だった。ここも再訪したい。

店を出て、この2日間で3回目の軽井沢書店へ。新幹線で読むためにアガサ・クリスティの「死との約束」と、フェアコーナーにあった谷川俊太郎の詩集を衝動買い。フェアコーナーも「星の王子さま・谷川俊太郎・宇宙×宮沢賢治」という素晴らしいものだった。

インテリアも美しい

完全にノープランで訪れた年末の軽井沢だが、最高だった。自然と美味しいものを堪能しつつ、静かに読書や一年振り返りをしたい年末にぴったりの場所。

軽井沢にしっかり癒されたので、また新しい一年もそこそこに頑張ろうと思う。

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