地獄でなぜ悪い



初めて一人暮らししたのは確か26歳くらいの時。
きっかけは当時付き合っていた彼との同棲解消だった。

今の生活を考えると、当時の彼とは別れてよかった〜!!!なんて思う。
過去の事を考えるとやっと少しずつ答え合わせができている気持ちになる。


だが同棲解消した時は地獄がやってきた。
と思った。

悲しい気持ちに浸ってる暇もなく、引っ越さなければ!!という使命感にかられたが、
引っ越したばかりでお金もなかった為、
(同棲は約4ヶ月しか続かなかった。笑)
人生で初めてのキャバクラで働こうと決心。
まさか自分がキャバクラで働こうと思う時が来るとは、、、すごく不安な気持ちと同時に、少しだけワクワクする気持ちもあった。

なぜキャバクラを選んだか。
1番の理由は早く引っ越したかったけどお金がなかったから。
一刻も早くお金が欲しかった。
そして一刻も早く引っ越したかった。笑
その次に思ったのは、お酒を飲んでトークするなら少しはできるんじゃないか?
お酒も好きだし、そんなに弱くないから大丈夫だろう、、、。
住んでるところも五反田から歩いて15分くらいのところだったのでちょうどいい。

当時わたしはたまに1人で飲み屋に行くことがちょっとした趣味だった。
1人で飲んでいると、
『若いのに1人で飲み歩いて〜』と、しょっちゅうおじさんに話しかけられていたため、男の人と話すのは得意なんじゃないかと少しだけ思っていた。
(もちろん一杯だけ奢ってもらって帰っていた)

うん、引っ越し代が貯まったらやめよう。
そう決心して、ついに夜の世界へ踏み出した。

まずはどのお店で働くか、
アルバイト情報で探すといい良いお店か、変な店なのかわからないなと思ったので
お客さんが検索するようなサイトで、お店の口コミが良い所で探した。
2番目に口コミが良いところがアルバイト募集もしていたのでそこに決めた。
面接で内心ビビりながら雑居ビルに入って行ったのだが、
中に入るとドラマでみたセットのような、思い描いていた世界が広がっていた。

店長さんはとても感じが良くて、引っ越し代を稼ぎたいと話すと、不動産の知り合いいるから女性限定の賃貸で安めなところ探してって聞いてあげるよ!
と言ってくれた。
(その不動産屋さんでとても良い条件で部屋を借りれた。)
面接は終わり、
今週末から来てね。
と、働くことが決定。
なんだか違う世界にきた感じがした。
(まだ働いてないよ。)


わたしは物事ついたくらいからパティシエを目指してきたので、飲食店関係の仕事ばかりしてきた。
なので他の仕事のことはまっっったくわからない。
でも新しいことってなんだかワクワクするかも!と久しぶりに新鮮な気持ちになれた。
(能天気な性格)


働いてみると、思ってた以上に楽しかった。
女子同士は良い意味でお互い興味がなく、悪口は一切なかった。
お客さんの悪口も全くないし、仕事として割り切ってる人しかいない。
みんなプロフェッショナルだった。
お酒飲んでトークできれば大丈夫と思っていた自分がちょっと恥ずかしくなった。

来るお客さんもみんな良い人たちばかりで、嫌な思いをすることはなかった。
お客様の接客をしてる時に
初めてキャバクラで働いてるんです!と言うと、
このお店選んで正解だよ!ここはちゃんとしてるからね。
って常連さんは口を揃えてこう言った。


ある日、貸切の団体15名が入ってるので出勤してくださいとお店から連絡があった。
団体で予約とか入ることあるんだなぁと思って出勤し、女の子15人も早々とお店で待機していた。
やってきた予約のお客さんは15人全員坊主だった。
なんでみんな坊主なんですか?と聞くと、
『僕たちお坊さんなんです。今日お寺の集まりがあって、、、煩悩の塊ですみません。』
めちゃくちゃ笑ってしまった。
まさかこんなに笑わされる事があるとは、、、その夜はとても楽しかったのを覚えている。


引っ越しのお金は3ヶ月くらいで貯まったのだが、なんだか夜の仕事も楽しくなってきて、
本職(パティシエのバイト)が忙しくなるまでは少しだけ続けようと思い
なんやかんやで約5ヶ月ほど働いた。


キャバクラで真面目に働いてる人からしたら、それしか働いてないくせになにがわかるんだ!
と思われるかもしれないが、本当にすごい大変な仕事だと痛感した。

働いてみてわかったことは、
キャバクラは浮気には絶対にならない。ということ。
私が働いていた店だけかもしれないが、至る所に、
『お触り厳禁!見つけた場合出禁!』
と書いてあった。(今思うと面白い)

なにかあるとしたら、
とんでもなくイケメンでとんでもなくトークが上手い男性なら、なにかあるかもしれないが
そんな男性は来ないし、来たとしてキャバクラ以外にも女の子と遊んでいるだろう。

(もし将来旦那さんがキャバクラに行っても全然良いし、なんならちゃんとドリンク頼んであげてほしいと思う。あ、でも毎週のように通ってたらちょっとやだな。笑)


あと、女の子の服装?主に靴がしんどすぎる!
ヒールを普段履かないからなのか、ピンヒールで歩くのが本当に辛かった。
たぶん7〜9センチのヒール。よく歩けたなと思う。
服と靴は貸し出しで借りていたので、ヒールも高いものしかなく、仕方なく履いていたが
全然歩けていなかった気がする。
トイレに行くのもやっとだった。
それだけめちゃくちゃ辛かった。笑



お金がなくて仕方なく始めた仕事がこんなに楽しくできるなんて思ってもみなかった。
もちろんずっと楽しいと思ってできた訳ではないが、(夜遅くて眠かったり)
基本的には面白く、楽しい、良い経験になったと心からそう思う。


地獄のような世界でも、それでも楽しいことを見つけて生きていく。
死ぬよりも生きることの方が大変なのだ。
この世界は最初から地獄だったのかもしれない。

何かあっても、楽しめるように考え方を少しでもポジティブに。
そんなふうに生きていく。



最後に、

星野源さんの曲から日記のタイトル付けさせてもらいました。


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