症状が悪くなる時間を聞くと嫌な予感

体の異常はゆっくり進行していても、

人間の自覚症状はどうやら異常がある一定のレベルを超えると出てくるようです。

逆にいうと、ほとんどわからないケースが多いです。

急性膵炎をいう病気があります。
膵臓が炎症を起こす病気です。

膵臓に炎症が起きると、膵臓が溶けていって、周りの組織も溶けていってしまいます。

膵臓にはタンパク質などを分解する消化酵素がたくさん含まれており、これを十二指腸という小腸の中に分泌することで、食べ物が消化できます。
(小腸の表面は液体でコーティングされており、小腸が溶けることはありません)

多くはアルコールを飲みまくって消化酵素が過剰に分泌する場合、消化酵素が出てくる管に結石があって詰まってしまう場合などは、膵臓の組織が破壊され、タンパク質を分解する消化酵素が膵臓自身を消化してしまいます。

めちゃくちゃ痛いらしいです。

でも、通常は、上記の通り、アルコールや結石など、なんらかの急な影響があるケースが多いです。

最近経験したケースでは、
原因が、癌でした。

膵臓には癌ができる場合があり、その癌が消化酵素が出てくる管を堰き止めしまい、消化酵素が膵臓の組織から漏れて急性膵炎に至ったと考えられています。

(膵臓の癌、膵癌は症状の少ない癌として知られており、だからこそ発見時には進行していることが多いです。)

このように、徐々に進んでいく癌は、徐々に症状が進んでいくわけではなく、ガクッと症状が出てきたりするのです。

今回のケースでは、急性膵炎というやや数日単位の発症でしたが、

患者の話を聞いていると、1、2週間くらいで症状が急に出てくる場合も多いです。

例えば、比較的痛みに鋭敏である神経の圧迫なども、徐々に圧迫されていたりすると、数週間くらいのタイムスパンで、症状が出てきたりします。逆にそれまでは、徐々に圧迫されると無症状のことが多いです。

このタイムスパンで症状が完成する理由として、がんの場合は、無限に細胞分裂し続ける原理上、大きくなるスピードが指数関数的(倍々になっていくこと)になるので、最初は増殖スピードが遅く、後になると急激に早くなるためと考えています。逆に最初の遅い増殖スピードの時には、ごくゆっくりの変化に順化してしまうのではないでしょうか。

逆にいうと、数週間のタイムスパンでドンと症状が悪化してきたものについては要注意かもしれません。
僕がお話を聞くときは、嫌な予感がします。