先住民と昔にはなく現代だからある病気

主に感染症など昔助からなかった病気が、今は助かる病気がありますが、
逆に今だからある病気もあります。
変形性脊椎症はほとんどの人がなって腰痛を訴えますが、アフリカの人たちの一部の部族では腰痛の概念すらありません。
この対比を踏まえつつ、僕たちの生活がいかに身体の設計しそうと違うのか、文化が進んだからといって全ての問題が減っているわけではないことを、医療関係者以外でも分かるように解説しています。

背骨は、椎体という骨と椎間板というクッションが交互に積み重なっています。
全部骨にしてしまうと、背骨を曲げることができなくなって、運動に支障が出るからですね。

デブだったり、座り仕事が長いと、荷重がかかるので、この椎間板がそれぞれ、全体や前方に潰れます。
潰れると、上下の椎体がガチガチぶつかりやすくなります。
イメージとしては、クッションが薄くなって、椎体の端の方が、下の椎体の端とぶつかる感じです。

こうなると、骨は強い力を分散するために、力がかかっている面を増殖させて、広くしようとします。
同じ力でも、かかっている面が広ければ圧力が小さくなり、破壊が免れるからです。
(同じ力でも、鉛筆で刺すのと、パーで相手を押すのとでは怪我の度合いが違う)

この骨の増殖のことを骨棘と言います。
https://goto-seikeigeka.jp/spine/
↑このように形作られます。
骨棘は椎体の周りに広がるので、後ろにある脊柱管という脊髄や神経が通っている管を圧迫したり、脊髄から神経の通り道(椎体の間にある)を圧迫したりして、腰痛や痺れを発症させたりします。
※腰痛は色々なメカニズムが提唱されているので、原因の一つと考えてください。他にもあると思います

デブであれば、30代半ばでもう骨棘形成の始まりが見られる場合があります。
こんなに若くからなるんだ!と戦慄したものでした。椎間板も変性していたりします

あと、前傾姿勢をとる座り仕事を長時間続けていると思われる人も、椎体の前方に30代で骨棘ができている人もいます。

詳しくは別の機会にお話ししますが、座り姿勢をとると、頭部が前方にあるため、全体的に背骨が後ろに反った形になり、頭を支えることになります。

そうなると、椎間板の前方が圧縮されて、椎体の前方の上下がガチガチ当たることになり、骨棘ができるのです。もちろんこれが進むと、広範囲に骨棘ができるかもしれません。

このように椎間板が変性し、椎体に骨曲が出来まくる状態を、変形性脊椎症と言います。
腰椎だと、腰椎症と言ったりします。

50代以降で年齢とともに増えていく印象です。
僕の契約している病院では、80代以降の認知症の方が多いのですが、8−9割くらいはなっています。
歩けなくなっている人も多いです。

ここで話を変えます。
アフリカの原住民の人たちでは、「腰痛」という概念がないところがよくあります。
https://www.nhk.or.jp/special/detail/20081005.html

一日ずっと立ちっぱなしで、自然に近い食事だけとって、歩きまくる、といった生活をしているわけです。
そもそも太りようがないですし、運動量もはるかにあります。
人間の背骨のアライメント(並び)は、座り姿勢がデフォルトで設計されておらず、
立位が最も自然な構造をしていると考えられます。
なので、おそらくですが、骨棘とかの発生が起きにくいのではないでしょうか。

もちろん感染症などで、平均寿命が短く、痛みが出てくるほど進行するまで加齢しないというのもあるかもしれませんが。

現代では、中毒性の高い超加工食品で、むやみに食欲を煽られ、必要のないカロリーを摂りまくって、デブになりがちです。
さらに、奴隷のようにずっとオフィスに座らされ続ける仕事ばかりです。

変形性脊椎症やそれに付随する腰痛は、自然な生活をしている人の様子を見ていると、
現代だからある文明病なのかもしれません。
余計な食品や、余計な仕事から、新たな病気や問題を作り出している可能性があります。
医学が進んだから何もかも良くなったわけではないかもしれません。