耳の疲れ
人から説教されて気遣いする疲れではありません。
僕たちの五感の一つ、聴覚ですが、
いつも一定に作動しているわけではなく、疲労、つまり感覚が鈍くなっていくことがわかっています。
音は、いつも一定に聞こえているようですが、実はそうなっていません。
音をずっと聞いていると、音をキャッチする感覚器官、神経が疲労し、鈍くなることがわかっています。
もう今ではほとんどなされていない、Tone decay testというのがあります。
日本語で訳すと音調減衰テストと言いますが、
一定(4000hz)の周波数で、聞こえるか聞こえないかくらいの音量より5db大きな音を持続的に聞き取って、1分で音が聞こえなくなってきたら、手をあげて音量をさらに5dbあげるという検査です
つまり、一定の音を聞いていると、聞こえにくくなるため音量を上げて聞き取れるようにして、というのを繰り返します。音量が上がった分だけ、聴覚が減衰しているということですね。
25db以上だと、前庭蝸牛神経=聴神経の疲労が強いとみなされ、ここが傷害されているという検査です。
残念ながら、この検査は今はあまりやっていないそうです。
文献も古いものしかありません。
でも、感覚神経の短い時間での機能低下を眼にする貴重な検査です。
ちなみに、高齢者の方が減衰は早いそうです。
一方、5dbであれば正常とみなされます。
かなり音量の幅は狭いですが、それでも感覚に疲労が生じるということですね。
もちろん、騒音性難聴のようにあまりにも強い音を長時間聴き続けると不可逆的な変化が起こります。(特に内耳)
僕にこの検査を紹介してくれた耳鼻科医は、「聴覚に疲労が生じるのであれば、他の神経系も使えば疲労するはずだ」と述べていました。
我々の感覚は常に一定と思って生活していますが、どうやら異なるようで、正常の方で、日常生活の範囲内であれば、気づくことは難しいレベルでは機能の低下が起こっているようです。