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【読書記録】だから仏教は面白い!

おすすめ度 ★★★☆☆

仏教は、以前読んだ「怒らないこと」シリーズで興味を持つようになった。

「神様を信じれば救われる」的な宗教にうさんくささを感じていたのだけど、仏教はちょっと違うのかも?と感じたきっかけの本だ。
「怒らないこと」はその名の通り、怒りにフォーカスした内容だったけど、仏教へのほのかな好奇心から、図書館で手に取ってみた。


難しい!

前書きに、「入門中の入門」レベルと書いてあったので、なめてかかったら全然意味がわからなくて焦った。宗教に難しい理論があることすら知らなかったので、かなりポカーーンである。

菩薩とは、悟りとは、輪廻とは、解脱とは、など聞いたことある基本的な用語の解説ですら、難しい。
それを解説する前の前提知識がもう難しい。

有為と無為、とは。有為は「条件づけられたもの全て」つまり「他のものによって因果的に規定されているもの、縁起の法則の下にあるもの」であり、「世間(ローカ)」という。私たちの住む世界はこの「世間(ローカ)」にある。

はい。

私たちは今生だけではなく、過去無量の時の間に業(カルマ)を積み重ね、渇愛の傾向を持ってしまっている。渇愛を滅尽できれば「無為」つまり、世間を超出した境域に達することができる。これを「出世間(ロークッタラ)」という。

ぎゃお。

無常・苦・無は世間の三相、色・受・想・行・識は「五蘊」、「六根六境」とは目耳鼻舌身意・色声香味触法。戒・定・惠の三学、四諦とは苦諦・集諦・滅諦・道諦でまとめて「苦集滅道」という…

この一つ一つについて、意味やつながりが説明されていく。
対談形式なので易しい言葉ではあるが、なるほどわからん。概念が難しい。言葉が覚えられない。会話に置いていかれる。ポカーンである。

要するに

わからんところはポカーンとして、全体の流れを押さえるように読んだ。
私の理解&興味を引いたところはこんな感じ

・仏教は、人として善き道を問うものではない

仏教はありとあらゆる欲を否定するもの。愛情すら否定する。
家族愛や好奇心、労働意欲も全て世俗への執着なので、捨てなさいって教え。つまり、ニートが至上。

・インド思想は日本思想とだいぶ違う

死生観や、業に対する考えがだいぶ違う。例えば虫を殺したら、それで終わりではなくて「後に結果を残す働き(=業)」という認識になる。それは終わりない輪廻の中で蓄積されていく。その流れの中の自分、という考え。

・動的平衡みたいな話

流れの中に個体がいるだけ的な考えなので、固定的な「自我」は無い。
わかりにくいけど、3歳の時と60歳の自分は同一か?といわれると違うのと似てる。一つ一つの現象の積み重ねの中で、絶えず流動して変化を続けている、その中に生と死もある。みたいな。
福岡伸一さんの「動的平衡」に近い。仏教は科学的だと別の何かで読んだけど、そうなのかも。

・勉強するだけじゃ悟れない体育会系

仏教は「行学」つまり実践(行)と理論(学)で成り立っているので、知識を学ぶだけでは体得できない。野球のルール知ってても強くなれないのと同じ。でも宗派や経典によって、修行の重要度とかゴールが違ったりして、割と宗派争いがあるらしい。やれやれ。

・「怒らないこと」に繋がってる

瞑想やマインドフルネスは、あらゆる煩悩を「堰き止めること」に繋がっている。煩悩に自覚的に「気づく」ことで、煩悩を再生産することを堰き止められるのだという。ほっほう〜。
「怒らないこと」でも、自分の感情に怒りが生まれたことにいち早く気づいて、「火をつけない」ことが大事って書いてあった。
火をつけると、延焼して大火事になって、結局自分の心にダメージがくるもんな。

無意識のうちに対象への執着を強めて、煩悩の再生産をするとう私たちの「悪い癖」を差し止める

あ〜すごくやってる。カチンときて、気づいたらヒートアップして(無意識)、つまらんことにこだわって(執着)、ガーっと怒りをぶつけて(煩悩)疲れるわ自己嫌悪なるわ、いいこと何もない。

カチンと来た時点で、自覚的になって堰き止めるのが大事なの、わかる。
わかるけど、修行が必要だわ〜。(できてない)

見るに耐えない下ネタ

というわけで、概念難しいものはあったものの、総じて仏教の基本的な教養は高まったかなと思います!

が、この本で1個だけどーーしても受けつけられないところがあって。
それが「おっぱいネタ」。
煩悩の象徴として、「どれだけ知識として、おっぱいがただの脂肪の塊だと理解していても、目の前にあると反応してしまう」的なネタとして使われているんだけど、あまりに何度も何度も執拗に「おっぱい」連呼しているので、気持ち悪い。本当に適当にページをめくっても高確率で出てくる。

対談は両方男性で、わかりやすいネタとして出しているだけなんだろうけど、こういうの女性が聞いて(読んで)不快になるって想像ができないんかな。女性の体を笑いのネタにするな。

ブッダの高みから急におっさんのニヤケ顔がのぞいてきて、そこだけは受け入れられなかった。残念。

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