【読んだ】小さいときから考えてきたこと

大切に読みたい一冊

「窓ぎわのトットちゃん」を読んだのは小学校高学年のときだった。
なんて素敵な話だろうと思って、大切に読んだのを覚えている。
学校に行きたくないと思うこともでてくる多感な時期だったから、トットちゃんの通う「トモエ学園」に憧れた。

おとなになって、久しぶりに黒柳徹子さんの文章を読んで、やっぱり「なんて素敵なお話をされるんだろう」と思った。
私は割と流し読みをしてしまうタイプなんだけど、この本はゆっくり噛み締めながら、大切に読んだ。

エッセイだから、徹子さんの昔の話や、女優のお仕事、ユニセフ親善大使としての話など様々なテーマが語られている。
私はテレビをあまり見ないから、芸能人としての彼女のことは殆ど知らない。徹子の部屋も見たことがない。
「世界ふしぎ発見!」というクイズ番組でよく正解する人、というくらいしかしらない。(あの番組はまだやってるのかな?小学生の頃見てた)

でも、彼女の文章は本当に彼女の心をそのまま写しているようで、喋り方とか内容とかきっとこんな感じなんだろうな、と感じる。
読点も多くて、一般的には決して読みやすい文章じゃない。でもなぜか引き込まれて、文章の流れにぐいぐい乗せられて、気がついたら涙が出てることもあった。
すごく不思議な魅力を持っている人なんだろうな。

私も子どもだったんだ

エッセイには子どもの頃の話が頻繁にでてくる。有名なトモエ学園のことも、それ以外の色んな思い出も。
徹子さんは記憶力がすさまじくて、子供の頃のことを感情も含めて明確に覚えてるらしい。文章を読んでいてもそれが伝わってくる。

どうしてこんなに子どもの頃の感情をそのまま書けるんだろう?
でもわかる。私も子どもだったとき確かにこんな風に思ってた。

子育てしてると、思い出として「あー私もこんな事あったな」と思うことは多い。
それとは少し違って、もっと明確に記憶を呼び覚ます、、、というか心だけタイムスリップしたような気持ちになるのだ。
本当に不思議な感覚。

ユニセフ親善大使の話

徹子さんがユニセフ親善大使を長いことやっていたことは知っていた。
中学生の時に「トットちゃんとトットちゃんたち」という本を読んでいたから。

中学2年生だった。当時友人関係や家族、勉強の悩み諸々で思春期まっしぐらで「なんで自分だけこんなに不幸なんだ!」と思っていた私は、この本を読んでショックを受けた。

読んだ後、興奮して母のところにいき、「自分の悩みなんて、なんてちっぽけなんだろう!私はこういう人たちのために仕事をしたい!!」的なことを宣言した気がする。
書いてて恥ずかしくなるけど、そのくらいまっすぐ心に刺さった。

エッセイでも、コソボやリベリアの視察についての話がある。
あの文章は、彼女にしか書けないと思う。中2の頃とおなじように、ボロボロ泣きながら読んだ。
どうして同じ地球に生まれて、こんなにも違う人生を歩まなきゃいけないんだろう。何も悪くないのに、ひどい環境でひどい目にあっている子どもたちのことを考える。

昔ファクトフルネスという本で、イメージするほど発展途上国の現状はひどくないというデータを見た。それも、統計上は真実だろう。
でも、ユニセフが伝える現状もまた真実なのだと思う。

大して悪いこともしてないけどいいこともしてないのに、日本に生まれたというだけで平和に大人になれた私には、何ができるんだろう?
申し訳ないような歯がゆい気持ちを、20数年ぶりに思い出した。

子どもたちにも伝えたい

徹子さんは「窓ぎわのトットちゃん」の印税で、ろう者の劇団を支援する財団を立ち上げたそうだ(エッセイに書いてあった)。
この人の本を買うことで、なにか貢献できるかもしれない。
それに、私は自分の子どもたちにもトットちゃんの話や、ユニセフの話も知ってほしい。

というわけで、その場でポチりして購入した。
小学生の子供でも読めるように絵本がでていて、しかもいわさきちひろさんの挿絵が全てのページに描いてある。(内容はすこし削って子供向けにしてあるらしい)

手元に届いて、数ページ見ただけで幸せな気持ちになれた。
とっても素敵な絵本。

ずっと手元においておきたい本を思い出させてくれて、ありがとう。


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