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【読書記録】勇者はなぜ、逃げ切れなかったのか

おすすめ度 ★★★★☆

小6息子向けの防災本として借りた本。
なかなか興味深い内容で、大人でも面白かったけど、少し読みづらいので小学生向けではないかも。

縄文時代から昭和まで、遺跡をたどりながら災害の謎に迫っていく、という設定。NHKの「歴史探偵」でやったら面白そう。

例えば、古墳時代。
火山の噴火で埋まった遺跡から、「鎧を着た男」が見つかった。
急な噴火で逃げられなかったのか?と思いきや、他の住民は避難していたことが、足跡などの痕跡からわかっている。
鉄製の鎧は当時はめずらしく、他の遺留品も高価なものだった。
周辺には女性と子ども2人も発掘され、いずれも高貴な装飾品をつけている。集落の長レベルの家族だったのではないかと推測される。
避難する余裕はあったはずなのに、なぜこの4人だけが噴火によって亡くなったのか?

こんな感じで、ミステリーに迫っていく展開になっている。
色んな証拠をみつけていく様子が、まさに歴史探偵のようで楽しい。
ただ淡々と解説していく形式なので、小6息子には退屈かもしれない。
物語調だったり、もう少し抑揚があれば子ども受けするだろうに、少し残念。解説の写真や図解も、微妙に分かりにくい。
歴史探偵にわかりやすく説明してほしい。どんだけ歴史探偵好きなんや。


私は防災をライフワークにしていて、子どもたちにもよく防災の話をしている。

子ども向けの防災本というのは、かなり当たり外れが激しい。
というよりハズレが多い。
小学生新聞の防災記事は、「新聞紙でスリッパを作ろう!」みたいな工作の延長のようなものが多く、いや、それ小学生がいざというときにやりますか?と聞きたくなる。
なんというか、自分ごとではなく、別世界のハプニングみたいな、レクリエーション性がメインになっている感じ。

最近は変わってきているけど、自分事として考える、想像できるような取り組みが必要だと思う。子どもに限らず、大人も同じ。

ずっと昔から、日本中で災害は起きていて、その度に人々は慌てふためいて、必死で逃げて、復興して、対策してきたんだということ。
それでも、どんなに対策しても自然の脅威には太刀打ちできないこともあるということ。だからといって、怖がってばかりではなく、少しでも被害を減らせるように対策すること。

今の自分に何ができるのか、考えてみるきっかけを与える、という意味ではこの本はとても良い。
良いだけに、書き方がもう少しとっつきやすければな〜!というのが残念でならない。

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