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【毎週ショートショートnote(最後のマスカラ)】[ 最後のマスカラはいつかな ]

↑↑コチラのお題【最後のマスカラ】に参加してみました。
今回は、普通のお題でよかった😊


画像: 麦/illustAC


[ 最後のマスカラはいつかな ]

 一重がいやだった。
 この目を褒めてくれた人なんて、過去に1人くらいしかいない。
 だから、いつもマスカラに頼っている。
 少しでも目を大きくするために。

 一重を大きな目に変えるには、マスカラでまつ毛を上げるのが肝心だ。
 でも、学校にバレないようにしなければダメ。
 二つの課題をネットで念入りに検索して、高校に入学する前に完璧にできるようにした。
 幸い、この高校には、同じ中学の人はいない。
 マスカラで新しい自分になるんだ。

 私の狙い通り、すぐに友だちができた。
 友だちは私の目の大きさを褒めてくれる。
「一重なのに、大きくて丸い目」
 ずっと憧れていたフレーズを言ってくれる。
 これで楽しい、高校生活は約束された。
 そう思っていた。

「あれー、佐久間さん?」

 そう声をかけられたのは、一学期も終わりを迎える七月の最後のほう。
 一瞬、誰か分からなかった。
 でも、すぐに私の脳は遠い記憶を甦らせた。
 目の前の男子高校生の姿を、CG加工のように過去に戻して、脳が作り上げた小さな彼は、

「さ、とう、くん」

「あー、覚えていてくれたんだー」

 小学校のとき同じクラスだった佐藤くん。
 覚えているもなにも、中学が別になったのに、また会えるなんて。

「なんか、佐久間さん雰囲気変わっちゃったから、気づかなかったよ」

「あー、そう?」

 佐藤くんは、出席番号が近くて、いつもそばにいて、そして──
 私の目を褒めてくれた、たった1人の人。

「うん、なんか、目がぱっちりした感じ〜」

 だよね、やっぱ気づくよね。

「変、かなぁ〜」

 思い切って聞いてみた。
 答えによっては、今日で最後のマスカラになるかもしれない。
 私は佐藤くんの答えをまった。

「う〜ん、」

 佐藤くんは少し考えてから言った。

「いいと、思うよ」

 ホッ、マスカラとお別れしなくてすみそうだ。

「うーん、でも、前の雰囲気も、素敵だと思うけど」

 えーとー……、最後のマスカラは近くなるかも?

「ところで、佐久間さんは、何組?」

 でも、佐藤くんと再会できるなんて、

「二組だよー」

 やっぱり、楽しい高校生活になりそうだー。


#毎週ショートショートnote

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↓↓一重のマスカラメイクが気になる方は、コチラの記事をどうぞ


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