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(1)なぜ、チンパンジーに負けてしまうのか?

 まずは、あなたがどれほど世界のことを知っているかチェックしてみてほしい。世界の事実に関する13問のクイズに答えてみよう。

 結果はどうだっただろうか? たくさん間違えた? ほとんど適当に選んでしまった? でも心配はいらない。

 このクイズには多くの人が間違える。どれほど優秀な人でもだ。

 多くの人が、チンパンジーにすら勝てないのはなぜだろう? ランダムに答えた場合よりも、たくさん間違えてしまうのはなぜだろう?

 人々の圧倒的な知識不足に、わたしが初めて気づいたのは1990年代半ばだった。あの時は驚くどころか、むしろホッとした。当時、スウェーデンのカロリンスカ医科大学で公衆衛生学を教えることが決まったわたしは、うまくやれるか不安だった。ここに集まっている学生はとても賢い。わたしが教えられることは何もないのでは? しかし、ふたを開けてみれば、学生たちはチンパンジーより世界のことを知らないではないか。いやあ、助かった。
 しかし、より多くの人にクイズを出すにつれ、教室の中だけでなく、社会全体に知識不足が広がっていることに気づいた。みんな、世界のことについて知らなさすぎる。わたしはいら立ちと焦りを隠せなかった。

 たとえば、カーナビは正しい地図情報をもとにつくられていて当たり前だ。ナビの情報が間違っていたら、目的地にたどり着けるはずがない。同じように、間違った知識を持った政治家や政策立案者が世界の問題を解決できるはずがない。世界を逆さまにとらえている経営者に、正しい経営判断ができるはずがない。世界のことを何も知らない人たちが、世界のどの問題を心配すべきかに気づけるはずがない。

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