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Vol.29 WEBサービス利用までの痛点(不便や期待外れ)

                             2021年4月

金融ソリューションコラムvol.29をお届けいたします。

今年は3月から暖かく、気持ちのいい春の季節はあっという間に過ぎてしまいそうです。多くの企業さまではご異動シーズンで、業務の引継ぎが続いているご状況かと思います。
日経リサーチでは1月が大きな異動のタイミングですので、引き続き変わらず対応をさせていただきます。
ご多忙と存じますが、息抜きにご一読いただけますと幸いです。

今回はCX(顧客体験)に絡めて、保険のWEBサービスへ登録してもらうためのハードルと、登録までの痛点(不便や期待外れなどの経験)について、実体験をもとにまとめさせていただきます。

ネットバンキングの利用者は全体の46%(2020年金融RADAR(R)※1より)ですが、保険に関しては、毎月引き落としがされていくだけで、きっかけがない限り保険証券を確認することもなければ、WEBサービスを利用する機会もなかなかありません。

先日、10年ほど前円高の時に前納した外貨建ての保険の前納期間が終了したため、前職で利用していた給与振り込み口座から、現在利用している口座に変更したいと思い、WEBサービスを利用しようと登録画面にアクセスしたところいくつか痛点が発生しました。

①証券番号が手元にない
証券の保管場所を覚えておらず、すぐに手元に用意ができないため結果断念しコールセンターに問い合わせしました。
銀行口座のキャッシュカードのように持ち歩かないので、証券番号を調べることにハードルがあります。

②口座変更の申し出先
・口座変更は銀行の印鑑も必要なため、郵送で紙での手続きしかない
・その申し出をWEBで依頼できず、コールセンターに問い合わせるしかない
問い合わせ時スムーズにつながらなかったら、さらに不満が増えてしまいます。

③名寄せで変更ができない
実はその前にも痛点があり、2本契約している外貨建て保険のうち1本は5年前に終了しており、その際口座変更をしていました。
名寄せして一緒に口座変更できればいいのですが、前納期間中は引き落とし口座の変更ができないとのこと。以前説明を受けていたとしても、数年たてば覚えていないものです。何度も手続きしなければならず、そこでも不満が蓄積します。

このほか印鑑相違で再提出が発生するなど、スムーズな手続きができないことにもやや不満を感じました。このように申し出をするまででもない些細な不満の積み重ねが離反を生むのだろうと感じた瞬間でした。
結局、コールセンター&郵送での手続きのため、WEBサービスは未だに登録をしておりません。(またタイミングを逃しました)

保険の場合、証券番号がひとつのハードルになることから、「ご契約内容のお知らせ」のように通知物を送るタイミングや接点を持つタイミングで、そのままスムーズに登録してもらう工夫がとても重要だと考えます。
郵送手続きのみであっても、WEBで手続きの申し込みを行えるようにしたり、 お客さまへの事前の告知を読んでもらえるような内容・わかりやすさにすること、など地道な推進活動が必要なのかもしれません。

このように実体験から得られた痛点を通じて、いち消費者・顧客の視点を忘れないことが カスタマージャーニーを描く際に大切なこととなります。みなさまは普段どのような痛点を感じていますでしょうか。

*金融総合定点調査「金融RADAR (R) 」2020年本調査
(回答者:首都圏の20~74歳の男女2,827人、調査時期2020/10/28~11/24、郵送・留置調査)
※1:金融RADAR®は日経リサーチの登録商標です。


■今週の執筆者■
大西 直美(アカウント第1部)

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日経リサーチ 金融ソリューションチーム finsol@nikkei-r.co.jp
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