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ロイヤルカスタマーを知るための3ステップ

皆様こんにちは。日経リサーチの榊原です。国内・海外のブランド調査を主に担当しております。調査を行う中で、ロイヤルカスタマーの分析をしたい、ロイヤル層の特徴を知りたいという声をよくお聞きします。今回はその特徴分析について、自主調査を例にお話していきたいと思います。

市場をセグメントに分ける

分析の際、まずは市場全体をロイヤル層、一般層、離反層といったセグメントに分け、自社にとってのロイヤル層を定義していくことが重要です。購入頻度などの行動や、継続購入意向・共感度などの意識によって分けるのが一般的ではないかと思います。

今回はアップル ジャパンの事例で見てみます。下記の図は購入・利用頻度を聴取したものです。この自主調査では「とてもよく購入・利用している」と回答した方をロイヤル層と定義しました。

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アップル ジャパンの購入・利用頻度と定義(N=1,026)

ロイヤル層の特徴をみる

セグメントに分けることができたら、いよいよ分析に入ります。特定のターゲットの特徴を知りたい、という場合、弊社では、自由回答を含めてまとめて特徴を抽出できるKey Explorerという独自のツールを使うことが多いです。

アップル ジャパンのロイヤル層をKey Explorerにかけると、結果は下記のようになりました。特徴としては、ブランド選定時に「従業員の知識・対応が良い」を意識している人が多いことや、自由回答で「大好き」「感動」といった単語を使っていることが挙げられます。

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特徴ランキング(アップル ジャパンのロイヤル層、「 」内は自由回答)

関連する自由回答を読み込んでいくと、例えば従業員に関連するものとしては「AppleはiPhoneの機種すべての修理に対応されていて素晴らしいです。有料でも納得ですし、OSのサポートもあり、長くお気に入りの機種を使えるのが嬉しいです」という回答がありました。アップルはメーカーであっても敢えてアップルストアのように、顧客とダイレクトに触れる接点を作り出していますが、そのこともロイヤルティの獲得に有効に作用しているようです。

また、「大好き」「感動」といったワードについては「かつてiPhoneを初めて手にしたとき、無駄のないデザイン性、使い心地などに感動しました」「iMacが出たときは衝撃だった覚えがある。パソコンでこんな遊び心が出せるのかという驚きもあった」といったコメントがありました。アップル製品の持つデザイン性や遊び心がロイヤルティにつながっていることがわかります。

他の層との違いをみる

始めに市場をセグメントに分けるという話をしましたが、ターゲットとなるロイヤル層と、その他の一般層や離反層との特徴の違いを見ることで、ロイヤル層には伝わっているがその他の層には伝わっていない価値が何なのかが見えてきます。

下記はアップル ジャパンの一般層をKey Explorerにかけた結果です。ロイヤル層で見られた従業員に関する回答や、「感動」などの情緒的なワードは見られず、「便利」「キャンペーン」「製品」といった機能面でのワードが挙がってきています。アップル製品のデザインや使い心地への感動や衝撃は、ロイヤル層ほどには一般層には伝わり切っておらず、便利で慣れているから使っているという人が多いようです。

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特徴ランキング(アップル ジャパンの一般層、「 」内は自由回答)

ロイヤルカスタマーの分析をしたいと考えている方は、ぜひ「①市場をセグメントに分ける」「②ロイヤル層の特徴をみる」「③ロイヤル層と他の層との違いをみる」という3つのステップを念頭に置いてみてください。

(日経リサーチ ソリューション本部 ブランドチーム 榊原杏菜)

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