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【4/19】遠くへ

▼「きれいだなあというと 景色がなおきれいになる」高村光太郎は『短句』の中でそう言う。旅先で、またいつも通っていない道でさえも少し感想を漏らすだけでどこか、その言葉にどっぷり浸かれる様な気がするのは筆者だけであろうか。

▼今日は伊能忠敬が蝦夷地の測量に出発したとして「地図の日」である。今だったら数時間で着く様な場所であっても彼の生きた時代では測量の地に赴くまでがすでに長旅だったりするわけで、今では考えられない苦労はあるかと思う。しかしながら、スピード重視の現代人では見落としてしまう風景や光景もあったであろう、それを見つめる度に彼はどう思ったのか。

▼もうすぐGWが始まる。コロナ禍と言うのも過去のものになって迎える長期休暇、あそこに行きたい、どこに行こうかと考えている間が楽しく、もしかするとそこが一番旅で楽しい段階なのかもしれない。

▼「生まれた土地ほど狭苦しい処はない」と永井荷風。毎日毎日のルーティンは人の感覚を鈍らせてくる。心の窓を開けて空気を入れ替える、新しい風を入れるためのGWかと。もしかすると、毎日新しい景色を見ていたから、感覚衰えず、伊能忠敬は日本地図を書くほどに歩けたのかもしれない。彼ほど歩きはできないが、この長期休暇で自分の中の地図を更新しても良いかもしれない。

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