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ジェトコースター人生 その33

娘は毎晩業務報告ならぬ今日あったことを電話してきます。

1年に一回の展示会は大盛況で、一年分の買い物をする勢いで皆さんやってくるそうです。朝の9時のオープン前からにぎやかにやってこられるそうです。毎回新しい商品を引っ提げて!というのが決まりで今回はうちのジェルが決まったということです。

大体4,5人のグループは同じ町内会の人たちで一人が「いい!」と言えば右に倣え。

元気な声の恰幅のいい婦人は汗をかきながら2人を引き連れてやってきました。

暖かくなるジェルに興味津々。畑仕事の後、腰や背中が痛くなるそうです。サポーターやサプリなど毎回一年分買うことにしているけれどどれも効果がない。

ジェルを手に取ってなんとシャツをめくりあげてお腹に塗り始めました。

「何これ!じわじわ暖かいわ。」「この勢いなら1年分も」と娘がほくそ笑んだかどうかは定かではありませんが、初日からの手ごたえに電話の声も弾んでいます。

「明日もあるからちょっと考えるわ」と子分?たちを引き連れて次のコーナーに移動されたそうです。そのコーナーでも「今でもポカポカするわ。」

それを聞いてまた別の親分らしき夫人が何か文句言いたげにやってきました。あとで聞くとこの会で一番のクレーマーだそうです。

娘がどのように対応したのか聞きたかったのですが、夕食をみんなで郷土料理の店に行く時間!と早々に電話は切れました。

雰囲気にのまれず何とかやっていけそうな様子に一安心です。

翌日の夕方追加の注文が来ました。あのクレーマー夫人が近所の人を誘って

ほぼ全員が買ってくださったそうです。「自分の娘のような子に奨められたら断れないわ」ぎこちない笑顔ででしたが第一印象とはかけ離れた雰囲気だったそうです。

後で分かったことですがお嬢様を小さなときに亡くされたとか。

「この人無理!」と思った自分が恥ずかしかったのでこちらの笑顔も多分ぎこちなかったと反省しきりの娘でした。


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