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物語の作り方*にけの場合*①プロットの準備編

 ちょっと前に……いや、かなり前にTwitterでプロットはどうしている? というのが話題になっていました。

 毎度のごとく、反応速度が昭和の衛星中継並のにけ。とっくに廃れた話題となりましたが、そろそろ『あなたを愛しているつもりで私はーー。娘は発達障害でした』の執筆雑感を書こうとおもっていたので、今更ですがこちらを元に創作の手順を見返し工夫した点、改善できる点など洗い出してみようと思います。


◉執筆環境について


 私がメインで使っているのはMacBook Air。場合によってはiPhoneやiPadを使用することもあります。
 まず、執筆に使うのはMacBook Air。Word(縦書き)か、『小説家になろう』のエディタ(横書き)に直接書き込みます。
 思いつきをメモするのにはiPhone。メモ帳機能を使います。いつでもどこでもふとした時に取れますしね。iCloudで同期してあるのでMacBook、iPadでも見られて便利です。
 イメージを使うときはiPad。CLIP STUDIO PAINTを使用します。イメージ保管庫は『みてみん』。タグで管理し、検索できるようにしています。
 プロットが置いてあるのはOneNote。資料整理にはExcelを使います。
 編集さんとのやり取りはChatWork。タイトルなど共同で何かを決めるときにはDropboxのPaperを使用しました。
 データの共有もDropboxです。

 MacBookはノートなので、普段は画面を高い位置に上げる台を使用しています。机上にBluetooth接続したキーボードおいていますが、なかなか使い慣れません。トラックパッドを使う時にノートのキーボートに手がかかるのでそのまま打っちゃうことが多いんですよね。すごく肩が上がるのでやめたいけど。
 ……こういう環境で執筆しています。

 余談ですが、にけのプラットホームは『小説家になろう』です。なぜ他ではなくそこなのか。ユーザーが多く、にけのような書き手でもそれなりに居場所があるというのも大きいですし、感想やレビューを含むデータが一括バックアップできる機能が充実しています。他のサイトはMacBookやiPadだとうまくいきませんでした。
 誤字の多いにけには、一括変更ができる『小説家になろう』のエディタも便利だと感じます。あとは、『note』や『カクヨム』のように下書き共有ができる非公開設定があると完璧なのに……。
 小説に限らず、こんなかんじで書いたものは何でも『小説家になろう』に投稿してきました。エッセイなど内容によっては、小説メインの場所よりはブログのほうが広がりがあるかもしれないとも思うのですが、管理しやすさを考えるとなんでも『小説家になろう』へ、となってしまうんですよね。
 これからは効果も考えて、内容によって投稿場所を検討したいなと思っています。このエッセイは執筆関連なので『小説家になろう』で丁度いいですね。(この記事は『小説家になろう』『note』に重複投稿しています)

◉プロットの準備《Excelで資料整理》

<思いつきメモ>

 物語を書こうとイメージした時、最初に集まるのはひょっとした<思いつき>です。ひらめいた時に、いつでも手元にあるだろうiPhoneのメモ帳機能を使って書き留めていきます。
 それらを事前に作ってあったExcelのフォーマットにバシバシ貼り付けます。cloud共有してあるのでMacBookのメモ帳にデータは既に入っています。コピペするだけです。

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 このままでは小さいのですが、写真をクリックすると最大化できるので書いてある内容まで見られると思います。どんな感じか参考まで。

項目は 
思いつき、作品、人物もしくはテーマ等、それによって何を表現したいのか、重要度、反映度 
です。

 まず思いつき欄に貼ったメモを眺めます。そこから話の流れやテーマ、全体像が見えてきた項目の作品欄に仮タイトルをつけてひとかたまりにします。『仮A』など記号でOKです。すべての項目の作品欄を埋める必要はありません。何の話に使えそうかまだわからない思いつきは思いつき欄に転記するのみで、後は空白のままで置いておきます。いつか物語の種になるかもしれません。

 作品欄でフィルターをかけたら、一つの物語……『仮A』なら『仮A』についてのデータだけが集まってきます。そこで更に「これはどんな話か」「その話で何を表現したいのか」「出てくるのはどんな人物か」「事件」「たどり着くゴール」など、イメージしたものを思いつき欄に追加していきます。
 一段落したら人物/テーマ等欄を埋めていきます。登場人物に関わるものに仮の名前を、話全体に関わるものはテーマ、シーンなど分類するのです。それからこのエピソードや設定によって何を表現したいのか、欄に書き込んでいきます。
 この思いつきメモは、プロットや本文を書きすすめながらも再々眺め、追記、書き換えをしていくことになります。人物像を固めたり、表現したいことがきちんと文中に盛り込まれているか確認したりするためです。
 最後にこの設定は重要だなとか、表現や展開に反映できたなと確認できたら重要度欄、反映度欄にチェックや数字を入れたり、反映箇所の章番号を書いておいたりすると便利だなって思っています。重要度が低いものは、あえて表現されなくても設定として浮かんでいたと言うだけでよいのです。

 例えば。
 私の思いつきメモには吏樹は父子家庭とあります。文中でも夕子の祖父母らがそれを気にしたという記述があったはずです。
 でもその設定によって表現したかった「大人から愛され守られて育ってきたものの、長男の吏樹は子供の頃から家族をうまく回すために自分ができることを考えて立ち回るくせがあった(子どもではいられなかった)」ということは明確に言葉では表現されていません。
 ただその設定を見て何度もイメージし、私に染み込むことによって、吏樹が早くから自然と父親として朝子や子どもたちのために何ができるかという目を持って動く人物であったように表現はできたかな? と思っています。

 思いつきメモの使い方は以上です。

 こうして思いつきを分類しまとめて置くことで人物像がくっきりし、行動ににじみ出る、物語のメッセージがブレにくくなるなどの効果が出てくる気がします。特に長編やシリーズ物では、キャラかぶりやキャラ変するのを防ぐことができるようにも思います。

 また作品欄、人物テーマ欄を埋めればフィルターで一覧にできるので、思いつきを何でもかんでも入れることに躊躇しなくて済みます。今はないストーリーについても思いついた全てをぶちこんで大丈夫なのがいいところです。

 掌編の場合、私は、思いつき→即書き出すことが多いのですが、掌編自体を長編につながるエピソードとして思いつき欄に記録することもできます。タイトルとURLを貼れば良いだけですからね。あ、URL欄を追加してもいいなあ……検討しよう。

 作品全体がもやっとイメージできてきたらそれらをまとめてざっくりひとつの物語のあらすじのような文章にします。また人物像も同様にキャラクターシートにまとめていきます。長い文章はExcelだと扱いにくいのでこの時点でOneNoteに移りますOneNoteの使い方は②プロット編で書きますね。

 『黒いネコの友達』執筆時(2016年〜)は外部執筆補助サイトや、Excel抜きのOneNoteだけで整理していたのですがどれも中途半端で活用しきれませんでした。さらにコピー用紙に手書きでメモしたものも分散していました。文字だけじゃなく、アナログ・デジタル問わずイメージも描き散らかしていたんですよね。イメージで残したものをどう整理したらいいかについても②プロット編でお話しますね。


<キャラクターシート一覧>

 こちらも思い浮かんだ人物を全て入れても、作品欄をフィルターにかけてしまえば簡単に整理できるので、<思いつきメモ>同様Excelを活用したいところです。しかしExcelは長文書き足しには不向き。キャラクターの設定は意外と追記や書き換えも多いので工夫が必要です。
 まず一旦写真を出しますね。

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 前述の欠点を補うべく私が取った方法は、一旦Excelでキャラクターシートのフォーマットを作って、それを”項目と一人の人物の行だけ”OneNoteに貼り、項目を埋めてからExcelに戻すというものでした。OneNoteへExcelの表を貼り付けるとWordのような感覚で表に文字を直に書き込めますから。
 それなら最初からOneNoteを使えばいいのでは?と思うかもしれません。けれどOneNoteはExcelのようにフィルターを掛けたり、ウインドウの固定をすることができないんですね。見るときはExcelで一覧表にしてあるほうが圧倒的に見やすい。特に身長差や年齢、生育歴など人物別の同じ項目を並べて初めて発見できることが結構あるんです。
 『あなたを愛しているつもりで私はーー。娘は発達障害でした』のときは、この当たりを丁寧に作業しなかったので、OneNoteとExcelとで新旧入り交じってしまうという残念な事態も発生しました。更にDropboxとマイクロソフトのクラウドとに同じExcelを保存してしまったりと大混乱。OneNoteで打ち込むと決めていれば、Excelに転記し忘れたとしても最新は常にOneNoteということになります。最新がExcelに反映されていなくても転記すれば済むだけです。

 キャラクターシートの項目はもともと自分で作っていたものに合わせて編集者の岡田勘一さんがnoteで配布されているシートを参考にして使いました。

 以下項目の一部を紹介します。
[パーソナルデータ]
 人物、所属、作品、登場シーン、続柄、性別、年齢、誕生日……
[外見的特徴]
 身長、体重、顔、身体(肌/目の色/髪型/髪色)、服装(アクセサリー)制服・ユニフォーム……
[内面的特徴]
 内面的特徴メモ、行動、大切にしているもの・事柄、目標・夢……生育歴的なものも。

 髪や目の色など私にはそこまで必要なかったかなという部分もあったので項目はどんどん削り、これから改変していこうと思っています。絵がかければそのへんは描いてしまっても良いと思います。言葉よりイメージから描写するほうが確かで早いんですよね。絵はOneNoteで管理するので扱い方については②プロット編でお話しますね。



<登場人物の年齢比較表>

 それから時系列に<登場人物の年齢比較表>や<物語のタイムライン><参考文献><外部資料><表記統一表>をExcelで管理しておくと頭がこんがらがりにくいです。こちらは短文なので<キャラクターシート一覧>と違って記録もExcel向きです。

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 写真は年齢比較表です。
 表にすると千秋の悪阻で、香澄と七緒(3月生まれ)が疎遠になったのは七緒が三歳になったばっかりな頃だとわかります。すると、千秋にはいきなり大人びた言葉でしゃべり出した七緒が特別賢いイメージで残ってただろうなーとか、香澄が年少の入学式に千秋は修二(4月生まれ)の出産で入院していたけど、香澄はきっと文句の一つも言わずいい子にしてただろうな。でも誰も香澄の気持ちをケアしなかっただろうなとか、妄想がはかどるんです。こういうのが思いつきメモに加わり、人物がくっきりしていきます。
 話が家族ものでもあるし、私は数字に非常に弱いので比較表は物語よりずっと大きなスパンで準備します。
 舞台となる時点の背景には色を付けておきます。


<物語のタイムライン>

 こちらは物語で描かれる年齢比較表の色付きになった部分の年のカレンダーをつくり、出来事を書き出すのに使います。
 カレンダーは月ごとにざっくり夕子の学校の中間期末テストの時期、七緒がどの検査をいつ受けたとか、運動会や音楽会の日程など入れていきました。表にしておくとこの時期は採点で忙しいだろうなとか、音楽会の本番はいつだから準備はいつだなど、大まかに把握できます。
 一覧で全体を把握したかったので月の列に必要な日付だけ書き込むような簡素な作りにしましたが、あまりにざっくりで曜日とかわかんなくなりがちだったので、本格的なカレンダーに落としてもいいんだろうなと思います。


<参考文献>

 参考にしたものをどんどんぶち込みます。 

項目は
何についての資料か、文献、著者、所属、WEB、どの小説の誰の資料になるか、評価、資料の所在、メモ
です。

 項目はどの小説の誰についての資料かというところが重複してしまうのでフィルターで検索しにくく、現在良いやり方を検討中です。


<外部資料>

項目は
作品、役割、名前、web、SNS
です。

 貼り付けたのは、各ストーリーごとに作るOneNoteフォルダのアドレス、設定関連のイメージ……私の場合は『みてみん』にアップした絵をタグで分類して、リンクをHPにまとめてあります。そちらのアドレスを貼り付けてあります。
 その他は関係者の連絡先一覧みたいな感じです。

<表記統一表>

 表記ゆれが出ないように、作品ごとに統一した表記をメモしておく場所です。書き終えてからあったらよいと思ったので追加しました。項目検討中です。対象読者層によって変わると思うので、フィルターをかけて作品ごとに絞れるようにしようと思っています。

◉工夫した点、改善できる点。


 工夫した点はここまでずっと書いてきたかなと思うのでよいとして、《Excelで資料整理》してきて見えた改善できる点を見い出していこう。

 <思いつきメモ>はあらゆるのが入っています。今のところ困ってはないけど、よく考えると思いつきメモシート以外は黒ネコシリーズ仕様になっているんですよね。違うシリーズを書くときはフォーマットを複製した新しいExcelに思いつきメモのシートのみコピーしたほうがよさそう。

 しかし写真に誤字と設定変更が訂正されていない箇所がたくさんあるな。管理が雑なのバレバレだよ……。夏希が夏生や夏子だったり、誠司の出身地が県内だったり(後から飛行機で行かねばならない場所、県外出身と変更した)早速フォーマットを刷新し、そこに移して整理しよう。
 シート名も写真のときは違う名前のままだしね……。

ちなみに現在のExcelシート名は
思いつきメモ、TA、人物
年齢比較、タイムライン、参考文献、外部資料、表記統一
アウトライン、ストラクチャー、章シート(OneNoteコピペ用フォーマット)
進捗記録、工程

の13シートとなっています。

 TA、進捗記録、工程の紹介は割愛しました。
 アウトライン、ストラクチャー、章シートは②プロットの作成《OneNoteで資料整理》で説明します。


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