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ホルモン剤を飲んでから

35歳、5歳と1歳の母です。

一ヶ月ほど前、気分がひどく落ち込み、洗濯をしていても料理をしていても、胸が苦しくて、過去の自分の失敗を思い出しては落ち込み、人に迷惑をかけた罪悪感に囚われるという状態が何日か続いた。
深呼吸して自分をなだめようとしても、上手く息が吸えないような、吸っているんだけどずっと胸が苦しい。
全然笑えなくて、子ども達の世話をするのもしんどくて、かわいいと思えない。でもやらないと、ご飯を食べさせないと子ども達は飢えてしまうし、家も子どもも汚れてしまうし、やらないと、と思って無理してやっていたら、次は無理がきかなくなって、体が重くなって、頭も痛いし、吐き気すら感じる。
とにかく一番辛かったのは、過去の自分の失敗を思い出して、ずーっと同じことを繰り返し考えることだった。考えるのをやめたいのに、やめられなかった。
夜、私は子ども達が眠る横で涙が止まらなくなり、土になりたいと思うようになった。ただそこにあるだけで、草木を育て、役に立つから。自殺だけはしたくない、と思っているのが救いだった。
とにかく何もやる気が起こらなくなってしまった。

私は大学で心理学を学んだ。この状態はうつだと思った。
大学の授業で、うつは誰にでも起こりうる、心の弱い人だけがなるものではない。そう学んだ。
でも自分はならないと思っていた。自分がうつになったなんて認めたくなかった。でも、このままじゃ子ども達に悪影響だ。こんなどんより真っ暗な母親、側にいないほうがいい。でも誰かに預けて育ててもらうことなんてできない。病院に行かないと。

私は泣きながら夫に「病院に行ってくる」と言った。
夜中に仕事から帰ってきて、洗濯物を干してくれていた夫は、私の話を、手を止めて、背中をさすりながら聞いてくれた。

体の具合が悪くなったと思っていた夫は「今から救急病院に行く?」ときいた。
私は、行きたいのは精神科だから、昼間の開いている時間に行くことと、たぶんうつだという事を伝えた。

以前、夫の会社の人がうつになって退職したことがあった。その時夫は「うつになる人って、やっぱりどこか、欠けた人なんだと思う」と言っていた。
私は夫に自分の状態を告白するのが怖かった。欠落人間だと思われる。
でもそれ以上に、これ以上ひどくなるのが怖かった。子どもをかわいいと思える、元気な自分に戻りたかった。

夫は少しびっくりした様子で何秒か固まった後、私が頑張りすぎているとか、俺がもっと家のことを手伝う、とか言った。そして、うつじゃないと思うと言った。
夫から見ると、私が落ち込んだり、ヒステリックを起こすのは、生理前に限られていると言うのだ。生理が始まったとたん、元にもどるらしい。精神科に行ってもいいけど、先に産婦人科に行ってみたらどうか、と。

そういえば、前から、テレビのCMで命の母ホワイトという、薬だったか、漢方だったか、それを見ると、私にすすめてきていたな、と思った。

側からみて、そういう血の道症なら、そうなのかもしれない。そう思って、まずは産婦人科に行ってみることにした。

以前からがん検査や妊娠でお世話になっている産婦人科へ行き、症状を伝えると、生理不順があるかと聞かれた。私はもうずっと不順で、それは私のペースなのだから仕方ないものだと思って気にもしてなかった。生理不順が治療の対象になることも知らなかった。病院でそんなこと言われたことないし。

とにかく、治療はホルモン剤を飲んで、生理を定期的にちゃんとこさせること。そうしていくと、気持ちのほうも治っていくと思いますよ。と、優しい微笑みで先生は言った。

言われた通りホルモン剤を飲み始めて5日。気持ちは落ち着いてきた様な気がするけど、今度はつわりのような吐き気が起こった。一向に良くならない。そういえば、なんとかホルモンって吐き気を起こすんだっけ。テレビで言っていたような。
せっかく落ち込まなくなったと思ったら今度は吐き気かよ、、とくじけた。

病院に電話すると、吐き気止めを処方された。

もうホルモン剤を飲むのをやめてしまいたかったが、夫の優しい説得(私にはこれが一番きく)により、吐き気止めと一緒にホルモン剤も続けることにした。

すると、吐き気止めが見事にきいて、私は気持ちもどんどん明るく元に戻って、毎日、家事ができるようになった。子どもの可愛さもちゃんとわかるようになった。先生は半年くらいかかると言っていたけど、もう治っちゃったんじゃない?と思っているほど。

夫の観察眼はすごかった。

そしてホルモンってこんなに大事なのかと驚いた。

まだ治療を始めて一ヶ月なので、今後どうなっていくのか、自分の経過の記録として書かせて頂こうと思います。もしどなたかのお役に立ったら幸いです。

このまま、よくなりますように、あのどんより真っ暗はもうごめんだ。



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