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映画感想文 プロメア

グレンラガンもキルラキルも好きで、その3つ目に並ぶような熱血系アニメになっているのだろうと思っていましたが…

■主人公の2人はとてもいい

主人公のガロは、グレンラガンにいたカミナ的なキャラクターというか、多分ほとんどカミナなんだけど、意外にもイケメンに描かれていて驚きました。カミナはあんまり好みじゃなかったので…。多分、声をやっている松山ケンイチの演技が変にこなれてなくて素朴な感じが合っていたのかも。芸能人が声やります系アニメとしては許せる部類。そしてもう1人の主人公的なメインキャラクター、リオ。まだチラシとかがやっと映画館に出始めくらいの頃、ヒロインの女の子だと思いこんでいたので、あれ?男の子??とわかったのはキャストに紛れた早乙女太一の文字を見たときでした。実は昔、早乙女太一のファンでした。実物の女形の姿を見たくて舞台まで観に行った程の…。結婚してから迷走気味だったのでもうファンじゃなくて良いかなと思ったんですがこの感想文を書いてるとき、まさかの離婚発表!なんというタイミング。そういうわけで、女形や殺陣をやっている姿しか見たことがなかったため、声をほとんど知りませんでしたが、こんなに声の演技も上手な人だとは知らなかった。怒り、叫び、愁いを帯びた演技、それでいて透明感のある声…こんな才能も持っていたのか。すごいよ太一!突然の呼び捨て。離婚を機にたくさん仕事してほしい。

■既視感がモヤモヤする

良くいえばこれまでの作品の良いところを踏襲した完成度の高い映像作品。悪くいえば今までやってきたことをわざわざ映画にしたただの寄せ集め。声に芸能人を起用しておいて、さらにSuperflyの「覚醒」を戦闘曲に持ってきて、そこまでして万人向けに寄せておきながら、オタクでも見ていられないようなオタクっぽいシーン(やたらメカに強い華奢女の子が司令室でポチッとなつってボタン押すとめちゃ強い攻撃が発動したりとか笑)がちょいちょい挟まってくるのは如何なものか。また、近年のカジュアルに劇場アニメ観ちゃうカモだぜな非オタをターゲットに組み込んである(それ自体は否定しません)のか、ストーリーにひねりがなく極端に薄っぺらい。熱血で全て押し切れると思うなよ?と、いちいち真顔でツッコミたくなる。私が求めていたのは、国内いや世界トップレベルのハイクオリティなアニメーションだけが到達できる「何か」、だったのだが…。期待を煽るだけ煽っといて、なるほど新しい「何か」がこの作品にはあるんだ!と探しながら観てたけど結局何も無かった…みたいな…。私はtriggerの絵(画面)好きなんですけど、色やキャラデザのデフォルメがキツいので、ある程度の想像力が必要だからあんまり一般受けってしてないんじゃないかな?って思う…。そこを読み誤って一般人ならこれで満足するだろうってところで止まってしまってどっちつかずになってやしないか。唯一、これはいいと思えたリオが戦うシーンで流れ出す「覚醒」。めちゃくちゃカッコいいしSuperfly凄すぎ問題なんだけど、序盤と終盤合わせて2回か3回流れたんだよね。それがクドすぎて、ひぇっまた同じ曲流れた!と、若干引いてしまった。もう少し、ここぞという時だけに使って欲しかった。

■まさに、デウス・エクス・マキナ

いつの頃からか、あれやこれやと詰め込みすぎてぐっちゃぐちゃになった出来事や人間関係を、ドーーーンと解決するやり方が、ヨシとされがちになって来てる気がしています。流行ってるのかな。それを「わかってまーす」と言わんばかりにやらかしたプロメア…。私はそこでまた引いてしまった。「いい意味で裏切らせてもらいます」みたいなことを言いたいのだろうか?このくらい強引にやっても画力でなんとかできると思ったのだと思いますが、ストーリーがペラいので特に何もどんでん返しされないというか、へ?!って感じしかしませんでした。意味不明。

■どう考えても尺が足りない

ガロとリオ、いろんな過程を経て2人だけの絆みたいなものが生まれてましたよね。そこがもっと丁寧に時間をかけて描くことができれば、結構いい話だったように思うんです。敵に捕まったガロが、遠くで鳴いている炎龍の声を聴いて、“リオだ”という表情でハッとするところ、雑なストーリーで進んでたとは思えない繊細な演出でした。だけど、やはり全てが唐突。あと、キーパーソンであるヒロインとその姉、この関係ももう少しなんとかならんもんかな。姉=研究者の位置づけがブレまくりというか…姉妹にしとく必要性をあまり感じなかった。

■怒りとは?

バーニッシュとそうでない人間のお話だったはずだけど、満員電車にバーニッシュが乗ってて怒り爆発で炎撒き散らしたり、その他なんかやなことがあって炎撒き散らしたり、バーニッシュが本来怒り狂ってるのはそんな事では無いはずなのに、差別の要素があんまり機能してない。バーニッシュでなくとも生きてるだけで嫌になることたくさんあるよ…。日々どうにか折り合いをつけながら生きているのが人間で、それが良いところであり良くないところでもある。そんな抑揚のないつまらない毎日を変える力があったのがバーニッシュ、そして人間の諦めた心を打破していくのがガロの本当の役目なのではないだろうか。

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