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あなたの効率は誰かの非効率。

大阪のオフィスリノベーション
2021@阿倍野

2019年に完成したスタートアップのオフィスに区画を作る計画で僕はパーティションと家具の手配のみ。

60mm×30mm厚の縦軸に40mm×30mm厚の横軸で格子間隔80mmでリズム感持たせながら組んでます。

格子を12mm厚まで薄くすることもできたのですがパーティションの存在が希薄になるのと「何かを掛ける」みたいな余白的ユーザビリティが損なわれるため30mmまで厚くさせてます。

パーティション単体の美しさで言ったら圧倒的に12mmだったんですが。

材料は代表の出身の北海道のトドマツで僕のマイブームのヴァナキュリズムです。

お香で使われてる木なので超良い香りします。

「生まれながらにすべてがストーリーを持つ」



デザインの耐久性が最近のテーマなので元々美しい木目を台無しにしつつn-65のグレーと15-20Bの3部艶で一部塗装してます。

概ね我々が作ったものは我々の意図の通りに使われないケースの方が多いわけで特にオフィスみたいな多様な価値観の人が混在するスペースなら尚のこと。

コートや観葉植物やら我々の想像を超えた「何か」を掛けても問題ない様に強度はもちろんですがデザインとしてもその煩雑さに耐えられる様なバランスを保つためポピュリズムも纏いながら。



コロナでリモートワークになったのでオフィスを違う使い方できないかみたいな計画かと思ったら少し違って。

最近のオフィス計画は透明性がキーワードで「コミュニケーション増えるし効率上がるよね」だったんですがどうやらそれは幻想で。

僕がハマってた青砥先生の話を代表にしながら「コミュニケーション過多が業務効率を下げてるかも」みたいな結論になり。

オフィスではAve.11分に一回チャットや話しかけられる状態なのでいかにコミュニケーション断捨離できるかみたいなのがポイントになってくると。

「じゃあ個室だ」となりかけたんですが60平米そこそこなので完璧に区画するのは圧迫感半端ないわけで。

コミュニケーションの頻度は代表にmtgやチャットの頻度のコントロールを考えてもらうとして設計自体は「集中力が発揮できる空間」がテーマのためH2180の少し低めの高さ設定で作業時に視界に入る要素をどこまで減らすのか?みたいな計画で。



代表の趣味のアウトドアから木を使いたいというリクエストで「一番コスパいいのは観葉植物っすね」みたいなことを雑談してたら「管理ができない」とぶっ飛ばされました。

家でもそうなんですが「人はなぜ観葉植物や無垢材という不自然な自然を求めるのか」みたいなことが今回のテーマで。

野犬なんてこないのにキャンプで焚き火したり生きる必要のない筋肉をつけたりみたいなのと同じニュアンスですね。

そこには精神性を保つ無意識の欲求があるわけです。

一見無意味ですが「それ」をしないと我々はストレスに殺されるわけです。

現代の最強の敵はストレスなわけで生命維持のためのストレスマネジメントの必要性があるわけで。

企業という枠組みの中にもストレスマネジメントの概念が生まれ出しているということが非常に価値が高いなーと思いながらの今回の仕事でした。



そんなことを考えてる時にふと思うのが「我々がストレスを克服した次は何が我々を殺しにくるのか」に頭を巡らせるわけです。

おそらくそれは「暇」。

暇と無駄と休日の違いがさらに次の問いとして生まれてきました。

「退屈は人を殺せる」

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