BIG WAVE
幼い頃の想い出は、口の中に飴玉を放りこんだよう。
甘く懐かしく丸く優しく、溶け出す香りの中に、
苦い何かが混ざっていて
苦いとこだけを吐き出そうとしても、そうはいかない。
今の私なら、
おとなたちのそれぞれの複雑な感情にも、過ちにも、いきすぎた思いにも、
少しは寄り添えたかもしれないけれど
子どもだった私には、どうやったって無理だった。
ラジオから流れてくる音楽はいつも昭和っぽい音質。だから、好き。
もしも、BIG WAVEに乗っかって、波の隙間から
6歳のあの日の夏休みにたどりつけたのなら
もしも、萌えたつようなあの夏の陽射しの中に戻れたのなら
もしも、ラジオから流れるBIG WAVEの向こう側に廻りこめたなら
きっともう、間違えたりはしないはず。
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