見出し画像

あなたと違うんです

辞任の際に福田元首相が記者会見で言ったとされる有名な一言です。
別に私は自分を客観的にみることができるわけではないけれど
「あなたと違うんです」と言いたくなる時があります。

みんな強い!

いろんなイベントに参加して感じたことは「みんな強い!」です。
自信がない時に自分を鼓舞する言葉は?」そんな問いに対して基準が「死ぬか生きるか」の人が沢山いました。

生死を彷徨った経験がある人なら違うかもと思ったけれど、当事者会に参加したり大病をした人の呟きを見ても
「病気になったからこそ気づいたことが、得たことがある。病気になってよかったと思う」
そんな言葉が飛び交っています。

「みんな強いな」それしか言葉が出ません。
私ももちろん病気になったからわかった家族の絆、友人たちの温かい応援、医療関係者の温かい支え。
いろんなことに気付けました。それは事実です。
でもできることなら病気にならずに気付きたかった。
気付けたから病気になってよかったとはまだまだ思えません。

宮川大助・花子

2019年に多発性骨髄腫と公表した宮川大助・花子の花子さん。別にファンでもなんでもないのですが
「朝起きてベッドから出ていろいろしますやん。生きるってしんどいわ」
と漏らしたという記事をたまたま目にしました。

今の私は花子さんのように辛い病状ではありません。
でも「生きるってしんどいわ」と思うことが度々あります。
それだけに「生きてるだけで幸せ」なんて呟きを見ると自分の不甲斐なさにますます落ち込んでしまいます。

時間が勿体無い

SNSでそんな弱音を吐いたりすると
嘆いてる時間が勿体無いなんてコメントをいただいたりします。

担当だった以前の療法士さんにも
「そんなこと言ってる暇に動け!」と言われました。

それは真実なんだと思います。
嘆いてる暇に、弱音を吐いている間にできることがあるだろう。
そう言われたら頷くしかありません。

でもそんな時に言いたい「あなたと違うんです」

自分のことしかわからない

客観的に自分を見られているかどうかは別にしても人のことなんてわからないですよね。
というか言ってみれば自分のことさえわからない。
もしかしたら自分を鼓舞するために言っているだけなのかもしれない。
だからそこに翻弄される必要はないんでしょうね。

でも、周りの人がみんな強く思えて、キラキラして見えちゃうんですよね。
こういう時こそ誰かに寄り添ってもらい共感してもらいたいと思います。

最近「傾聴」という言葉がよく聞かれるようになりました。
相手に共感して話を聴くことなんて言われます。
もちろん自分が経験したことならば共感しやすいですが、知らないことに共感するのはとても難しいことだと思います。
まずは自分の先入観を捨て去ることから始めなければならないのですから。

死にそうな体験をしたことがない人が安易に命さえあればと言ってしまうこと。

死ぬより辛い体験をしている人に
死ぬ気で頑張ればなんて安易にいうことではないと思います。
そしてどんなことが死ぬより辛いと感じるのか。それは人によって全く異なると思います。

結果として

じゃあどうしたらいいのか?自分でもわかりません。
ただ、死ぬような経験をしたこと。
そして自分は死んだ方が楽だったのにという思いをしていること。
それをマイナスとしたままにはしたくないと思っています。

これだけの辛い想いはなんとか今後の人生のプラスとなるようにしていきたいとは思っています。

でも「あなたと違うんです」
それは人に強要されることでも諭されることでもなく、自分で感じ動き出すから意味があるのではないでしょうか。

病気に限らず何かネガティブな感情に囚われている人がいたら、正しい道を示すのではなく「辛いんですね」と受け止められる人になりたい
そう思うようになりました。

と言ってもまだまだ私は「辛いんですね」と寄り添ってくれる人を求めている状態です。
でもいつかそこから脱することができたら、誰かに寄り添ってあげられる存在になりたいと思います。