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近所の本屋さんに行く。最近、ネットで本を購入することが増えたが、タイトルや書き出しだけではわからない本の良さは、実際に手に取ってみないとわからない。ネットで本を買ってばかりだと、本屋さんはどんどん疲弊していく。そうならないためにも、地域の本屋さんを「購入」という形で「支える」ことが必要だと考えている。

先日、近所の本屋さんに行った。ワクワクしながら本を探す。実は今回、お目当ての本があった。「つい」という本である。著者は玉樹真一郎氏。地元青森県八戸市出身である。プログラマーとして任天堂に就職後、プランナーに転身。全世界で1億台を売り上げた「Wii®︎」の担当として、企画・開発すべてに横断的に関わった方。2010年任天堂を退社。青森県八戸市にUターンして独立・起業している方で、地元としては応援していきたい方に間違いない。

今回は、地元のすごい方が書いた本だからこそ、近所の本屋さんにあるだろうという考えがあった。よく、本屋の戸棚には、「地元八戸市出身の○○氏の著書!」などというコピーが張り付けられ、応援している企画を目にする。地元の本屋ならではの売り方。文化面でも経済面でも、地元を潤す素晴らしい取り組みだと思う。

今回も、私は自信満々で店員さんに聞いてみた。
「玉樹真一郎さんの『つい』という本はありますか?」
店員さんはパソコンを調べ始めた。そして、
「その本は在庫にございません。○○の全店舗にも在庫はございませんでした。」
と、事実を並べて提示して教えてくれた。

教えてくれた結果を調べて教えてくれるのはありがたいと思う。感謝しなければならない。だから、
「ありがとうございます」
と伝えた。ただ、地元の本を応援してくれているだろうという期待は打ちのめされてしまった。
そして、事実を並べて提示されると、こちらとしてもぐうとなって、何も言えなくなってしまった。

はて…私もそうしたことをしていなかっただろうか。
私はかつて、保護者面談で子どもが宿題を出していないことを伝えるとき、毎日のチェックシートを事実として提示していた。

でも、そこに愛はあったのだろうか。

マイナスの情報を伝える状況こそ、どうしていくべきか、ということをセットに、前向きな気持ちと一緒に伝えていただろうか…。

たしかに事実の提示は嘘がないし、主観も入っていないからよさそうに見えるけど、それだけでは、子どもへの教師の愛情が伝わらない可能性がある。事実と一緒に前向きな解釈と未来を語らないといけないと思った。

                       三浦健太朗

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