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あなたの作品にはウリがありますか?

ところで皆さんは、作品のウリについて考えたことがあるでしょうか。

「そもそもウリってなに?」
「考えているつもりだけどよくわからないなあ……」

そんな答えが返ってくるかもしれませんね。

小説も商品ですから、ウリがなければ誰にも選ばれません。

今回はウリについて改めて考えてみます。



ウリとはなにか

最初にウリとはなにか知っておきましょう。

一言でいうと、作品のウリとは、

  • 読者が作品を選ぶ際の、決め手となるポイント

のことです。


ちょっとわかりにくいと思うのでもう少しかみ砕くと、以下の3つの条件を満たすポイントだと考えると、見通しがよくなります。

  1. 読者が求めている

  2. 自分が提供できる

  3. 他者が提供できない


図にすると一目瞭然でしょう。

ウリとはなにか


おわかりのとおり、3つの条件が重なった部分がウリです。

読者が求めていて、自分だけが提供できる価値がウリということですね。


ウリへの理解を深めるためには、ウリではない部分を見ていくのがわかりやすいと思います。

2つの条件が重なった部分は、以下のように、不完全なウリとして捉えることができるでしょう。

  1. 自分が提供できて + 読者が求めていない = 勘違いのウリ

  2. 自分が提供できて + 他者も提供できる = よくあるウリ

  3. 他者が提供できなくて + 読者が求めている = 惜しいウリ

それぞれのウリ


それぞれ簡単に見ていきます。


1.勘違いのウリ

1つ目は、勘違いのウリ。

  • 自分が提供できて + 読者が求めていない

自分は提供できるけど、読者が求めていないウリは、勘違いのウリです。

ほかの人も提供できませんが、そもそも求められていないので、これをウリとして押し出しても読者は手を出しません。


ここの領域をウリだと考えている人は、あまりいないと思います。

この領域の作品を書いている人は、そもそも読者のことを見ていないので、ウリという発想自体がないのではないでしょうか。

読者に意識を向けることで、上方向(図参照)に移動できれば、機能するウリを作り出せるかもしれません。


2.よくあるウリ

2つ目は、よくあるウリ。

  • 自分が提供できて + 他者も提供できる

自分が提供できて、他者も提供できるウリは、よくあるウリです。

平凡なウリ、普通のウリとも言えますね。


読者が求めていますので、この領域の作品はそこそこ読まれます。

ですが、似た作品はたくさんあるので、簡単に埋もれてしまうでしょう。


平凡なウリが悪いわけではありませんが、もうひと工夫必要です。

ほかの人が提供できないウリ(アイデア、価値)を思いつけば、右下方向に移動し、機能するウリにできるかもしれません。


3.惜しいウリ

3つ目は、惜しいウリ。

  • 他者が提供できなくて + 読者が求めている

読者が求めていて、ほかの人が提供できないウリは、惜しいウリです。

そもそも自分が提供できないのでウリではないのですが、この領域にあるウリを提供できれば、必ずヒット作品になります。

なぜなら、読者が「こんな作品が読みたいなあ」と思っているのに、まだ存在しない作品だからです。


この領域のウリがわかっているなら、すぐに作品に落とし込みましょう。

ヒットすることは間違いないです。


せめて提供すべきウリ

さて、ここまででウリとは何か、だいたいわかったと思います。

改めて考えてみましょう。

あなたの作品にはウリがありますか?


明確なウリがなかったとしても、せめてよくあるウリくらいは提供できるといいですね。

よくあるウリがあれば、よくある作品にはなります。

よくある作品はすぐに埋もれてしまいますが、読んでくれる読者はかなりいるはずです。


また、自分の作品にウリがなくても、図を見れば、どうすればウリにできるかわかったと思います。

不完全なウリから、中央のウリに向けて、移動すればいいのですね。


よくあるウリしかないなら、ほかの人が提供できない価値は何だろう、と考えてみる。

惜しいウリを思いついているなら、なんとかして自分で書く。

勘違いのウリなら、読者のことを意識することから始めればいいでしょう。


とにかく、ウリがなければ選ばれることはありません。

改善できなくても、「自分の作品にはウリがあるか」と考えてみるだけでも意識が変わると思います。

考えたことがないなら、図を参考にして、ぜひ考えてみてください。


今回のまとめ

「あなたの作品にはウリがありますか?」でした。

  1. ウリ=読者がその作品を買う決め手となるポイント

  2. 条件は3つ

    1. 読者が求めている

    2. 自分が提供できる

    3. 他者が提供できない

  3. 2つの条件を満たす不完全なウリ

    1. 勘違いのウリ
      自分が提供できて、読者が求めていないウリ

    2. よくあるウリ
      自分が提供できて、他人も提供できるウリ

    3. 惜しいウリ
      読者が求めていて、他人が提供できないウリ

  4. ウリをつくるには

    1. 勘違いのウリの場合
      読者を意識する

    2. よくあるウリの場合
      他人が提供できない価値は何かと考える

    3. 惜しいウリの場合
      一刻も早く自分で書く


プロになっても、なかなかウリを押し出せないものです。

たいていはよくあるウリの域を出なかったりしますね。

まだまだ精進が必要です。

それではまたくまー。


(2024/7/1追記)

おー!

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