第8章、寮(3階、1番奥の部屋)ー2「異星人に体を乗っ取られたら、何か違いはあるんですか?」
「いつから音が聞こえ始めましたか?」
「決まりましたか?」
と言いながら、校長先生が大きな長方形の箱を持って入って来た。
その後ろから、滝口先生も同じくらいの大きな箱を持って入って来ると
「まぁ!なんて事!」と驚いている。
その後ろから、黒いレースの付いたつばの広い帽子に、閉じた黒いパラソルを手に持ち、黒いレースのフリルがついたドレス姿のアルテミスが、にこやかな笑みを浮かべて入って来た。
「あっ、アルテミス様!」
部下たちが驚いている。
「ヒュー」とバッカスが口笛を吹く。
アルテミスの後ろから、市長がいそいそと、アルテミスの大きなスーツケースを持って入って来た。その後ろから都市の男の人が得意気に、校長先生や滝口先生と同じ長方形の箱を持って入って来る。
さらにその後ろから、エルザたち3人組が入って来て
「うそっ!」
「そんなっ!」
滝口先生と同じように驚き、部屋の中を見回している。
アルテミスが、にこやかな表情で
「キングからの差し入れよ。」
「あっ、じゃあ、このテーブルの上に置いて下さい。」
私はその上を片付けながら指し示し、校長先生たちが次々と積み重ねていく。
エルザが
「あなたたちの誰かが、出したんじゃないの?」
「出していませんわ。」とフローラ
私と他の女神たちもうなづく。(キングならできるけど・・。)
「いつから音が聞こえ始めましたか?」とヒアキッソス
「えっと、あれは・・。」と、エルザは思い出そうとし
「けっこう前だよね。」とスカーレット
滝口先生が
「クリスマスパーティーの後だったかしら? あっ、そうそう2年ぐらい前のクリスマスパーティーが終わった後、あの階段を上がっていたら・・他の部屋の子たちはパーティーの後みんな家に帰ってて、だから、おかしいと思ったのよ。」
と、うなだれる。
「あーそれぐらいですね、私が生徒たちから苦情を聞いたのは、物音がするって・・。」と校長先生
「話し声もするって言ってたわ。」とはるか
「あの寮母は、いつから勤務していたんですか?」と藍白
校長先生がつらそうな表情で
「もう10年ぐらいになりますか? うちの元生徒なんですよ、頭の良い子で生徒会長もしたことがあって、なのに・・・。」
(校長先生の元教え子か・・)と思いながら、私は1番上の箱の蓋を開ける。
中にはお菓子が入った袋が30個ほど、底が見えないほどビッシリと隙間なく入れてある。(これ、キングのセンスじゃないな、リリスかな? クリスさんかも・・。)
バッカスも横から覗き込み
「あいつにはないセンスだよな、クリスに頼んだんだぜ。」
「だよね。」と言いながら私は、その中の袋を1つ取り出し
「良かったらお菓子、1袋ずつ持って帰っていいよ。」
「やったー!」
エルザたちは手を叩いて喜び、さっそく滝口先生と「どれにしようか?」といった感じで、笑顔で箱の中を覗き込み品定めを始めた。
「私たちもいいですか?」と校長先生
「どうぞ。」
箱を持って来た都市の男の人と体育教師、上は薄いグレーに下は青色の無地の袴姿の男子生徒も覗き込み、笑顔で1袋ずつ取っていく。
その後ろでは、校長先生が部下たちに鍵を渡し
「大浴室が、この1階の厨房と機械室を挟んだ左右両脇にありまして、(主人公たちがいる部屋から見て、下記イラストを参照)左手が女性、右手が男性になります。」
「異星人に体を乗っ取られたら、何か違いはあるんですか?」
先程の男子生徒がテーブルの前に立ち、アルテミスの方を見て
「あの教えて欲しいんですけど、異星人に体を乗っ取られたら、何か違いはあるんですか?」
全員が、男子生徒に目を向ける。
アルテミスは、にっこりとほほ笑み
「もちろん、性格も、行動も、着る洋服も、全てが変わるわ。でも、顔と体は本人だから、おかしいと思った時点で怪しまないとだめね。」
アルテミスの星が煌く瞳に見つめられ、男子生徒は頬を赤らめながら
「あ、ありがとうございました。」と頭を下げ
エルザたちに
「高森くん、すごーい。」と言われながら、彼女たちと共に部屋を出て行った。
その後に続いて、市長さん、都市の人、教師たちが頭を下げ、次々と部屋を出ていく。
最後に校長先生が
「それじゃ、私はこれで、そこの階段を下りた横の、突き当たりから2番目の寮母室(1階の見取り図の右上)におりますので、何かあったら声をかけてください。」
と言って出て行った。
私は、部下たちの方を見て
「明日の計画を話したいので、今から2時間後、でいい?(女神たち全員がうなづく。)ここに集まってください。」
「了解です、隊長!」とアオバ。ヨシツネもうなづく。
「それでは、2時間後に」と副隊長は言って、私の部下たちは出て行った。
「それでは失礼します、姫。」と藍白。
タガメ、サイケ、メロディー、ヒアキッソスとヒマワリも、次々と自分の女神たちに挨拶をして出て行く。
「お前らも帰れよ。」とマーズちゃん
「えー!! 私たち、マーズ様のお背中を流したいのに・・ダメですか?」とトカレフ
「うん、ダメだ。」
「えぇー!!」
「さ、ナナとミミもお帰りになって、疲れたでしょ。」とオフィーリア
「姫、私たちもお背中を流したいのです。」
「さぞかし、長旅でお疲れでしょう、と思いまして。」
フローラはローズに、バッカスはハピラキに、似たようなことを言っている。
私はアルテミスに
「お風呂に行こっか。」
「そうね。」
と言いながら、浴室の方へと歩いて行った。
次回
第8章ー寮(3階、1番奥の部屋)
3、「地獄姫を捜してたわよ。」
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