見出し画像

第5章、第二都市4、校舎(運動場、下駄箱周辺)ー「空気が、変わりました。」

◇太字の()は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。
 
主なグロシーンは省略しましたが、血に弱い方はお気をつけください。
省略したシーンが気になる方は、虹色らいんのホームページ内の小説をお読みください。(上のリンク先をクリックすると、当ホームページ内の小説のページに移動します。)

◇文章内の引用部分は、主人公が見ている幻覚です。


学校の1階の見取り図です。

 校舎の入り口に立ち、あらためてその建物を見上げる。
 所々ガラスが割れ、血のついたカーテンが風にはためいている。中は、2、3箱の下駄箱が横倒しになり、その間から血溜まりが見えている。
 私以外の女神たちは不安そうに校舎を見上げ、その部下たちが
「大丈夫ですか?」
と心配そうに声をかけ、手をつなぎあったりしている。
 大量殺戮のあった現場なので不穏な空気が漂い、殺された生徒たちの悲鳴や息遣いが残っているのだろう。(私は全然感じないけど…)校長先生や私の部下たちも不安な目で校舎を見回している。戦っている時は必死だったので、それどころではなかったから…あらためて凄惨せいさんな現場を見て、不穏な空気を感じ取っているのだろう。
 校長先生は私たちの方を振り向き
「えー・・・ちょっと案内できる状況じゃないので…」と言い淀んでいると
 左手の校舎の方から、茶色い目にメガネを掛け、肩にかかるぐらいの茶髪のストレートを揺らしながら、ピンクの赤い柄が入ったカーディガンに白いシャツ、紺のスカートをはいた20代後半の女性が「校長ー!」と言いながら、紙の束を持って走って来た。よく見ると手に持っているのは学校のパンフレットで、カーディガンの赤い柄は血のしみだ。
 校長先生は笑顔になり
「おぉー! 咲子くん、ありがとう、助かったよ。」
と言って、女性からパンフレットの束を受け取り
「えー事務と図書室の司書をしてもらっている木花このはな 咲子さきこ君です。」
「初めまして、木花 咲子です。」と女性が一礼する。
「素敵な名前ですこと。」とフローラ
 木花さんは頬を赤らめ
「失礼します。」
と言って再び、元来た方向へ走って行き、さらに校舎の角を右手に曲がって行った。(あっちに何があるんだろう?)
 校長先生は笑顔で「さあ、どうぞ、どうぞ。」と言って、パンフレットを配っていく。
 私はさっそくパンフレットを開き(来賓や先生用の出入り口か…)


主人公が見ているパンフレットの見取り図です。


 校長先生はパンフレットを配り終えると
「それじゃ先に寮の方へ、まだ、あまり片付いてはいないと思いますが、早くお休みになりたいでしょうし…」
と言って、再び前を向いて歩き出した。その後ろから私を先頭についていく。

 あらためて中に入ると、壁にいくつもの大きな血のしみが広がっている。

 私は校長先生の後について、ほとんど横倒しになっている下駄箱の間を通り、1段上に上がっている廊下に足を踏み入れたところで、


 女生徒が右の奥の方(教室がある方)から全速力で走って来るのが見えた。
 女生徒は上は白、下はワイン色の袴姿で、赤いリボンでポニーテールにした背中の中程まである、明るい栗色の長い髪を大きく振りながら、何かに追われるように時々、後ろを見ながら、私の前を通り左の廊下の奥へと駆けていく。
 

 幻覚なのだが、女生徒の激しい息づかいまで聞こえる。何か事件の原因に関係することらしい。(やっぱり校舎の左側が気になる。)とパンフレットを開けようとして気がついた。校長先生がいつのまにか振り向き、じっと私を食い入るように見ていることを…
「どうしました?」と私
「空気が、変わりました。」と言って、顔を上げ天井や廊下を見回す。
(それ、さっきフローラにも…。)
「変わった?」
 私は振り返り、後ろの部下たちや女神たちを見る。
 周囲をキョロキョロ見回していた女神たちや部下たちは、私に顔を向け全員が一斉にうなづいた。
(うーわからない、だからどうだっていうの? 自分についてわからないことは、どっちでもいいことなのだ。それより、この廊下の左の奥(来賓や先生用の出入り口)が気になる…。)
 校長先生は(まあ、いいか)といった表情で
「じゃ、こちらへ。」
さらにその奥の、渡り廊下の方へ向かって歩き出した。

次回
第5章、第二都市5ー寮(食堂)「おっ、なんかあったぜ。」

Copyright(C)虹色らいん2023 All rights reserved・・・・・・18

「面白い」「続きが読みたい」と思ったら、サポートしてください。 すぐに調子に乗って、投稿するスピードが速くなります。