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第9章、寮(3階1番奥の部屋、夢の中)ー1「地図を渡したでしょ。」


この引用部分の文章は、主人公が見ている夢です。

今回、夢2の中でショッキングなシーンが出てきます。
話の上で重要なので、隠していません。
気の弱い方は、ご注意ください。

*一部、グロシーンのため非表示にしたところがあります。
ご覧になりたい方は、ホームページをご覧ください。

【】の中の文字は、私(主人公)以外の心の声や、亡くなった人たちの声です。

夢以外の文章について
・太字の()の中の文字や文章は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。

・()の中の文字や文章は、作者による注釈です。

作者より


夢1「砂漠と由美ちゃん」

 昨日、ほぼ半日かけて歩いた村からA地区の砂漠の道を、由美ちゃんが、マントのフードをかぶって照りつける日光を防ぎながら、村のある方へと急ぎ足で歩いている。
 由美ちゃんの心の声が聞こえる。
【もう無理・・・もうこれ以上歩けない・・・いつになったら王宮に、たどり着けるの? 道を間違えているのかな?・・・。】
 そして、とうとう立ち止まり、下を向いて「ハアハア」と息を荒げ
【もうやめよう・・図書室で教えてもらった交霊術・・さっちゃんも誘って、お腹の張るのを治してもらおう、とか言って・・・地獄姫様はなんでも知ってるんだから、あれ・・もどうしたらいいか教えてくれるはず・・・。】

夢1
砂漠のイラストです。


場面が変わった。


夢2「20人の生徒」


学校と寮の位置を示した見取り図です。

 20人ほどの女生徒たちが学校を出て、渡り廊下を走り抜け、寮の扉へと殺到する。
 扉が左右に開き、木花 咲子さん(以下、木花さん)が姿を見せ
「みんな、こっちよ早く!」
 続々と女生徒たちが入って行く。
 全員が入ると、木花さんは周囲をうかがいながら扉を閉めた。
 その様子を、校舎の3階の廊下の窓から河原 幸子さんが見ている。頭を打ったのか、さすりながら・・・。


寮の1階と3階を合わせた見取り図です。

 再び場面が変わり、先ほどの女生徒たちが逃げ込んだ寮の中、木花さんが
「みんな、ここは危ないから3階へ。」
 生徒全員が何の疑問も持たないように、まるで導かれるように入って左手の階段(入ってすぐの『女性の部屋』の方の階段)を我先にと駆け上がって行く。
 3階に行くと手すりの所に、黒い服を来た偽の寮母さんが立っていて、二人部屋(校長先生がナナとミミに勧めていた部屋、見取り図の右上)のドアを開けて
「さあ、みんな、この部屋の中へ」
と待っている。
 そして女生徒たちは吸い込まれるように、そのドアの中へと入って行く。
 最後の1人がようやく気づき、震えながら後ずさって部屋から出て来たところを偽の寮母さんが
「ドン!」と背中を押し、ドアを閉めた。
 階段から木花さんが上がって来た。満足気な偽の寮母さんの顔とは違い「これでいいのか?」といった戸惑いが、顔に現れている。
 その下の食堂のテーブルの上を、ピンクのイモ虫ヒドラが目にも止まらぬ速さで、右腕がない由美ちゃんをくわえ、食堂にいる遺体で発見された2人を長い体に巻き付け、機械室から出て来た本物の寮母さんも道連れに入っていく。(遺体発見の経緯については第6章を参照)
 機械室のドアが、「ギー」というかすかな音を立てて閉まっていく。
 一方の、3階の手すりの所にいる2人は、気づいていない。
 木花さんが
「この後、自分で寝床に行くのよね?」
「ええ、窓を開けといたから・・地図を渡したでしょ。これは、みんなにも内緒よ。あなたと私だけのヒ・ミ・ツ。」

夢2



【来てくれてありがとう。】


寮の3階1番奥の部屋の見取り図です。

 私は夢から半分覚め、ウトウトしながら起き上がる。
 そこは寮の3階の奥の部屋の和室で、私と女神たちが布団を敷いて寝ている。
 外に出ると、アルテミスが寝室の学校側の出窓に両肘をついて、じっと学校の
1階の方を見ている。
(そういえば、あそこ、客や職員用の出入り口・・・。)
 私は声をかけずに、廊下の方へ歩いて行く。私を待っている人たちの声を聴きに・・・

寮の3階1番奥の部屋とその周囲の部屋の見取り図です。

 廊下の二人部屋の前の手すりには、先ほどの夢で、その部屋に入って行った女生徒たちが
【来てくれて、ありがとう。】
【みんなを守ってね。】
と口々に話しかけてくる。
 手すりから下を見ると、食堂に遺体の2人と本物の寮母さんが
【あいつを、やっつけてくれて、ありがとう。】
【見つけてくれて、ありがとう。】
【ありがとう。】
 右腕のない由美ちゃんも
【来てくれてありがとう。木花 咲子に見つかる前に、地図を捜して、あいつを殺して。】
 私が「了解した」という感じでうなづくと、女生徒たちや食堂にいる人たちが、次々と白い発光体となって天に登っていき、最後に由美ちゃんが涙を浮かべながら
【私の右腕を探して、そこに地図もあるから。】
と訴えながら、白い発光体となり消えていった。


次回

第10章ー寮(3階1番奥の部屋)
1、「なんで金具だけ、ついてんだ?」

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