4年前から見始めたニワカが語る今こそ男子バレーを見るべき理由

こんにちは、ここのアカウント多分フィギュア高橋くん関係がほとんどだと思うけど、競技引退したしコンペが見たいなあみたいなひとはちょっと目を通してもらえれば幸い。
無論お前なんかより前から見とるわ!って人もいると思うけど今見てないとしたら足を止めてみてほしい

私はガチで見始めたのは割と最近だしまだ把握してないルールも多々ある中であえてライトな目線から語ります。ハイキューとか好きな人はもっと入りやすいと思う

ここんとこ「ネーションズリーグで日本が負けなし8連勝!」というのを聞いてびっくりしてた人も多かった。
その中でも「相手が弱かっただけでは」とか「マジなの日本だけで本気でなかったんじゃ」とかここ数年強豪入りしてきたことを知らない人が無責任にディスカウントしたりしてイラッとしたけど
ここだけは訂正させてもらう
今回のネーションズリーグの戦績はワールドランキングに直結し、それはそのままパリオリンピックの出場権にかかわる。ここで上位にランクを上げておくことは五輪を有利に進めるのにめちゃくちゃ重要なので、既に開催国かつ前回王者のフランス以外は正直必死な大会である。
しかもブラジル戦アルゼンチン戦は不動のオポジット西田を怪我のため大事を取って休養させた上である。
フルメンじゃなかったのは日本の方なのだ。
少なくとも日本は4年前にはもう「つ、強くない?!?!」ってなってた。
ちょうど日本がノーサイドゲームからの流れでラグビー人気が盛り上がってたころだ。
ちょうどラグビーとほぼ同時にバレーのワールドカップをやっていた。
両方見てた私はたまたまバレーをつけた途端に目が釘付けになった。
わかるだろうか、それまでさほど興味もなく、誰が出てるかもわからん試合に目が離せなくなったのだ。かなりの訴求力だったと思う。
そこに自分のイメージにあった日本男子のバレーはなかった。
粘り強く、先行されても逆転し、スピードもパワーも段違い
その際に1人の若いゴリラwが目に止まった。
当時19歳、高卒すぐプロリーグ入りと同時に代表入りした若い化け物だった。
日本史上最高の選手と言われていた石川は既にべらぼうにうまかったし、でもスターが限られるとどうしてもマークされ負担が増える。
そこに出てきた「相手のブロックを手ごと破壊するスパイクを撃つとんでもないやつ」がいた。
その19歳はサービスエースを連発しベストサーバー賞となった。
今23歳副キャプテンの西田有志だ。
そしてバレーの試合が終わって、まだラグビーは続いてたのにどうにも空いた穴が埋まらなかった
それほどバレー日本代表の試合はすごかった。面白かった。龍神ニッポンは強かった。

長い低迷期を抜け、セリエAでプレイ続ける石川に続き西田も高橋藍も宮浦も他にも海外プレーヤーが増えるにしたがって、日本は旧カーブの右肩上がりの強さを見せ始めた。
昨年のネーションズリーグも日本は強かった。
ただブラジル、フランスのようなメダリスト国にはフルセットフルカウントで粘りながらも惜敗というかたちになった。
それでも相手国がビビるほど強かったし、最後の勝敗を決めたのは「勝ち慣れ」の経験の薄皮一枚だったと思う。
そういう経過を辿り、今回のネーションズリーグ、五輪がかかる重要大会で強豪相手に日本が8連勝している。
これは本当に、本当にすんごいことなのだ。
ブラジル戦、アルゼンチン戦では先行してからの追い上げでフルセットに持ち込まれて勝っている。
大会前に西田が言った通り「今は勝つ経験を積む段階」。これまで薄皮一枚で逃していたものを勝ち切っての成績なのだ。
特に7勝目8勝目は西田を欠いて変わりのオポジットに入った宮浦が破竹の活躍を見せた
西田さえ抑えれば…!の他国は正直絶望したと思うw

ここでなんでそんな強いのか、そしてなんで見た方がいいのか、ニワカなりにまとめてみた。

・8連勝という数字以上に日本男子が強い
バレーはスパイク叩きつけてなんぼというイメージの人もいるかもしれないが、とにかく今は速く、手札が多く、パワーがないとついていけない非常にクレバーでスピーディーな試合展開になっている。
ボールタッチ以外のところでも駆け引きが行われていて、ブロックの枚数を減らしたり騙したり、それが見てても追い付かないスピードで繰り広げられる。
で、今の日本男子、はっきり言って弱点がないのだ。
強いて言えば他国より体格が小さい。平均身長も小さい。関田は小さいし西田も186cmと攻撃特化のオポジットとしてはぶっちぎりに小さい
なのでネット側で高い位置から叩きつけられると弱いという弱点はなくはない。
だが「こいつを抑えれば機能しない」という1人だけのキーマンがいない。石川西田高橋藍の三人にいたってはフルパワーで打てば球が見えないスピードとパワーだし、そんな力がありながら視野が広く緩急をつけてくる。
前衛のミドルブロッカー陣はオポジットやアウトサイドヒッターのお株を奪う得点力でクイックを叩きつけ、相手チームが誰につくかを絞りきれない。
セッターの関田素早く正確なトス回しは試合を支配し、また選手のメンタルすらコントロールする。
スパイク姿勢に三人くらい同時に入るが誰が打つかわからない。
ダミーか本命か、実はどっちでもない。ただの囮はいなく、相手の反応に合わせて誰でも即断でうてるようになっている。
攻撃のバリエーションも広く、どんな仕掛けをしてくるかわからない。
そして今の快進撃は「日本だけ最初からフルスロットル」なわけではない。むしろスロースタートで、ギアを上げるタイミングを見定めてる。まさに強豪の戦い方をしている。
相手に流れが行きかけてもどこかで必ず切れる。だから先行されてても誰も焦らないし、うちいそがない。
日本の弱点のなさから相手国の方が焦ってミスを出し始める。

・ブレイクできる手札の多さ
通常攻撃での日本の強さを前提に、サイドアウトの展開においてサーブ権を持つ側が先に相手のアタックを受ける形になるから大体交互に点が入りやすいため、サーブ権を持ったチームがブレイクすることが大事になる。
そこで日本の強みの一つに「サーブの強さ」が効いてくる。
実は日本はサービスエースを狙えるビックサーバーの枚数が異常に多い。
サーブの代名詞みたいになった西田をはじめ宮浦もすごいサーブ撃つし、石川、高橋のサーブも強烈。加えてミドルブロッカーが無回転のフローターサーブで崩してくる。はっきり言って敵に回したくない最大の国だと思う。
これだけ攻撃の強さを解説すると撃たれ弱いのでは?と思われるかもしれないが、日本の強さの双璧に「守備の強さ」がある。
相手のスパイクをレシーブする、相手のビッグサーブをレセプションする、とにかくうまい
リベロの山本が小さい体で守護神の名に恥じぬ形でしっかり切る。
そうなるように実は前段階から仕掛けられていて、ブロックでクロスを締めてストレート方向を敢えて開けて相手にコースを絞らせてからのディグ、
短期的な瞬間によるしかけだけじゃなくセット、試合、全体でじわじわ相手のメンタルをコントロールすることでさらにプレッシャーをかけて打つコースを誘導していく
そこまですればうちの守護神はバリバリ拾ってくれるし、高橋藍のレセプションもディグもリベロ並み(実際やってた)だし、石川もオールラウンダーなのでうまい、西田も最近ディグが強くなった
レセプションやディグのよさってただ拾うだけじゃなく「ワン」をいかにセッターがあげやすいところにあげるか
これが芸術的
ワンをいかにいいところにあげるかは良すぎるとそれがフェイクセット(ツーでOHがセンターからのバックアタックと見せかけてスパイクモーションからOPに空中でトスに切り替えるアツい技)に繋げることもできる。
そして関田がどんなレシーブも早く、優しいトスに繋げるw
関田のトスがまたやばい。バックトスなんてただでさえ難しいのに、その距離を9mのコート幅いっぱいに完璧にコントロールする。
それもトス自体のコントロールだけの話じゃなく、相手ブロッカーの位置や視点も把握しながら欺き、アタッカーのスパイクコースをこじ開ける。
ネットに近すぎるボール処理をワンハンドバックトスで打ちやすいボールにつなげるし、またどんなトスにもアタッカーも合わせてくるんだわ
攻撃力が強い上に粘り強さというもともとの利点も維持しているのである。
誰が後衛でも前衛でも「怖いやつしかいない」のだ
今唯一課題とされてるS1ローテ(関田サーブでレフトが左利きOPでライトが右利きOH)の時の攻撃だけど、最近のパナの試合見てると西田は克服しつつあるな

・現在のバレー自体の面白さ
色々試行錯誤しながら毎年ルールが変わるのもどの競技でもあるけども、とにかく今のバレーは非常にスピーディーでクリーン。だからストレスがない。
インアウト判定はセンサーで自動判定されるから疑惑の持ちようがないし、主審判定で疑惑があったら正式な「チャレンジシステム」でスロービデオでの確認を申請できる。ルールが明確なのだ。なんかよくわからないけど理不尽!!みたいのを削ぎ落として、今競技としてもベストの状態と言える。
スピーディーな試合展開のために余計なものは無くし、状況によっては足を使ってもOKwだったりなので、無理に頭から飛び込んで怪我、というパターンを減らしていると思う
むしろモヤモヤが溜まってたら龍神ニッポン見ようぜくらいの気持ちよさ
快勝も、フルセットの粘りも、見事なカタルシスをくれる。

日本ラウンド、フランスラウンドを終えて、8戦全勝の日本が暫定首位。2位が強豪アメリカ。
世界ランクで近いセルビアには3-0で終わっていて、実際の強さにまだ世界ランクがついてきてない状況。
接戦を勝ち抜く経験もすごい勢いでしている。

追記
この後ネーションズリーグは見事銅メダル獲得!それもイタリアを下してのメダル。1位ポーランド、2位アメリカ、3位日本なのだけど、これがなんとワールドランキングにかなりそのまま。今1位ポーランド2位アメリカ3位イタリア4位日本なのよ。やばくね?
そして24年1月現在、五輪選考試合世界選手権で日本はがっつり五輪出場決めました!2戦目まさかのエジプトにフルセットでの敗北後、3-0での連勝、もうセットも落とせないというプレッシャーでどんだけ漫画みたいなんだいまだに録画見ちゃうもんね試合

・ライトな視聴者にも安心設計
最初に「クレバーな戦いが多く頭脳戦がすごい」とボールタッチは氷山の一角であることを言ったが、いきなり見てもそんなのわからないのではと思うかもしれないが、そんなのわからなくてもスピーディーで凄まじいので普通に面白いし、何しろ実況解説が超バレーオタクなのでめちゃくちゃ見てて全部説明してくれる。ルールもいちいち説明してくれる。
特に福澤さんの解説がやばい。代表選手一人一人の行動も心理も把握してるし、対戦相手のチームだけじゃなく個人個人の今だけじゃなく大会通した傾向と調子も全部把握してて細かい対策を語れるし、即時には結果に現れてない仕掛けも読み取って狙いを解説してくれるのでめっちゃ試合の解像度上がる。マジで神解説
ルールなんか見ないでエンタメとして見て〜とか言ってる某業界とはえらい違い
ルールを知ってもらうと尚面白い!本当に面白いものは知ってもらいたいと思って当たり前なのだ
わかった上で見ないとファンなんか増えないのだ

・ビジュアルも個性も
知らない人みてもねえという人には一度見たらわかるビジュアルのよさ、プレイも性格も個性的、明るい、吠える、踊る、大変魅力的なので、とりあえず一試合見てほしい。それで合わなければ仕方ないから!

むろん先人の礎のもとに今があることは100も承知、でもその先人たちが「今の日本ヤバイ」「マジで強い」「凄すぎて笑ってしまう」「止められる気がしない」「勝敗表写真に撮っておきたい」とはしゃいでいるのだ。
あの子はメンタルが強いからーとか一緒に戦った記憶と思い出を反芻しながら。
先人が拗らせず今の人たちに敬意を払い、またその逆もしかりで、いい関係を作っている。まさに競技としても健全なありようがここだけ見てもわかるし、非常に成熟している。
流行った時がピークではないのだ。
今の代表はほとんどスタメンは決まってるようなものでそれがそのまま毎年底上げされてるのがすごいけど、それもいつどうなるかなんてわからない。
でも今、確実に面白くて強い今を見てほしい。

あくまでライトな目線なのであまりルールには突っ込めてないけど今の日本男子バレーは紛れもなく史上最強なので、見れる環境の人は隙あらば見てほしい。

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