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YouTube新妻免疫塾から書籍が発売となりました

拙著「Dr.新妻免疫塾~正しく知る! ウイルス感染と免疫の基礎」が発売されました。本書はYouTubeで計45万回以上再生されたやさしい解説動画を出発点に、理科が苦手な方でもウイルス・免疫・検査に関わる生物学の基礎の基礎をゼロから学べるようまとめた入門書です。


新型コロナウイルスの感染拡大以降、生物学・医学に関する専門用語が含まれる情報に触れる機会が格段に増えました。私たちは、体に侵入してくるウイルスや、それに対応する免疫システム、ウイルス感染症に関わる検査について様々な情報に触れてきました。

しかしながら、生物学に馴染みのない方々にとっては、受け取った情報の意味を理解するのに苦労したり、その真偽の判断がつきにくかった経験が沢山あったのではないかと思います。家族や友人とのコミュニケーションをきっかけに「わからない」は感染症に対する過剰な不安や楽観をうみ出してしまうことに気がつきました。

免疫学の基礎研究を行っている私と妻は、「何か自分たちにできることはないか?」と考え、専門用語なしに新型コロナウイルス感染症に関わる生物学をやさしく解説する動画教材をYouTubeで公開し続けてきました。

YouTubeなど全く素人だった私たちが作成した動画はインターネットの力で瞬く間に広がりました。動画を学校での授業教材や課題にご使用いただいたとの連絡も入るようになりました。

知識を提供することで役に立てている嬉しさの反面、想像をはるかに超えたスピードでの広がりに動画の作成には尋常ではないストレスがありました。「どこかに見えない糸があってそれに触れたら爆発してしまうのではないか」そんな感じです。

感染症は人の命に関わる問題です。基礎研究者であり、医療従事者ではない私の発信で、もし誰かが直接的な被害を受けたら?など心配は尽きることはありませんでした。支えになったのが、チャンネルのプロデューサー・動画編集者として方針を一緒に決めてきた妻でした。


専門用語を使わない基礎知識の解説に徹する・公のソースをもとにする・可能性と結論を区別する・個人の意見を言わない」というルールを定め、徹底してこれを守ってきました。

専門用語は、専門家同士がコミュニケーションを円滑にするために使われている言葉です。やさしい説明のない専門用語の乱用は、背景知識のない人を置いてけぼりにしてしまいます。「情報を得ることにおいて、誰も仲間外れにしたくない」ただただその思いでした。さらには、世に飛び交う情報に完全に間違っている・完璧に正しいものはありません(0 or 100ではない)。だからこそ「まず基礎知識を理解することで、自身で情報の判断をすることができる状態が実現できないか?そして私たちの動画からどんどん他のところに飛び立って欲しい」と考えていたのです。

活動は多くの人の助けを得て広がりました。友人の兄のライターさんは、私たちの活動を大変わかりやすく記事にまとめてくださいました。

NewsPicks副編集長の後藤さんとは一緒に記事を作って基礎知識を届ける生配信のライブを行いました。ここで得た経験をもとに、妻の発案でYouTubeでのライブ講義とチャットからの質問に答えるQAを開始しました。

SNS医療のカタチでは「ゼロからわかる、やさしい免疫学」と題してお話しさせていただく機会を得ました。プレゼンを作るにあたってほむほむ先生、ヤンデル先生に親身に相談に乗っていだきました。本当にありがとうございました。

予防医療普及協会の場では、堀江貴文さんとウイルスに対する免疫応答と記憶のメカニズムの基礎に関して対談をさせて頂きました。貴重な機会を頂いたことに感謝しております。

また峰宗太郎先生にはワクチンの基礎と新型コロナウイルスワクチンに関連する10個のポイントを当チャンネルのYouTubeライブにてご解説頂きました。2時間40分もの長時間、わかりやすい解説スタイルで知識を共有してくださり心から感謝申し上げます。

峰宗太郎先生のご著書はこちら、インタビュー形式の記述が大変わかりやすくおすすめです。

以上は無名の若手在米ポスドクが情報発信を初めてわずか9ヶ月の間に経験したことでした。数多くの諸先輩方にご指導いただき、大変勉強になりました。初期の経緯は下記に記しています。(今後更新いたします)


拙著は東京図書の編集者・鈴木桜子さんからのご提案で執筆がはじまりました。自然科学系専門出版社として「正しい基礎知識を届けるやさしくて真面目な本を作りたい」とのプレゼンに心打たれたのです。

鈴木さんは、はじめてzoomでお話しした時に、私たちの動画の一部を使った自作の本のプロトタイプを片手に、熱い思いを語ってくださいました。
あの熱意のシャワーは一生忘れることがないと思います。

本書の4割程度の内容は下記の動画の文字起こしとイラストです。残りは動画では紹介しきれなかった知識を追加した上でさらに学びやすくなる工夫をしています。

具体的には、読者の皆さんそれぞれのレベルに合わせて読んで頂けるよう、文章をレベル別に3段階(講義・解説・コラム)に分けました。豊富なイラストを使いながらイメージを掴みとるための講義パートでは、難解な専門用語は使用していないので背景知識がゼロからでもスムーズに知識を吸収できます。

解説パートでは、新しく登場する専門用語に関しては1つ1つ丁寧に解説を付け加えながら、講義の内容を軸に枝葉を伸ばせるような説明を加えています。コラムでは、少し背伸びをした発展的な内容を書きました。

この本にしか乗っ本書のイラストは妻の監修のもと、自作のもの・いらすとやの素材・新妻免疫塾の視聴者で12歳のイラストレーターのコヤマノゾミさん作成のかわいらしい素材を組み合わせて作成しました。ていないような秘密の情報は何一つありません。新型コロナウイルス感染症の話題を軸にして、関連する基礎的な知識を1つ1つやさしく解説して重ねたのが本書になります。

本書を通じた学びが、読者の皆様やその周囲の方々の感染症に対する過剰な不安や楽観をほんの少しでも減らす効果があることを心から祈っています。
また身を守るための知識収集としてだけでなく、「生命科学ってすごい!」と心が湧き立つ瞬間を提供できていれば幸せに思います。 

妻・東京図書の皆様・家族と友人・たくさんのコメントと質問をくださっている視聴者の皆様に感謝申し上げます。

新たなチームで「園児に免疫学を教える教材絵本」も鋭意作製しています。1月30日より、児童養護施設や子供病院へ絵本を届けるクラウドファンディングを実施いたします。ご協力をいただけましたら幸いです。 



今後書籍・絵本・動画に関連した告知が続くことになるかと思いますが、応援いただけましたら幸いです。

新妻耕太 徐昊珺(Lucy)

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