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新宿毒電波通信 第二号 音楽評 MUSI苦 「リボルバー」ザ・ビートルズ 


MUSI苦 niimino

MUSI苦「リボルバー」ザ・ビートルズ

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サイケデリアとともに新たな地平へ

 1966年にリリースされたザ・ビートルズのサイケ大名盤。ここでは本作の制作にあたって最初に録音され、アルバムの最後を締めくくった1曲「Tomorrow Never Knows」について解説したい。
 本曲はチベット密教の死後体験とLSDの変性意識の共通点を指摘したティモシー・リアリーの著書「チベット死者の書:サイケデリックバージョン」の影響下にある。その内容を暴力的にまとめてしまえば「死後もLSDもいろんなヴィジョンが見えるけど、それは幻覚だよね、マジで」という内容。本曲の「でも、君の夢の色彩に耳を澄ませて/そこに人生はない」という歌詞からも本著の影響が感じられる。楽曲面ではジョン・レノンは制作にあたって、プロデューサーに「最高峰の頂上で歌うダライ・ラマみたいな歌声にしたいんだよね」と無茶振り。これに対して本来、ハモンドオルガンに使用するレスリーのスピーカーをボーカルに用いる神対応を見せた。本曲でマッシュヘアの4人組は、キノコの狂気を引従え、音楽の新たな地平を切り拓いた。

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