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地方創生ってよく聞くけどイマイチわからない...そんな人に説明します

なんだか耳障りがよく、響きのいい言葉ですよね。

最近では他の報道が強くなっている部分もあり、各種報道では少し見なくなったり聞かなくなったりしつつある言葉のように思えます。それだけでなく、そもそも日本のさまざまな地域を盛り上げていく、という漠然としたイメージのあるような言葉ですが、実は具体的かつ明確な指針があることを認識している方は決して多くはないはず。

そこで耳障りはいいけど何だかわからない『地方創生』について、見ていきます。

地方創生国会

まず、「地方創生」と呼称されるに至った理由は2014年09月29日、臨時国会開会の冒頭で当時の首相である安倍内閣総理大臣が『地方創生国会』と位置づけてはじまったことに端を発します。

当時の臨時国会で安倍元首相は地方が直面する人口減少や超高齢化など構造的な課題に危機感を表明した上で「若者が将来に夢や希望を持てる地方の創生に向けて力強いスタートを切る」と説明。同時に首相官邸は「人口急減・超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、政府一体となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創成することを目指します。」と加え、より首相の言葉を強調するような発信を行なっています。

首相官邸「地方創生」サイト

また、同年5月の開催された「日本創生会議」人口減少問題検討分科会が、2040年までに全国約1800市町村の内約半数(896市町村)が消滅する恐れがあると発表した「消滅可能性都市」により自治体の危機感に拍車をかけることになり話題になりましたが、事実、2022年度から自治体の全域または一部が過疎地域に指定されるのは全国1718市町村(東京23区を除く)の51.5%にあたる885市町村に上る結果となりました。

地方の問題を政府が声高に「地方創生」と救済を叫ぶ理由

結果、国の財政負担が増している事実があり、それを認識しなければなりません。

政府が返済の7割を負担して自治体を支援する過疎対策事業費(過疎債)の費用として2022年度の総務省における当初の予算案では前年度比200億円を上乗せし5200億円を計上しており、これは2012年度の2900億円から約1.8倍に増えており、今後も人口減少や都市部への集中が続けば増額が避けられない見通しです。

では、なぜ、国として地方創生を叫ばなければならないのかというと財務省サイトを訪問し「地方の財務残高」を確認すると193兆円に登ることが明白になっており、過疎化や消滅可能性都市の存在が国の財政に向けて大きな痛手を与えていることが明白になっていることがわかります。

これら2010年代には年金問題と同様で大きな問題となって認識できていたからこそ、2014年の「地方創生国会」といった呼称を利用し、大きく周知していくための方法を取ろうとした態度を取らざるを得なかったと受け取ることもできます。

まち・ひと・しごと創生法

政府が発令し、わたしたちの耳にまで届くようになった「地方創生」。その具体的な取り組みとしては冒頭に記載した地方創生国会と呼称する以前からの動きでした。

2014年07月18日に閣僚懇談会で「まち・ひと・しごと創生本部」の設置を当時の安倍首相が支持し、2014年09月03日に内閣府へ創設され、その後、2014年11月21日に『まち・ひと・しごと創生法』が成立することとなりました。

当初の目的や基本理念といった事柄は以下の図に示されているのですが、果たしてどれだけ実現し、日本の地方創生はうまく運べているのでしょうか。

図1_まち・ひと・しごと創生法案の概要(内閣官房)

地方創生のいま

地方創生は2014年以降、具体的な法案の設立やさまざまな交付金施策の実施を伴って実行されてきました。2014年から2019年までを第一期、2020年12月から2024年までを第二期として、それぞれの地方創生を実現させるために方々で政策の方向性を練り直した形になります。

新潟県で最も大きな都市である新潟市だけでなく、各地市町村で同様に総合戦略が練られては発表されておりますし、第一期の評価も掲載されています。みなさんのお住まいになっている地域や市町村の地域創生の自己評価がどうなっているのかを興味があれば覗いてみください。

新潟市まち・ひと・しごと創生総合戦略(2015~2019)

第2期新潟市まち・ひと・しごと創生総合戦略(2020~2024)

この間、新型コロナウィルスの感染拡大といった未曾有の感染病対策が発生したこともあり、日本だけでなく世界全体で経済活動に支障が出たり、2021年02月24日からはじまってしまったウクライナとロシアの間で行われている紛争などもあり計画通りに推移しているとは言い難い状況であることは言うまでもありません。

最近、よく耳にするようになったDX (デジタル・トランスフォーメーション)や移住定住などのキーワードは、地方創生における各地方都市が掲げる施策の一部であることはいうまでもないわけですが、なぜに各地方都市でそこまで必死に声を上げ続けるのか。

それはもちろん、各地域で人がいなくなること=都市の消滅であることが明白だからです。

それだけ皆が必死になっていると言うこともできますが、同時に、冒頭で記載している通り、日本の自治体の半数以上が過疎地域に指定され、消滅可能性都市として数えられるようになったと言うことは、各自治体で別々に努力をすることが果たして正解なのかどうかを考えなければならないのではないかとも思えます。

最後に

それぞれの自治体が自分たちなりにがんばろうと必死になればなるほどに、人々は合理的な判断をおこなってしまった結果、「東京一極集中」の形はむしろ強化される形になって行っているようにも見えますが、詰まるところ大事になってくるのが、自分や家族を含めて「どこの地域で何をして生活をしたいのか」を丁寧に考えることなのではないかと思うのです。

あなたの住む町は、どんな街にしていきたいと計画し、その結果はどうなっていますか。

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