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艶やかな表情と美しい木目から感じる温もり 神奈川県の小田原漆器

小田原と聞くと、小田原城や北条氏をご想像される方が多いかもしれませんが、小田原漆器はそんな歴史的な背景と共に栄えた、神奈川の伝統工芸品です。

今も尚受け継がれるその技は、小田原市の取り組みで「小田原丼」のどんぶりとして市内の飲食店に導入され、地元の漁港で上げられる新鮮な刺身と一緒に提供されたりしています。

小田原丼を提供している飲食店をまとめたサイトがあるので、小田原に行く機会があれば、是非器と食材で小田原を感じてみてください :)


~今日の伝統工芸~
神奈川県小田原市の小田原漆器

【小田原漆器とは】
神奈川県小田原市発祥の伝統工芸品で、室町時代より生産され始めたとされている。

特徴は、なんといっても自然の美しい木目と、拭き漆や木地呂塗による艶やかな表情だ。

僕が工芸品に興味を持ち始めた当初は黒の上塗りでマットな感じが好きだったんですが、小田原漆器の製造販売所を訪れ大小さまざまな器に囲まれるうちに、その光沢と落ち着いた色合い、素材を感じる木目に恋をしていました。実に軽い男です。


【技術】
小田原漆器は、木を器などの形に形成する木地挽きと、漆塗の分業で完成する。

【木地挽き】
木地挽きではまず粗削りを行い、その後、水分含有量が13%になるまで乾燥させる。
乾燥の方法には、燻煙乾燥や乾燥機を使用する方法、ひたすら外で乾かすといったやり方がある。ベストな乾燥方法は燻煙乾燥と聞いたことがあるが、今度調べてnoteにまとめます。
乾燥が終われば、ろくろで形を仕上げ、木地挽きが終了する。
【塗】
塗作業では、まず刷毛で生漆を塗り込み木地固めを行う。木地に漆を吸わせることで頑丈にし、変形などの狂いを抑える作用がある。小田原漆器の代表的な塗の技法としては、「拭き漆」と「木地呂塗」が挙げられる。

・拭き漆
生漆を塗り、拭き上げる作業を何回も繰り返す。これにより、耐久性、耐水性、耐熱性を兼ね備えた、頑丈かつ艶やかな表面に仕上がる。完成品を手に取ると木の肌触りを感じられる。

・木地呂塗
木地呂塗は、下塗り・中塗り・上塗りとして生漆を塗り、仕上げに角粉(つのこ:鹿の角を焼いて粉末にしたもの)を手に付け表面を磨く。完成品はより漆の肌触りを感じられる。


【歴史】
小田原漆器の起源は室町時代まで遡り、箱根山系の豊富な木材を使用し、木地挽きされた器に漆を塗ったのが始まりとされている。

その後、北条氏康が小田原漆器を発展させるため塗師を城下に招き、彩漆塗りの技法も用いるようになった。

江戸時代には盆、椀などの日用品の他に武具類にも漆を塗るようになり、江戸時代中期には継続的に実用漆器として江戸へ出荷するなど、箱根関所を要する東海道屈指の城下町、宿場町として漆器つくりの技術が確立された。

【小田原漆器の現在】
詳細な事業者数や従事者数は調べても見つかりませんでしたが、小田原漆器の木地挽きをされている方に聞くと、両手で数えられるくらいの人数でした。
そして最近、体調を崩されてしばらく仕事ができていない職人がいらっしゃるというお話もお伺いしました。

最も若い職人は40overだそうです。

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