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#62 対話で行う声のスタイリング【ボイストレーナー・西貴正さん・日本】2/2

放送は▼こちらから▼聞くことができます!
https://stand.fm/episodes/669cd6f2606c5dbf8b6b711f

みなさん、こんにちは。『うれしい たのしい 日本語 さいちゃんねる』日本語教師の さいとう あきひと です。この番組は日本語を勉強している人と日本に関わるすべての人にお送りしています。

今回も前回に引き続いて、ボイストレーナーで私の友達でもあります、西 貴正(にし たかまさ)さんに来ていただきました。 よろしくお願いします。 はい、よろしくお願いします。
はい、前回前半のほうでは、ボイストレーナーっていうお仕事についてとか、 どうしてそれを目指したのか、とか、あと、そのお仕事の中での面白さや大変さとか、15年続けているということなので、どうやって続けてきたかということを伺いました。 前半まだ聞いていないという方は ぜひ前半も聞いてみてください。
はい、そして今回後半のほうでは、ボイストレーナーっていうと、生徒さん、いろんな生徒さんが来たりすると思うので、そういういろいろな人にどういうふうに うまく教えられているのか?どうやってうまく接しているのか?っていう人間関係とかの面で大切にしていることや 気をつけていることについて伺いたいのと、もう一つは、やっぱりボイストレーナーって、もちろん言葉っていうものが強く関わってくると思うので、その言葉っていうものについて、どんなふうに思いがあったり、考え方があったりするのかなっていうのをちょっと聞いてみたいなと思っております。
はい。
はい、よろしくお願いします。
楽しみです。
始まってますよ。

で、ですね、まずそのお仕事の中で いろんな人が来られるわけですよね。 はい。
いろんな人っていう意味もいろいろあると思うんですけど。
はい。
まあその、こういう歌が歌いたいっていうのが まず皆さん違うわけじゃないですか。
ええ。
で、あと、どうしてボイストレーニングをしたいか っていうのもきっと違いますよね。
そうですね。
ひとくくりにボイストレーニングといっても いろんな目的がありますけど… はい。
…どういうふうに接していらっしゃいますか??
あの、レッスンに限らずなんですけれど、対話をする上で意識しているのは 主観と客観のバランスですね。
うん。
あの、コミュニケーションを図(はか)る上で最も大切だなと思うのが、それぞれの正義(せいぎ)を理解し合うことだと思うんですよ。
うん。
伝わります?これ。
伝わります。 あの、特に…
正しいものってことですよね。 みんな正しいものが違うから…
そうそうそう。
…正しいと考えるものが違う。
ほんとおっしゃる通りです。 あの、レッスンって呼ばれる業態って、あの、一歩(いっぽ)間違うと正論(せいろん)突(つ)きつけてしまいかねないじゃないですか。
ああ、このやり方が正しいんだからみたいな。
そうそうそう。
で、それがね、お相手にとって心地(ここち)いいものになるかっていうのは 常(つね)に見極(みきわ)める必要があるのかなと思っていて。
うん。
ほんと全ての客観的事実を ね、ぽんってテーブルに乗せて その時々の目的において「じゃ、今回のケースではどの見解を採用しようか」っていう 協議を丁寧に行うことを大事にしてますね。
うーん。 なるほど。じゃ、それはその生徒さんが 技術的に上手になるために この人にはこういうメニューとか、こういう方法がいいっていうことを提供するってことですか?
あのー、なんでしょうね、提供するっていう 感覚も僕にはあまりなくて、生徒さんとその講師っていう 上下関係じゃなくて 並走(へいそう)関係でありたいなと思ってるんですよ。
ああ。
あの、いわゆる「ティーチング(teaching)スタイル」ではなくて「コーチング(coaching)スタイル」っていう表現になると思うんですけれど、あの、知識をね、教えるのではなくて様々な提案をして「あなただったら、どれが合うかな」っていうような お話を一緒に模索(もさく)していくっていうのが 正しい感覚ですかね。 で、それってなんかスタイリストってあるじゃないですか。
はい、はい。
ヘアスタイリストとかファッションスタイリストって その方の良さを引き出すための提案ですよね。 そういった職業と近いのかなと思っていて。だからその、なんでしょう、ボイストレーナーって 発声とか歌い方を改善するっていう、そういうふうに思われがちなんですけれど 僕は持っていらっしゃるものをいかに自然に その方の持ち味として 魅力として使えるかってことを意識してる感じがありますね。
じゃ、まさにその人に合わせたスタイルを紹介したり、一緒に考えていくっていう感じですかね。
本当におっしゃる通りですね。 だから「スタイリストさんみたいですね」って言われることが多くて。そう、だからあの、数年前にね、YouTubeとか 他のSNSとかでも「ボーカルスタイリスト(vocal stylist)」っていう肩書(かたが)きで 走らせたって経緯があります。
あの、YouTubeは紹介していいんですか?
あ、そうですね、今更新が止まってますが。YouTubeもやらせていただいています。
YouTubeチャンネルが西さんお持ちですよね。 今はちょっと更新お休みしてるんですよね。
そうですね、もうそろそろ再開できたらなと思っていますけれど。
でも今までの、そのYouTubeに上がっている動画もすごく面白いから。
そうですか、ありがたいことに見てくださる方からは すごくDMいただくんですけれど ちょっと本業を…
始まるんですか?
…真剣にやっています。
また始まるんですか?
またね、始めたいなと思っています。
ぜひ。はい。なんか、他のその、ボイス…なんだったっけ。ボイストレーナーの方とは、ちょっと違うテイスト、ちょっと違う雰囲気でやってましたよね。
そうですね、見てくださる方も若干(じゃっかん)違うみたいですね、層が。
ああ、そうなんですね。何がいいとか悪いとかじゃなくて、あの、ボイストレーナーの人のYouTubeのね、ボイストレーナーの人のイメージって、うわーっていう、なんか。
元気なね。
そう。「はい、皆さんこんにちはー!」みたいな。
いや、本当はうらやましいですよ。
「山を動かす感じで!」みたいな。
どんな動画を見られたんですか。
「頭の上から引っ張られるような声の出し方を」みたいな。
よくありますね。
そういうね、イメージだったんですけど、本当に今しゃべられてるような落ち着いた感じの、声も心地(ここち)いい感じの…
あ、そうですか、うれしい。
…はい、雰囲気で。あ、それですごく見やすかったから。
あー、そうですか。うれしいな。
はい、また始めてほしいです。
はい、ありがとうございます。

最初に「対話」っていう言葉も出されたので やっぱりその一方的に教えていくっていう感じではないんだろうな っていうのはすごく思ったんですけど。
そうですね。
やっぱりその通りでした。
どうしてもね、先生って、やっぱり圧(あつ)が出てしまうとか 実際にボイストレーニングにお越(こ)しになる方の中には、あの、本当に怒られるんじゃないかって ビクビクしながらいらっしゃる方も多いんですよね。そういったところのイメージは、それがダメってことではなく、それだけじゃない、 本当に癒(いや)しの空間になったらいいなっていう、そういったところも意識はしたいなと思います。
確かになんか、緊張したりちょっと萎縮(いしゅく)すると、萎縮ってなんか、怖がったりすると、声って出なくなりますもんね。
そうなんです。
そもそも。
あの、声ってすごくおもしろくて、未(いま)だに医学的には解明されてないことが多いんですよ。
へえ。
どこがどうなってこの声が出てるのか?っていうのを 完璧(かんぺき)に解説できることって実は少ないんですよ。
頭の中みたい。脳とかもね、そうやって言うから。
この数年の間でも「今まで見つかってもなかった骨(ほね)が見つかった」とかね、そういうニュースもありますよ。
へえ。
だから本当に精神(せいしん)とマインド(mind)と声っていうのも繋(つな)がってるし、不思議なことは多いです。スピリチュアル(spiritual)ですよ本当に。なんかねスピリチュアルのことに精通(せいつう)してらっしゃる方が 僕のSNSとか見てくださってるっていうのを聞いたことがあります。 多く。
そういう雰囲気を感じるんじゃないですか。
そうですか?
そうですか?
いや恐縮(きょうしゅく)です。
そうかもしれない。でもまあ、にっしーと、こう話してると、やっぱりなんて言うのかな、こちらが言うこともすごい認めてくれるし、なんか対話をしようとしてくれてるから、否定しないでしょ?
うーん。
あ、する時もあるか。
否定… いえいえいえ。否定する必要性を感じない。
うんうんうん、そうそうそうそう。
というか 全てに正義がありますからね。
うん、そうそうそう。だからなんか、その僕たちそういう、そういうところが共通してるから…
そうですね。
…話しやすいっていうのもあるのかもですけど。
あきひと先生も人のこと悪く言いませんもんね。
本当に言ってます?
思いますよ。本当にそれ思いますよ。
本当?
うん。
悪く聞こえないように言ってるのかも。
コラ。コラコラ。
はい、じゃ、そういうことにしておこう。
はい。
でもあの、はい、お話を聞きながらすごい、自分で自分に質問をして問いかけて 気をつけようと思いました。
いえいえ。
圧(あつ)とか。
あ、本当にね。
そうそうそう。僕も学生とはできるだけ対話をしながら 自分の押し付けにならないようにっていうのはすごく思ってます。
特にね、まだ日本語が100%おわかりになる方ばかりじゃないですもんね。
そうそうそう、ね、それこそお互いに育ってきた、なんていうの、習慣とかももちろん違うし。
ね。
環境も、まあそれは同じ国の人同士もそうだけど、違うから、違ってて当たり前だって思いますよね。
うんうんうん、いや本当に本当に。
ね、ね、だからね。そこからどうしていくか、みたいな話ですよね。
おっしゃる通りですね。

あ、じゃ、その技術面だけじゃなくて。
ええ。
「合わない」というか、簡単な言葉で言うと。
ええ。
「この人とはちょっとうまくいかないな」とか「合わないな」とか、やっぱ人間同士だから、どうしてもあると思うんですけど。
ええ。
そういう時も、じゃ、今話されてたようなマインドっていうか考え方で進めていくっていうことですか?
そうですね。そもそも「合わない」って、あんまり思わないですね。
ふーん。
その方にはその方のスタンス(stance)だったりとか 感受性(かんじゅせい)っていうものがあるわけで、それが、ね、自分と、なんて言ったらいいんでしょうか、いわゆる、あの、ちょっと毛色が違うなと思ったからといって 合わないのではなくて、どうやってコミュニケーション取るかっていう、ただそこの模索(もさく)に繋(つな)がるだけでしょうか。
なるほど。
ええ。
なんか、その受講生、生徒さんだけじゃなくて、あの、会社役員っていう肩書きもお持ちなので、生徒さん以外の、その会社の人とか、そういう経営していく上での関係とかもあるじゃないですか。
ええ。
そういう人たちに対しても、じゃ、そういう 思いで接(せっ)してるってことですか?
もちろんです。あの、「主観」っていうものを大きくしてしまうと どうしても争(あらそ)いって起きるような気がするんですよね。 でもそこにあるのって客観的な事実だけだと思ってて、それをどう解釈(かいしゃく)するかによって変わってきませんか?
うーん。
うん、ね、なんか悪い雰囲気であっても、違う側面(そくめん)から見たら
「 いや、この方はただ単に緊張してるだけじゃないか」とか、「その方のバックボーン(backbone)を考えれば、この表現が、あの、至極(しごく)自然な状態なんじゃないかな」って。うん、けんか越(ご)しでお話しされていたとしても、ね、それが間違ってるとは思わないですね。うん。
じゃ、話がね、もしその考え方の違いとかで、平行線(へいこうせん)になっちゃうこととか、あるじゃないですか。
うんうんうんうん。
お仕事を進めていく中で。
ええ、それはそもそもの目的を擦(す)り合わせます。 目的に沿ってどちらのテーマを、なんでしょうか、採用するかっていうことを 一緒に相談し合うっていうことを大切にしたいなと思います。
さすが。すごいなと思いました。
いえいえ。

あ、それでもう一つちょっと伺いたいことがあって、その「言葉」っていうものをボイストレーナーさんも使って働いているわけですけど、どの仕事も言葉は絶対使うと思うんですけど、 特にそのボイストレーナー、言葉とは切っても切り離せない仕事だと思うんですが、その「言葉」っていうものに、どういう考え方とか思いがあるのかなって思って。
あの、ちょっと関係ないんですけど、ひとくんって質問の内容が 本当にお相手に興味を持ってるって感じのものばっかなので、すごい素敵ですね。
あ、ありがとうございます。 あのね、あのそう、ゲストの方を選んでいるのは私なので、興味がある人しか呼ばないんです。
いやでも、すごいこちらが嬉しくなるような質問をいつも並べていらっしゃるなと思いますよ。 なんかすごく皆さん楽しそうにお話されますもんね。 あ、この番組自体が「対話」をテーマに…
あ、そっかそっか。
…やっておりますので。
で、何でしたっけ?
何やそれ?。
言葉?言葉みたいな。
そうそう、「言葉」っていうものにどういう考え方があるのかなって。 大きい質問で申し訳ないんですけど。
ああ、いえいえいえ。そうですね、言葉。うーん、目に見えないものを見えるものに変える魔法(まほう)のようなものだと僕は思っていて。
なるほど。
それこそ、さっきもお伝えしたように、解釈によって見える世界って変わってくるじゃないですか。
はい。
そう、例えばね、音楽の世界ではセンス(sense)って言葉がよく用(もち)いられるんですよ。
ああ。
イメージ湧(わ)きません?
歌のセンスとか、音楽に乗るセンスとか。
はい。言葉ではっきり表すことができないから…
そうそうそうそう。
…センスっていう。
すごく抽象的(ちゅうしょうてき)な概念(がいねん)のような話と、センスという言葉を使って語られがちなんですけど、それを、それって言語化(げんごか)できるわけですよね。しようと思えば。 間違っていようが、なかろうが、小さなお子さんでも、例えばですよ、この人の歌い方はどうこう、みたいな抽象的な言葉で語ることができるわけですよね。

そう、あのおもしろい話があって、『コンセプトの教科書』って本、ご存じですか?
いや、知らない。
それを執筆(しっぴつ)なさった細田 高広(ほそだ たかひろ)さんという方がいらっしゃるんですけど、 その方が、その本の中で語っているエピソードでね、 昔、MP3プレイヤーっていうのが流行(はや)ったじゃないですか。 持ってました?
持ってたかな。
ウォークマンとかね。
あ、そういうのがそう?
そういう名前のがありましたよね。
じゃ、持ってました、持ってました。
そう、その時の多くの会社は、5GBの容量のプレイヤーみたいに、 その技術者目線で語った表現をコンセプトに売り出してたんですって。 だから、次は10GBのプレイヤーを出したぞ、みたいな感じで。 そんな時にね、2、3年後に、アップル社がiPodってプレイヤーを出したんですよ。 で、そのiPodってプレイヤーが、他のMP3プレイヤーを押さえて、 世の中を席巻(せっけん)してしまったんですよね。 その時のコンセプトが「1000曲をポケットに」っていう、 顧客(こきゃく)目線で語(かた)った表現をコンセプトにしたんですって。
1000曲って、あの、一千(いっせん)。
そう、一千曲。
数の千ね。
そう。
1000の音楽。
そう、これまでね、そう、容量、5GBのプレイヤーとかって言ってたわけですよ。 だから、同じこと言ってんのに、言葉を変えると世界がガラッと変わるじゃないですか。 そう、こういうのって、レッスンにおいても意識すべきだなぁと僕は思っていて、 トレーナーの、そう、教えたいことだけではなくて、 生徒さんがやりたいことを、言葉になってない思いってあるじゃないですか。 それを具現化(ぐげんか)すること。 再現性(さいげんせい)のある流れをお伝えするってことを僕は意識していますね。
なるほど。
うん。
だから、さっきのYouTubeの話に関係するけど、 にっしーが上げてる動画?の、その、歌の歌い方とか声の出し方の説明が、 すごくわかりやすいなと思ったのは、そういうところなんだなと思いました。
そう、なんかあの、感覚を大事にしたいっていうのとはちょっと違うんですけど、 目に見えるものを、なるべく一緒のものにしていきたいなって感覚はありますね。 そう、目に見えるものっていうのも感覚の一つではあるし、抽象的(ちゅうしょうてき)なものかもしれないんですけれど、 なるべくね、色を同じにしていく作業っていうのは、言葉でできるんじゃないかなって思います。

でも、僕それをそう考えたら、逆に日本語を教える際ってどんなことに気をつけてらっしゃるのか、すごい気になります。
突然の質問。
言葉じゃないですか。音楽よりも言葉じゃないですか。
うん。ま、それはやっぱりその、学生、勉強してる人に、わからない言葉で言っては絶対伝わらないので。
そうですよね。
その、ね、できるだけ、だから同じだなと思って聞いてました。
あー、なるほど。
その、相手から見えるもの、相手が理解できる、で、自分も理解できるっていう、同じボールになるように、なんか言うっていうことかな?…
えーすてき。
…っていう言い方が抽象的だけど。
あー、いやいやいやいや、すごく意識されてるとね、絶対変わってきますよね、表現がね。
ね、そう思います。うん。
そう、言葉って本当に魔法(まほう)だなと思います。あの、特に発声(はっせい)においては、あの、すごく抽象的になりがちな世界なんですよ、ボイストレーニングっていうのは。 例えば、「頭の上から出して」って語(かた)られたりとか「胸に響(ひび)かせるように」とかって、目に見えないじゃないですか。でも当たり前ですけれど筋肉(きんにく)の組織(そしき)だったりとか、空間っていうのは体の中に存在してますよね。 そういったものを難しくなりすぎないように、専門的になりすぎないように、ちゃんと言葉にして、あと感覚っていうのもお互いでわかるような言葉をなるべく擦(す)り合わせて。 で、じゃあそれをやっていきましょうか、っていう擦(す)り合わせをやってます。対話ですね。一方通行(いっぽうつうこう)になりがちですからね。
それって本当にボイストレーナーだけじゃなくて、もちろん日本語教師もそうだし、まあ、私たちが普通の生活の中で人と話していく中でもすごく大切なことだなって思いました。
そう思います。

そしてですね、あっという間に時間が過ぎていまして。
あ、そうなんですね。
そうなんですよ。
で、後半のほうでいつもゲストの方に聞いている質問なんですけど、好きな日本語とか大切にしている言葉などがあれば、一つ教えていただきたいんですが。
あ、はい。
どうぞ。
好きな日本語は、えーと、「侘(わ)び・寂(さ)び」です。
わびさび。これあの、日本語を勉強している人の中には初めて聞いたとか、もしかしたら思う人もいるかもしれないんですけど、これ2つの言葉ですよね、もともとは。「わび」と「さび」。
そう、これは、うーんと、僕のレッスンスタイルにも共通しているのかなと思うんですよね。
はい。
うん、昔ね、千利休(せんのりきゅう)という人が茶道の中で「わび・さび」という言葉を使って、「質素(しっそ)でありながらも奥深(おくぶか)い美しさ」それを表現したって言われてるんですよね。 例えばなんですけれど、世間(せけん)から年齢とともに劣化(れっか)が激(はげ)しくなっている、みたいな評価をされるアーティストとかっているじゃないですか。
劣化(れっか)っていうのはこう、上手にできなくなるってこと、下手になっちゃうってこと?
そうです。
簡単に言えば。
はい、エイジング(aging)ですね。 だけど僕は人間の変化っていうものは興味深(きょうみぶか)く捉(とら)えているところがあって、声の劣化って呼ばれているものは単なる経年(けいねん)変化だと思ってるんですよ。 経年変化。
そうそうそう。
年を取ると、変わっていくもの。
人間としての魅力(みりょく)の一つだなと思っていて、あの、家具とかでもエイジングっていう加工がありますよね。 ビンテージ感とかを増(ま)して良い空気感を醸(かも)し出したりとか、逆に価値が高まったりとか。 それと同じだと思っていて。あとその「わび・さび」っていうのは概念(がいねん)なので、なかなか説明がつきにくいものなんですけれど、近い英単語にするならば、「インパーフェクト(imperfect)」と「エイジング(aging)」っていうことで表現されるらしいんですよ。 だから「不完全性」と「経年変化」ですよね。 だから完璧(かんぺき)に仕立(した)て上げることが全てじゃないし、変化、あの、劣化ですよね。 「経年劣化」っていうものをネガティブ(negative)なものとして捉(とら)えるのではなくて、「変化として愛(め)でる」っていうのが、やっぱり人間の声を扱(あつか)う職業としてはすごく大事な価値観なんじゃないかなって僕は思ってるんです。 だから「わび・さび」って言葉を聞いたときに、「うわ、この言葉は僕のレッスンで大事にしたいテーマだな」って思ったんですよね。
なるほど。100%きれいなものになることが必ずしもいいとは限らないし。 本当におっしゃるとおり…最近、ね、その先人(せんじん)たちが築(きず)いた世界観っていうのを体に染(し)み込ませたいなと思って、茶道も習い始めました。
あ、ね、それ、そのお話はじゃ、アフタートークの趣味のお話と一緒に伺ってみたいなと思いますが。はい。
ありがとうございます。
はい、こちらこそありがとうございます。

お話に出てた西さんのYouTubeチャンネルもありますので。もしかしたら今後また更新が、そろそろ、もうすぐ?いつか?始まるかもしれないので、説明のところに、そちらのYouTubeのリンクもつけていますので、皆さんチェックしてみてください。 あとインスタグラムのアカウントもありますので、そちらも更新が始まったりするかもしれないので、はい、ぜひ皆さんご覧ください。 そして、この日本語さいちゃんねるのインスタグラムの私のアカウントもありますので、そちらも、ぜひ見ながら聞いてみてください。 日本語を勉強している人は今、西さんと私が話した日本語を文章にしたものを『note』というウェブサイトに書いていますので、そちらもぜひ文字を見ながらもう一度聞いてみてください。

それでは後半のほうでも、おもしろいお話を本当にありがとうございました。
こちらこそです。すごく楽しかったです。
ボイストレーナーっていうお仕事での考え方から、こう、みんな生活していく中で大切にしたほうがいいっていう内容のお話が聞けたので…
あ、そうですか。
…はい、本当に来てもらってよかったです。
え、光栄(こうえい)です。
はい。ね、なかなか普段こんな、こう深い仕事のお話ってあんまりしないから。 あきひとさんがね、ふざけてらっしゃいますからね。
なんですか。「あきひとさん」って呼んどいて、その内容はやめてください。
でもでもあのー、SNSとかを通じて生徒さん方から愛されてるなぁというふうに感じています。
すごい褒めてくれますよね、今日。
いやいや、僕、毎回褒めてますよ。てか、尊敬してますよ。
ああ、確かに。はい、伝わってます。

はい、ということで、あの、後半の方もありがとうございました。
ありがとうございました。
はい、じゃ、皆さんも聞いていただいて、ありがとうございました。
ありがとうございました。
はい、それでは皆さんに、うれしい・たのしいことがたくさんありますように、願っています。体に気をつけて過ごしてください。
ご自愛(じあい)ください。
あ、ご自愛ください。そうですね、暑いですからね。はい、じゃ、皆さん、また次回も聞いてください。はい、さようなら。
さようなら。
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😊 さいとう あきひと/Akihito Saito
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