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宣伝写真は憧れを煽るか、等身大か

今、2月のハノイ&ハロン湾のホテルをちらちら見てるんだけど、ベトナムのホテルの写真が私には可笑しい。
アイキャッチはパディントンホテルハロンベイビューからお借りしています。


これは後ろのハロン湾がよく見えるから、お借りしたけれど、他のホテルでも、がんばって正装しました!(日本だと銀座のお姉さん)みたいな恰好の人が、宣伝写真に使われていることが多い。

私はシービューを謳うなら、窓からの眺望を窓のフレームを入れた写真で見せてくれ!と思うけど、部屋はカーテンを閉めていたり、夕方から夜の撮影でよく見えなかったりする。
古い建物は窓も小さい。
私はどーんとピクチャーウインドーを楽しみたい。
もうそれだけを基準として、宿を探しているけど、それは売りじゃないんですね・・・

ベトナムの人の感覚だと、多分景色よりも、かっこいい男女がカクテルとか飲んでる方が「お~! ここ泊まってみたい」と思うんだろう。
私には現実とのギャップが大きすぎて、全く自己投影できない。
そんなドレスもってないし、仮に持っててもハロン湾にはもっていかないしと思う。

ドイツなら、きっと家族写真を使う。
とっても普段着の、何ならちょっと子どもが汚れたり、無精ひげだったり、ちょっとぽっちゃりしてたり、パジャマだったり、でも、みんなが満面の笑顔の写真。
多分、ドイツ人はそれを見て、「ああ、いいなあ。行きたいな!」と思うんだろう。


ちょっと頭ぼさっとしてるのがリアリティ


この左の女性のしわがいい!w


もちろんドイツにもゴージャスなホテルはある。
でも、そこに人を配置した写真を撮らない気がする。
自己投影しにくくなるから。

それにドイツの階級社会の方がはっきりしているから、元貴族(名前にvonが入ってる。英語のofで、そのあとに地名が入ることで、「どこどこの」と治めている場所が分かる。プリンスオブウェールズみたいな感じ)などと、庶民の生活は交わらない。
この人たちは、子どもをスイスとかイギリスの寄宿学校に入れるしね!
いつも行くホテルは決まっているし、お友達に勧められたら別のところに行くかもしれないけど、ホテルの比較サイトなんて見ない。
どこが安いかなんて知る必要ないもんね。
貴族ほどでない上級クラスもいるけど、この人たちも値切らない。

日本はそう考えるとちぐはぐな国だと思う。
みんなが中流だと思ってる?
フェラガモの靴を履いてるのに、地下鉄で通勤する。
ビジネスクラスに乗るけど、比較サイトで安いものを調べたり、クーポン券を使って買い物をしたりする。
鳥にも獣にもなれない蝙蝠みたい。

ドイツとベトナムの間みたいな感じかな。
ベトナムほど「憧れ」と現実は離れてないけど、何か物質を得るためにあくせく働いている?
私が学生のころは「本当の豊かさとは何か」みたいなテーマで反物質主義の兆しが見えたけど、そこから多少は進化したんだろうか。

りょーやんさんのサイトで、体験格差や貧困を理由に夏休みを短くしてほしいという人が増えているという記事を読んだけど、ドイツで同じことを聞いたら、夏休みを延ばしてほしいという意見が多いかもしれない。
https://note.com/kyoiku_library/n/nb907d24fe2ee?sub_rt=share_pw

もちろん、学校が6週間休みで、働く親の休みは2~3週間だから、預けるところがないと困るのは一緒だけど、地元のスポーツクラブや児童館的なところが1~2週間の「キャンプ」(毎日日帰りの合宿)を提供している。
安ければ1週間で100ユーロほど。
(最低時給は12ユーロなので、8時間ほど働けば捻出できる。
平日だけ働くとしても、残りの4日分はプラス収入になる)
もうちょっとお金を出せば、隣国での外国語の研修もある。
日本の子は塾に行くのかなあ。
ちょっとかわいそうだ。

旅行だって、車に荷物を積んでキャンプをすれば、お金をかけずに2、3週間過ごせる。
まあ、ドイツ人は旅行にお金をかけるけどね!

人口一人あたりの支出(ちょっと古いデータだけど、国連世界観光機関による支出の調査はこれが一番新しかった)は1年間で964ドル。
それより上位は香港の3000ドル越えと、オーストラリアの1000ドル強、英国の970ドルがあるが、国自体の支出と人口比を合わせて考えると、世界でも有数の旅行国と言えるだろう。

https://unwto-ap.org/wp-content/uploads/2017/11/UNWTO_Tourism_Highlights_2017_Japan_web.pdf

うちは今年は節約モードの10日のスペイン旅行(夫が長距離飛びたくないと言ったから)で、4人で3200ユーロちょっとだったから、4000ドル弱でちょうどのこの平均くらいか。
でも、タイや日本に行くなら、チケット代だけで4人で4000ドル以上だ。
ただ、物価は2017年からものによっては1.5倍近い上昇なので、今平均を取ったら数値は違うと思う。
物価があがりすぎて、旅行に行けない、縮小するという家庭は少なくなさそうだ。

それでも、それは一部の人の贅沢ではなく、老いも若きも、富めるものも貧しきものも、みんなが当たり前に享受している権利。
「衣食住旅」と言ってもいいくらい。
だから、自己投影しやすいモデルが使われる。
今どきテレビのコマーシャルもぽっちゃりの人や、見た目外国人っぽい人がとても多い!

どんな宣伝写真を使うのかで、その国のありようが垣間見えるのが面白い。
日本はどこを目指しているのかな。

肌の色にこだわらず養子縁組をするので、こういう写真もよくある。
最近は同性カップルを使ったものも増えてきた!




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