見出し画像

アメリカより差別/区別のないドイツ??

私の好きなYoutubeチェンネルの1つ、MrFujiで「アメリカのイメージ」についての回が面白かった。

https://www.youtube.com/watch?v=881oaW_rR8c



フィリピン系アメリカ人のバイロンが、「みんな、アメリカは人種を越えて付き合っているんだろうと思っているだろうけど、同じ環境(ここではアジア系アメリカ人)の人とつるむことが多い」と言っていた。
その理由として、文化習慣の違いを説明するのがだんだん面倒になるから、と。

それを聞いて、ドイツのが進んでるかも!と思った。
というか、実際には反対でアメリカの方がずーっと先に多民族社会になっているので、すでに長らく差別/区別の歴史があった。
山崎豊子の「二つの祖国」では、第二次世界大戦中の日系アメリカ人の扱いについてくわしく書かれていて、自分も二つのルーツを持つ子の母として、また日本人として、すごく胸が痛んだ話だった。
(できたら、もう二度と読まない。ていうか戦争反対!)

もちろん、アメリカも徐々に変わっていき、建前上はどんな人種(ルーツ)の人も、アメリカ人として等しいということになっているのだろう。
映画でも絶対白人の中に黒人とアジア人いるし、ルールがあるだろうと思う。
しかし、実際のところは、恐らく地域によって、またその層によって大分違いがあるのではないだろうか。

ドイツの多民族社会化は一気にやってきた。
戦後、労働者不足を補うためと、戦後の反省からたくさんの移民をトルコから迎えた。
一時西ドイツで外国人といえばトルコ人、東ドイツではベトナム人というぐらいだった。
フランスやイギリスのような植民地を持っていた戦勝国には、アフリカやインドなどから比較的多様な民族が入っていった。

それがEU諸国内の移動が自由になったこと、EUの加盟国が増えたこと、近年の戦争難民の受け入れなどで、爆発的に多様化した。

今やドイツで「この人は何人(なにじん)だろう」なんて考えてはいけない!
見た目がどんなだって「ドイツ人だろう」として対応するのがスタンダードだ。
だから、私ももちろんどっからどうみてもアジア人だけど、店などではドイツ語で話しかけれるし、なんなら道だって聞かれる。

「なに人なの?」とか「ルーツはどこ?」と聞くのは、年を聞いたり、年収を聞くのと同じくらい、とても失礼だと思う。
親しくなっていく過程で、「この苗字はドイツっぽくないけど、どこの苗字なの?」とか、「何語が話せるの? そうなんだ、親戚とかいるの?」というように、外堀から埋めていくのはOK。
日本でいう「子どものころ見たアニメは何?」で世代を推測するようなもん?!

「人種差別はいけない!」という意識が高まってから、多民族化しているからだ。
ドイツ語で人種のことをRasseと言っていた。
なので、人種差別のことを、Rassismus(直訳は「人種主義」)という。
しかし、Rassismusという言葉は残っているものの、人間に対してRasseという言い方をすることが今やタブーだ。
ちなみに犬種などではいまでもRasseを使う。

もちろん、地域や人による。
本当に垣根はないなんて寝言は言わない。
でも、私の娘たちの世代は、またこの地域では、比較的「人種」にとらわれないと思う。
(まあ、娘たちのクラスは純ドイツ人のがマイノリティーだしね!)
もし、誰かがそういう発言をすれば、「人種差別をしてはいけない!」というだろう。

さて、ヨーロッパカップでドイツチームのアウェイのユニフォームがピンクを基調としていて、それを見た夫は「Schwul」だと言った。
Schwulは、男性の同性愛者を示す言葉、いわゆる「ゲイ」とか「おかま」で、その配色を「おかまっぽい」と言ったわけだ。
Schwulという言葉自体は、同性愛者自身が「Ich bin Schwul(私はゲイです)」というから、差別的なニュアンスはないんだと思う。

まあ、多分サッカーを見る男性の多くは同じ感想を持ったかもしれない。
でも、まさにそれがサッカー協会の思惑で、人気のあるサッカー選手が「女性的」と思われる色のユニフォームを身に付けることで、ジェンダーレス社会を推進しようとしたんじゃないかと思うんだけどね。

そして、それを聞いた長女は激怒して、父親に向かって、
「そういう差別的な発言をすべきじゃない!
ピンクが女の子の色とか、おかまの色とか決まってないし、誰が何色を着ていても、世の中は自由だ!
そういうことを聞きたくない!」
と言ったらしい。
私はその場にいなくて、「怒られちゃった」という夫の弁を聞いただけだ。

私としては、長女が正しいと思うけど、ピンクって女子っぽい色だよね、という夫の年代的なセンスもまあ理解する。
私のころはランドセルも赤は女子、黒は男子だったもん。
だから、「私にいうのはいいけど、外とかで言っちゃダメだよ」と言うと、「もちろん、外では言わないよ!」と言っていた。

まさにこれが今のドイツで、前は率直に「どこから来たの? 中国人?」と聞いていたかもしれない人たちが、心の中で「中国人かなあ」とか思いながら、普通に話をしているんだろう。

他にも今まで夫と話したような内容だと、結婚しているかどうか、恋人がいるか、子どもがいるか、何才かといったプライベートな話も会社ではもう一切聞けないという。
まあ、本人から言うのはもちろん構わないんだけど。
日本でも徐々にパワハラとかセクハラとか対策で、個人的な話をしないようになっていると思う。
入社面接のときにも聞いてはいけないだろう。

ドイツはそこにさらに性別が加わる!
募集広告に、以前は「セールスマン求む」と書いていたのが、数年前から両性書かなくてはならなくて、「セールスマン/セールスウーマン求む」となった。
さらに、その後第三の選択肢「その他」も入れないといけないようになって、「販売員(男/女/その他)求む」という書き方に変わった。

この間聞いて、おかしくない?と思ったのは、なんと今や出生届にも「男/女/その他」という選択肢があるらしい。
生まれた子の性別なら、ジェンダーとかじゃなく、生物的な違いだけだろう!

性別で差別しないのはもちろん大変いいことなんだけど、ドイツ語には、英語のMrとMsのような敬称があるので、どっちで呼べばいいんだ?!と思う。
ドイツの女性名はほぼaで終わるので、aで終わらないと男性名と思われ、私も大体郵便は「Herr(Mr) Tamaki」とくる。
最近気の利く人だと、「Herr/Frau(Mr/Ms)」と両方書いてくるようにはなったけど、結局これだとその他の人は選べないよね?!
ドイツ語という言語と合っていない部分だ。
(その点日本語は全部「さん」だからいいね!)

(ちなみに英語では、He/sheの代わりに単数でもtheyで呼ぶって聞いたんだけど、ドイツ語ではそれはない。
私がdas(中性名詞)って言ったら?と言ったら、夫と長女に「ものじゃないんだから、失礼だよ!」と言われた。)

若い世代はファーストネームで呼び合うから、あんまり気にしていないのかも。
いずれにしても、娘たち世代は、人種にもジェンダーにもとても進歩的な考え方をしていて、人を人としてみる。
こんな子たちが大人になるなら、色んな差別もなくなっていくんじゃないかな!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?