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ガンと共に生きる【カナダのアートセラピー1】

以前、アートセラピー武者修行で、カナダに単身飛んでしまったことがあります。

夏の終わりに決めて、ハロウィンにはカナダに居ました。
周りからは意外と驚かれなかったのが、逆に意外でしたが、トントンと決まる時ってそういうもんですね。

私が目で見て身体で体験した、カナダのアートセラピーシーン。
インターネットや本では知り得なかった、のびのびと開かれた空気がありました。

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がん患者と家族の為の施設「Callanish Society」


カラニッシュソサエティは、
がん患者と家族に対して、癒しの場を提供している非営利団体。


医師、カウンセラー、アートセラピスト、ミュージシャン、作詩家、
マッサージ療法士、ヨガティーチャー、コック、といった各分野のスペシャリストと、ボランティアで構成されています。


理事長のジェニーさんや、アートセラピストのグレッチェンさんのお話を聞いて、
私が受け取った事。


「がん」という病と闘うのではなく、共に生きる。

がんは、本人と周りの人にとって影響力が大きい病といわれます。

もし私が、自分の命が長くないと知らされたら、どんな薬ももう効かないと言われたら、どんな気持ちだろうか…と想像しました。

たとえ自分の命の終わりが目の前にあっても、
家族への愛情や、自分へのいたわり、感謝が感じられる時間を過ごせる。


病を人生のすべてにするのではなく、
どんな時も、
その人本来の魅力、思いやり、温かさ…
その豊かさと共に生きられる。


そんな場所があるとしたら…?
なによりもありがたいんではないか、そう感じました。

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穏やかな晴れた朝。

私が訪れたのはバンクーバー市内のとある一軒家でした。

ここは、利用者が日常的に通うための場所。
中は、天窓から優しい光が建物全体に降り注ぎ、それはそれは気持ちがいいんです。

くつろいで話が出来るホールにはストーブがあり、
まるで自宅にいるようなアットホームな雰囲気でした。

そして各部屋では、様々なセッションが行なわれます。

カウンセリング、
アートセラピー、
箱庭療法、
クリスタルボールによるミュージックヒーリング、
セラピストによるギターや歌のセッション、など…

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↑いたるところにさりげなく、セッションの道具が置いてある。


特に、身体を動かすことが難しいがん患者さんには、
音を使ったヒーリングを行うことが多いそうです。

音楽療法士の佐藤由美子さんも、聴覚は最後まで残る感覚だと言われていますね。

また、一角には亡くなった仲間をおもうための、祈りのスペースが設けられていました。


カラニッシュソサエティには、もう一つ施設があります。
それが活動の中核になっている、集中的なリトリートを行なう場所。

カナダの大自然の中にあるロッジでの、
状態や体調に合わせた数日~1週間のプログラム。

ここで、がん患者の方と家族は、ゆったりと心の癒しと活性化を体験します。

朝の空気の中で、ヨガをして一日が始まる。
川のせせらぎの音に耳を澄ませ、
森や庭のベンチで詩を書く。
おいしいご飯を皆で食べたり、ドラムのセッションをしたり、
願いを込めたドール作りをしたり…

アート(音楽、造形、絵画、詩など)、友達、笑い、自然、食事…
こうした要素が、根源的なケアに重要だと考えているそうです。


そして、注目すべきは、このカラニッシュソサエティのプログラムによって、症状の改善例がいくつもあること。

実際、この場にいたスタッフが、
「私はがん患者として通っていたけれど、現在はサポートスタッフなのよ!」と笑顔で自己紹介してくださり驚きました。

がん治療も視野に入れた、アートセラピー。
カラニッシュソサエティは、慈しみと平穏な空気で満ちている場所でした。

(※私が運営しているアメブロでの記事を修正したものです。)


ありがとうございます。サポートは、日本画の心理的効果の研究に使わせていただきます。自然物由来の日本画材と、精神道の性質を備える日本画法。これらが融合した日本画はアートセラピーとなり得る、と言う仮説検証の為の研究です(まじめ)。