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「維新」とは何なのか…

『…今回調査の政党支持率では、吉村氏の所属する日本維新の会が11%(4月の前回調査5%)に伸ばし、立憲民主党の9%(前回9%)を上回った。』


  一カ月前の産経Gの世論調査で立憲を抜いて野党の支持率第1位に躍り出たと報じられた「維新」の支持率が吉村知事への高評価も相まって、さらに伸びているようだが、一体なぜこんなことが起きてしまうのだろうか?

 この私のツイートにも多くの、特に関西在住の方から賛同というか、もっと非道い実態を憂うメンションを頂いたが、「維新」の人気を支えているのは間違いなく、テレビを中心とした「メディア」

 吉村知事への高評価も新型コロナの問題で彼がそのメディアに、それも今や関西だけではなく全国のメディアに出ずっぱりという現状がもたらしていることは明らかだし、そこに更にここに来てメディアでの露出度が急増している「維新」の生みの親、橋下徹の人気も加わっている。

 こういう「維新」の政治家とテレビを中心とした「メディア」、更にはもはやこちらも全国区になっている「吉本」の芸人がスクラムを組むカタチで人気を盛り上げ、大阪の地域政党に過ぎなかった「維新」が全国区に、それも立憲を抜く野党第一党の支持率を収めるまでに躍進しているのだろう。

   このメディアミックスが支える「維新」の人気の根底にあるものについても考えてみたい。

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 twitterで見かけてリツイートもさせて頂いたが、この「ヤンキー」的なメンタリティ、つまり「反知性主義」こそが「維新」という集団の人気の源になっているのも間違いない。

  安倍の本質を「反知性主義」として批判する論説はよくあるが、「維新」の本質もまたこの「反知性主義」であり、「反エリート」や「反インテリ」、「反公務員」、「反東京」、「反ええかっこしい」、「反建て前」、「反反差別」などといった、多くの人々の妬み嫉みやルサチマンめいた鬱屈した感情が彼らを支えていると考えていいだろう。

 因みに、大阪の人々のメンタリティを「反権力・反権威」で捉える話もよくあるが、それは間違い。大阪弁にある“○○が何ぼのもんじゃ!”、“正味の話”、“ええかっこすな!”etc.の言葉に象徴される程度の「反知性主義」的な感情の問題に過ぎず、明治維新以降の日本人としての権威主義的な社会的性格は戦前を見れば判るが、大阪も変わらない。

 で、この「感情」レベルの問題というのが実は重要で、例えば「維新」の代表的なやり方として「公務員叩き」があるが、彼らが叩くのは市バスの運転手など下っ端の公務員であり、霞が関の官僚ではない。
勿論、彼らは官僚の悪口も言うが、それこそカジノや万博などの開発計画、関空の滑走路整備、地下鉄民営化などの事業から都構想まで霞が関の官僚の協力なしに出来ることではないし、市バスの運転者はクビに出来ても霞が関の官僚とは手を組むしかないのだ。

 そう、全ては「感情」レベルなのだから、本当に中央政府や官僚と戦う必要はなく、下っ端の公務員をクビにして、官僚や国会議員に向かって暴言を吐き、彼らの悪口を言い、“クビにしろ!給料を減らせ!”とだけさえ言っていれば、多くの人々の胸のつかえは下りるし、それで充分なのだ。

 そもそも彼ら「維新」の政策は、橋下擁立の立役者になった堺屋太一、ブレーンとなった竹中平蔵などで判るように典型的な「新自由主義」政策。
   “小さな政府”で、民営化や福祉削減、公共事業削減などの緊縮政策は推し進めるものの、民営化などの利権をめぐって民と官のレントシーキングは避けられず、政商やレントシーカーなど官民の癒着構造を生み出すだけ。

ところが感情的な「公務員叩き」はこの歪んだ官民の癒着構造を隠した上で、民営化などの利権漁りが推し進められる訳だから、ペテンのようなもの。

 一例をあげれば、「維新」は橋下市長時代から訴え続けて、2018年4月に大阪市営地下鉄を民営化したが、これは1933年から長い期間を掛け、今の金額で1キロ当たり195億円という莫大な建設費で作ったもの。
勿論、その費用は大阪市や国などの税金が使われるわけで大阪市も借金だらけになる訳だが、鉄道は路線が完成すれば利益だけを生んでいく。

 事実、大阪市営地下鉄も2010年には収益率25.1%と日本で最も儲かる地下鉄になっていたという。このこれから市民にとっては利益を生んでいくだけの打ち出の小槌、今つくれば2兆5300億円も掛かる地下鉄をたった4843億円で「維新」は民間企業に叩き売っているのだ。

 それでも大阪市営地下鉄の職員がヒゲを生やしているとか、態度が悪いとか、トイレが汚いとかいう、感情に訴える「公務員叩き」をすれば多くの大阪市民はこんな彼らの利権や癒着には気づきもせず、「民営化」に快哉を叫んでくれる訳だからチョロいものだろう。

 また今も新型コロナの対策で吉村知事が打ち出す「大阪モデル」などをメディアが大きく取り上げ、それが「維新」の人気を支えている訳だが、それにもこんな話がある。

 何で新型コロナ対策で通天閣や太陽の塔をライトアップするのか私には不思議だったのだが、電気設備の利権があるとすれば納得できる。それだけではない。

 なぜか税金を使った医療従事者への支援が現金ではなく、メッセージを書けるという珍妙な理由でQUOカードにするとなっては、またまた利権の疑いしかないのも当然だろう(因みに、「QUOカード」はそもそも大阪発祥の住友商事グループ。勿論、関係があるのか、ないのかは不明だが…)

 言い方は変だが、こういう瑣末な利権から大阪市営地下鉄などの民営化や施設売却、そして万博やIRカジノなど大規模な利権まで、政治を食い物にする徹底的な利権漁りも「維新」の特徴であり、本質だろう。

  この万博も税金での負担という意味では大阪だけの問題では済まないし、とくにIRカジノなどは「維新」が2010年に真っ先に打ち上げたような代物。

 それが悪しき方向で全国に広まっていった訳だから、「維新」の徹底した利権漁りのような手法は安倍政権を通じて、日本国中を蝕んでいると言っても過言ではないのだろう。

 で、何よりも「維新」の本質、「維新」とは何なのかを考える上で、この安倍政権、安倍との関係こそが重要なのだが、それはまた次回に…。


               ※image by「日本維新の会」HP


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