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内閣総理大臣 安倍晋三に出来ること

「安倍の部下」に過ぎない内閣法制局長官が立法、司法、行政の全てを通じて、事実上、この国では唯一の“憲法の番人”になっているという話を昨日したが、これは安保法制の時の「集団的自衛権の行使容認」のような解釈改憲を安倍が自由に出来るということを意味する。

…こんな恐ろしい話もないのだが、もう一度、改めて内閣総理大臣を務める安倍晋三には何が出来るのかを考えてみたい。

日本国憲法 第五章 内閣

〔内閣総理大臣の職務権限〕

第七十二条 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について
          国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。

「日本国憲法」に書いてある内閣総理大臣の職務権限は実はこれだけしかない。

ただ、内閣総理大臣が内閣を構成する他の国務大臣を任命したり、自由に罷免する権限を持っている内閣の長であることを考えれば、以下の内閣の職務権限も内閣総理大臣が自由に出来る事ということになる。

〔内閣の職務権限〕
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。
     但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

 この他にも憲法の他の項目で定められた「国会(臨時会、緊急集会)の招集の決定」や「天皇の国事行為について助言と承認」などの権限もあるが、やはり重要なのは「最高裁判所判事の任命・最高裁長官の指名」という権限だろう。

勿論、長官を含めた最高裁判事は「最高裁判所裁判官国民審査」という国民の審査を受けなければならないのだが、これが今までただの一人も欠格とされた事がないように全く有名無実化している。つまり、実際には「司法の長」である最高裁長官を含めた最高裁判事を内閣、内閣総理大臣が自由に選べる訳で、それこそ安倍晋三は「行政府の長」であると同時に、実質的な「司法の長」でもあると言ってもいいのかも知れない。

ここまで書いてくれば、次はどんな話になるのか、察しのいい方はもう判るとは思うが、そう、三権分立でいう三権の残りの一つ、「国会」の話。

安倍は『私は立法府の長ですから』と何度も失言してよく問題にはなるが、ご存じの通り、「立法府の長」は衆参両院の議長。

   ただ、忘れてはいけないのは、安倍は内閣総理大臣であると同時に自由民主党総裁でもある点。政党政治で議員内閣制を取っているこの国では、国会で多数を占める政権与党のトップが内閣総理大臣になるのは必然だし、「立法府の長」である国会議長も国会で多数を占める政党から選ばれる以上、(衆参のねじれがある場合を除いて)それこそ政権与党のトップでもある内閣総理大臣の配下が選ばれることになってしまう。

   更に問題なのは、安倍も間もなくまたするのではないかと噂されているように、内閣総理大臣が国会、衆議院の解散権を持っていること。勿論、これは上で紹介した憲法の内閣や内閣総理大臣の職務権限のどこにも書いていない通り、吉田茂がひねり出した奇策、解釈改憲の一つに過ぎないのだが、もはや「解散は総理の専権事項」などいう言葉が平気で罷り通っている有り様。

    現実的には内閣総理大臣の安倍はいつでも自由に衆議院議員のクビを切る権限を持っている訳で、これもまた実質的な長、「立法府の長」は安倍晋三である、と言っても間違いではないだろう。

    と、ここまで内閣総理大臣の安倍に何が出来るのかを考えてきたが、正式に「行政府の長」である安倍晋三は、実質的には「司法の長」、「立法府の長」でもあるということになる。

   そして、最後にもう一点だけ、付け加えれば、これは憲法のどこにも書いてはいないのだが、内閣総理大臣の安倍晋三は自衛隊の最高指揮監督権を持つ人間で、武力攻撃や侵略、緊急事態に警察では治安維持が不可能な場合などには自衛隊に出動を命ずることが出来るのだ。(自衛隊法7条,76条「防衛出動」,78条「治安出動」)

 三権分立や民主主義、立憲主義が有名無実化しているとかいったどころの話ではなく、これほど恐ろしい話はないと思うのだが…。


                                                                                 ※Photo by yuhikaku.com





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