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風の中のマリア:百田尚樹(著) おススメ本【勝手に宣伝!】

まだ読んでいない貴方。既に読んだ貴方。何か面白い本がないか探している貴方。是非、お立ち寄りください。
※宜しければ小説家百田先生のことについて書いてあるのでこちらも参照ください。

こんな人にマッチするかも

・人生の意味が少し悩ましい
・社会における自分の存在意義を考えてしまう
・「私は組織の働き蜂か?」と思ってしまう時
・生物界でも珍しいオオスズメバチの生態に興味がある

おススメポイント

○興味深いオオスズメバチの生態系
知らない人、多いと思います。「人を襲う狂暴な生き物」と思っていないでしょうか。完読後、誰かに教えてあげたくなること必至
○人間界とオオスズメバチ界の共通点を見出してしまう
別世界の話ではなく、自分事のように入り込んでしまう。人間が忘れかけていた事も気づかされたり、共鳴する事も
○物語の完成度、著者の表現力
物語自体が面白い。リアルに描かれていて、読みやすい。難しい生態事象もスッと入ってくる

オオスズメバチ(ワーカー)の生態を擬人化した物語、と書くと「現実味がなく興味がもてない」と思う人がいるかもしれないが、そいう人こそ一度読んで欲しい。そのギャップが満足度を増すはず。
一匹の女王蜂(神様のような存在)と多数のワーカー(奴隷のような存在)がいる生態系、封建制度、こんな風に思った事はないだろうか。そういう人にも読んで欲しい。実はそうではない事が分かる。

ストーリー、読みどころ

[文庫本裏表紙の内容紹介]
命はわずか三十日。ここはオオスズメバチの帝国だ。晩夏、隆盛を極めた帝国に生まれた戦士、マリア。幼い妹たちと「偉大なる母」のため、恋もせず、子も産まず、命を燃やして戦い続ける。ある日出逢ったオスバチから告げられた自らの宿命。永遠に続くと思われた帝国に影が射し始める。著者の新たな代表作。
[帯紹介]
百田尚樹が描く命をかけた戦い。
想像を超えたこんな世界があったのか。
めったに味わえない興奮。

オオスズメバチ(ワーカー)の一生を見事に完結している物語。
愛とは。生きる意義とは。子孫繫栄。生存競争。人間と同じ事が盛り込まれています。
オオスズメバチはなぜ最強なのか。一番大事なものは何か、自分の命よりも大事なものは何か。個々の強さと組織の強さについてふんだんに描かれています。

「時々、自分の一生を考える時がある。自分たちワーカーは何のために生まれてきたのだろうって」
「すべての虫は子孫を残すことが一番の目的なんだ。しかしあんたたちスズメバチのワーカーは交尾もしなくれば、子供も産まない。一体、何のために生きているのか、わからないね。」
「誇りあるヴェスパの娘、マリア。あなたの務めを果たしなさい。」
「アストリッドが自分の務めを果たしたように、自分もまた務めを果たすだけだと思った。」

人間界でも強い組織とは、規律がとれていて、個人の裁量も委ねられている事が必要。そして誰もが自分の役割を理解し、その責任がとれる事が強さを生むのではないだろうか。
本小説では、女王蜂・ワーカー・幼虫・成虫・オス・メス、差別があるように見えるが実はそうではなく、それぞれ立場は違うがそれぞれを全うしている事が描いている。
組織作りの重要な部分が垣間見えてくる。
上の者があぐらをかき、下の者だけが犠牲になる組織図は長くは持たないであろう、、そんな事も想像させる。

最後に

まず、なぜ百田先生がオオスズメバチを題材にしたのか、目を付けたのかが気になってしまう。擬人化させて、ワーカーを主人公にして、物語構成はこうして、、と構築していくセンスにも尊敬してしまう。

また、本小説でも百田先生の圧倒的なインプット力に触れられる。
蜂球(ほうきゅう)、エサ場マークフェロモン、といった独特な生態をリアルに描くには、豊富な情報インプットが無いと出来ない。そして、それらを分かり易く描いているところは専門家も飽きさせないであろう。

更に、ブラックな表現もリアルに描くスタイルは変わらない。
リアルな捕食シーンは残酷ともとれるが、それは生きていく為に必要な行動であり、人間界の所謂”もったいない”事はない。リアルに描くことで美しくも思える。

尚、タイトルの「風の中のマリア」という言葉は作品中に出てこない。そこも何かメッセージ性があるのかと考えさせられる。。

多くのと新鮮な知見が増え、その世界観に自然と入り込める本作品、オススメです。

風の中のマリア
講談社文庫
560円+税
2011/7/15(2009年3月刊行)

※他の百田さん作品集、マガジンにしています。

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最後までお読みいただきありがとうございました。
「完読後もまたこちらに訪れてもらえると嬉しいです。」
「友達に家族に勧める際に、今回の紹介が参考になると嬉しいです。」
Best of luck

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