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文楽「双蝶々曲輪日記」



イラストAIをはじめて使いました。
粗を隠してくれるのかと。
こちら、原型なし。

でも、これは割とかわいい。
小説の挿絵とか、頑張れば使えるのかも



文楽「双蝶々曲輪日記」




旦那さんと一緒に双蝶々曲輪日記を観てきました。


文楽は歌舞伎の前身であり、歌舞伎の動き方は人形の動きが下地になっています。


そして、突然げっすいお金の話ですが、文楽はユネスコ無形文化遺産ながら、歌舞伎とは知名度に差があり、継承者不足で今も存続の危機に瀕しています。


双蝶々曲輪日記は、年末の海老蔵襲名・顔見世での昼の演目になっていましたが、歌舞伎は一月前から予約しようとするも最低金額6000円でもほとんど空きが無かったのに瀕して、祝日当日ながらチラホラ空きがあった文楽との差は明白でした。


双蝶々曲輪日記では、堀江相撲、難波裏喧嘩、八幡里引窓の段


堀江相撲では、関取の濡髪長五郎が贔屓を受けている与次兵衛の息子・与五郎が、遊女の吾妻を身請けしやすくするため、同じく与五郎と吾妻を巡り敵対する平岡に贔屓を受けている、放駒長吉と話をします。

相撲で手心を加えられたことを知った長吉は激昂するところで幕はおりますが、姉のお関になだめられ、長五郎の意を汲むことにします。


難波裏喧嘩では、与五郎が吾妻を身請けしたところ、平岡に取り押さえられ乱暴されるのですが、助けに入った濡髪長五郎は、平岡と手下の侍を殺してしまいます。


八幡里引窓の段

落人となった長五郎は、幼少の頃生き別れた母に一目会おうとします。

けれど、実子と別れた母親は、郷代官の後添えとなっていて、義理の息子は一度は職を召し上げられたものの再び郷代官に任ぜられ、落人・長五郎の捕縛を命じられます。


実子に人殺しの科があることを知った母親は、実子への情と義理の息子への義理立てに悩み、自分のへそくりで姿絵(指名手配書)を買い取りたいと申し出ます。


引窓の段とあるように、代官と会わないよう二階へ行っていた長五郎は引窓から様子を伺うのですが、水盆に顔が映り与兵衛にさとられてしまいます。


遊女であった自分に良くしてくれたという理由で、姑への恩が大きかった与兵衛の妻おはやは、咄嗟に窓の紐を引き閉じます。


けれど事情を察した与兵衛は、継母と嫁の気持ちを汲み、河内への逃げ道さえ仄めかして外出します。


人相書を誤魔化すため、長五郎の前髪を剃り落としますが、母親は父親譲りのほくろを剃り落とすことができません。


母親と義理の兄嫁が自分を逃がそうとすることが心苦しく、いっそ捕まりに行こうとする長五郎ですが、ならカミソリで自害する、と母親に言われ、進退窮まってしまいます。


そこに「濡髪捕った」の掛け声とともに投げ込まれた路銀、長五郎の顔にぶつかり、ほくろがつぶれます。


河内まで逃げ延びろ、という義理の兄・与兵衛のはからい。


けれども、長五郎は母親に、あまりに義理兄の気持ちを蔑ろにしていると窘められ、縄で自分を縛るように言います。


息子の意見をもっともだと受け入れた母親は、悲しみながらも息子の捕縛を受け入れ、「濡髪を捕まえた」と郷代官・与兵衛を呼びます。


与兵衛は日の出とともに長五郎の縄を切り、「今日は放生会だ」と言って去ります。(放生会とは家禽家畜?を放つ仏事らしいです)



舞台を中心に、床と呼ばれる太夫と三味線弾きが並ぶのを見るのが好き。


袴の上着、あの肩が三角になっているベストみたいなのを着ているのですが、色が舞台の雰囲気によって変わる。

台詞回しと三味線を聞いていると、胸のすく思いがします。


出囃子の細棹と比べて、太棹三味線は太く、鉢も形がシュッとしています。駒は水牛で、黒光りしていて席からも高級感が伝わってきます。



まあ、ただ、「お話」だけにフォーカスすると、いまの価値観とはだいぶ違う

双蝶々曲輪日記なんかは、今見ても涙するけれど、近松門左衛門脚本の冥途の飛脚など、主人公がクズなんだな…



帰りに二つ井戸を眺めてきました。










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