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キングオブコント2020の審査員が口々にコメントした「裏切り」と「爆発」について

2020年9月26日、今年もコントの王者を決めるキングオブコントの決勝がTBS系列で放送された。

優勝は芸歴17年の「ジャルジャル」。キングオブコント初年度から13年連続で出場し、彼ら自身も”13度目の正直”と優勝を掴むまでの苦労と努力を振り返った。

ジャルジャルによって毎日Youtubeにアップされる「ジャルジャルタワー」をコントをすべて視聴するほどのジャルジャルファンである私は、悲願の優勝をテレビの前で心から喜んだ。

そんな喜びもさておき、キングオブコント2020について気になることがある。

審査員が口々に”裏切り・爆発がほしかった”とコメントした」こと。

賞レースでは、現場の雰囲気が採点の大きな要因となり得る。例年、初めのコンビは様子見で点数が付けられ、後半にいくにつれてウケやすくなり、点数も併せて高くなっていく傾向がある。(例外として2001年の中川家はトップバッターで優勝を勝ち取ったが…。)

したがって、現場の堅い雰囲気をいかにドッと湧かせるかが重要になってくる。それだけネタの順番は順位に大きく影響を及ぼす。

今年は無観客という中、いつも以上にトップバッターのプレッシャーが大きく、会場の雰囲気を作ることが困難な年であったと考えられる。

しかし、それをさしおいても、笑いのレベルが低かったのではないかと考えられる。会場が温まらないまま、前半の数組は445点付近で拮抗し、今年は熱戦だと評された。しかし、コメントでは厳しいものが多く、なかなか振り切らないなというのが正直なところであった。

本題に移るが、今年の決勝出場者に対して審査員が「もうちょっと…なにかこう、裏切りが…。」とか「爆発を期待してしまった。」と、口を濁しながら発言するシーンが多く、一際目立っていた。

それが一組ではなく、複数組に言われたものだから、気にならないではいられなかったのである。

以下、気になったネガティブ発言。

滝音(1st 445点)に対して・・・
  大竹「単調」
  松本「沸点が最初が一番高かった」

GAG(1st 445点)に対して・・・
  設楽「もう1個話の展開がほしかったかな」

ロングコートダディ(1st 446点)に対して・・・  
  松本「頭が沸点になってしまった」
  設楽「爆発を待っちゃう」

うるとらブギーズ(1st 440点)に対して・・・
  設楽「もっとハネた何かを期待してしまう」
  大竹「この先を期待しちゃった」

こうした辛口のコメントをぶつけられたコンビは総じて芳しい点数をつけられなかった。GAGに関しては、話の展開に申し分はない気もしたが、審査員には物足りなかったのだろう。


一方で、優勝したジャルジャルは、ジャルジャルらしいしつこいネタで高得点をたたき出した。めざましい展開があったとはお世辞にも言えない。

しかし、恐ろしいほど面白かったし何も考えられず腹を抱えて笑ってしまう魅力があった。

また、勝利には至らなかったものの、ケンタウロスのネタをしたニッポンの社長(1st 454点)に対して設楽は「世界観をぶつけられた」、3位に輝いた空気階段に対して松本は「キャラがずっと面白かった」とコメント。1度突きつけた世界観がハマってしまえば、笑いのゾーンへ引き込めるということである。

上記3組は、”ヤジを飛ばすおじさん”、”体だけケンタウロスと顔だけケンタウロス”、”しゃべり方独特な板子”といった、際立ったキャラが登場した。

「キャラがずっと面白かった」というコメントのように、二転三転する展開を持ち合わせずとも、爆発的な面白さを出してしまえば、観客をグッと最後まで惹きつけることが出来ることが分かる。
現に、2017年に準優勝したにゃんこスターは、一発目の爆発が最後まで冷めやらぬうちに準優勝という快挙を果たした。(その後の活躍はさておき)

したがって、賞レースで評価されるコントには、必ずしも大きな展開や裏切りというのを要さないということになる。となると、やはり点数の低かったネタはそれ以外に惹きつけられる面白さというものが足りなかったのか。

キングオブコントで審査員に物足りなさを感じさせてしまったコンビは、ネタの本質的な「弱さ」が今後の課題になってくるのだろう。

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