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【マーケティングトレース vol.14】 freee株式会社

こんにちは。今回は、クラウド会計を扱っているfreee株式会社のマーケティングトレースを行います。2019年に上場を果たし、成長を続けている注目の企業です。

私の業務自体はマーケティングなので、会計や労務ソフトなどは扱ったことがないのですが、以前派遣会社で営業をしていた時に、中小企業の担当者の方が「freeeの会計ソフトを入れて業務を回している」という話をよく聞いていました。

freeeのミッションは「スモールビジネスを、世界の主役に。」です。中小企業や個人事業主をメインの顧客と定めており、スモールビジネスをおこなう企業をサポートしていくためのサービスを次々に打ち出しています。

今回はそんなfreee株式会社のマーケティングトレースを行ってみたいと思います!


■会社概要

会社名:freee株式会社
設立:2012年7月
資本金:161億603万円(資本準備金等含む)
従業員数:506名(2019年6月末時点)
本社:五反田(札幌、広島、京都にも営業所あり)

2012年に設立して、そのわずか7年後には上場を果たしてしまうというすごさ。。上場前の評価額は646億円にのぼり、海外からの株式の売り出し等を行うグローバルオファリングを実施して、株式募集・売出比率のうち7割が海外投資家からという評価も得ておりました。

【売上高】
売上高は上場以降も拡大をしており、2020年6月期は、同+56.1%の15億8,000万円にのぼっています。

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引用)2020年6月期 第2四半期 決算説明資料 freee株式会社

【営業利益】

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引用)2020年6月期 第2四半期 決算説明資料 freee株式会社

こちらも着実に赤字額を減らしており、営業利益は▲5億9.500万円となっています。SaaSの売上拡大とS&M比率*1 などの費用が適切な割合になったことで改善されていっています。
今までは、エンジニアの採用費用やマーケティング予算に多く費用をかけていたため、営業利益が大幅にかさんでいたのですが、現在はその体質改善をはかり、適切な予算を組んで実施しているようです。

*1  Sales and Marketingの略称。販売促進に係る広告宣伝費やセールス人員の人件費や関連する経費及び共通費等の合計

■ビジネスモデル、サービス概要

freeeのビジネスモデルはいたってシンプルでクラウドソフトのSaaS型のサービスになります。

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引用)STARTUP DB 「スモールビジネスを、世界の主役に。」フリーのIPOサマリー

【主なサービス】

会計フリー
個人事業主や中小法人を対象に月額定額制で利用可能な、クラウド上で管理できる会計ソフトです。銀行機関や各種労務ソフトとも連携が可能で、毎月の請求書発行や入金の対応、帳簿の作成ができます。また、個人向けには確定申告の処理などができます。
サービス料金もプラン別で用意されており、非常に使いやすい料金体系になっています。

人事労務フリー
給与計算、年末調整、勤怠管理などの労務業務を一元化するクラウドソフトです。勤怠データからWEB明細を自動作成し、マイナンバー等の管理も可能になります。

その他、会社設立フリー、開業フリーなどがあります。

サブスクリプションのビジネスモデルで安定的な売上を得ており、継続的に収益をあげられる構造となっています。

■会計ソフトの市場

freeeの考える会計・人事労務の市場規模は、約1.1兆円にぼると試算しています。また、クラウド会計ソフトウェアの市場に関して、中小企業における会計ソフトの日本の普及率は海外と比べるとまだまだ低く、開拓余地があります。

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引用)2020年6月期 第2四半期 決算説明資料 freee株式会社

一般的な中小企業は、オンプレミスで会計ソフトを利用をしているところがおおく、まだまだクラウド型に切り替えるにはスイッチングコストを考慮して、移行しきれない企業も多いようです。しかし、設立1年以内の企業においてはクラウド会計ソフトの利用率が高く、より効率的に運用が可能なサービスへの移行がしやすいと言えます。

クラウド会計ソフトの競合というと、マネーフォワード、弥生会計などがあげられます。競合とのシェア率を見ると、従業員数300人以下の中小企業においては、freeeがシェアTOP。個人事業主においては、弥生会計がシェアTOPという状況です。

従業員300名以下のシェアスクリーンショット 2020-04-30 4.54.32
引用)MMRI クラウド会計ソフトの法人導入実態調査
個人事業主のシェアスクリーンショット 2020-04-30 4.58.07
引用)MMRI クラウド会計ソフトの利用状況調査(2019年3月末)

中小企業向けには着実にシェアを伸ばしているものの、競合も負けず劣らずで顧客を獲得しています。

その現状を踏まえ、各種分析をおこなっていきます。

■PEST分析

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クラウドのバックオフィス関連のソフトは導入されやすい環境は整っているものの、昨今の景気停滞が予想される中でいかにして顧客との接点をもち、導入障壁を減らしていけるのかが鍵になりそうです。

■競合分析

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参考)

freeeは他と比べると料金体系が安く、会計以外の機能が豊富なことがわかります。また、他サービスへのAPI連携の強化、クレジットカードへの対応などもしており、より利便性の高いサービスとなっています。

■4P分析

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プロモーションに力を入れており、会社設立当初はAmazonや書籍を活用したマーケティングを実施して、大きく利用者数を伸ばしました。また、約300の税理士や会計事務所とパートナーシップを組んでおり、そこからの顧客獲得もおこなっています。

こうした複数のチャネル開拓を行い、同時にサービス開発に力を入れてユーザービリティを強化していったことが大きな成功要因かと考えています。

■自分がCMOなら

すでにクラウドソフトを導入している企業の場合は、切り替えてもらうのが難しいと考えると、このコロナ状況下でも新規顧客との接点をもち、リードを獲得しないといけません。また個人事業主の導入が少ないことから、こちらも新規顧客を獲得して導入数を増やしていくことが、今後の売上拡大に向けて必要になりそうです。

【新規顧客の獲得】

●ウェビナーの開催
現状もウェビナーを開催していますが、定期的に開催するノウハウ系の講座や無料相談会の枠を拡充して顧客との接点を増やします。またサービスごとにセグメントが明確になっているため、ウェビナー自体もセグメントを分けて実施しやすく、リード獲得との相性が非常に良いと考えます。
ウェビナー開催後のフォローアップが非常に重要になりますので、今いるフィールドセールスの部隊をインサイドセールスに回して、オンライン上でのリード育成にシフトして対応を行う必要があります。

●動画広告の制作
在宅勤務が主流になり、動画を閲覧する時間も全体的に伸びているようです。youtubeなどに配信できる動画広告を拡充することで今まで以上に顧客接点を増やすことができると思います。またfreeeは会計ソフト初心者向けの解説動画などのコンテンツをyoutubeチャンネルに豊富に持っており、そこからのCVも期待できます。



以上が、freeeのマーケティングトレースでした。


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