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チー牛の恋愛下克上 男磨き連載小説

プロローグ

俺は都内の、そこそこ有名な大学に通う大学生だった。大学生になれば可愛い彼女ができて恋愛できると考えていた俺は、とんでもないバカだった。アニオタの俺は女の子と話すことそれ自体が苦手だった。
そんな俺を変えたのは、小さな出会いだった。
ある夏の水曜の1限のマクロ経済学の授業だった。
いつも前方の右にすわっている。四等分の花嫁のミク似の彼女が好きだった。この退屈な学校生活において彼女が癒しのオアシスだった。
「ようチー牛」
気軽に声をかけてきたのは、チャラそうな金髪の男だった。
「わりいんだけど、この授業のノート見せてくんね?」
ノートを貸し借りするのは珍しくない。このチャラ男は同じクラスだが授業で一回も見たことがない。
「なんで貸さないといけないんだ。」
チャラ男はニヤリとした。
「さっきお前あいつのこと見てたろ」
ミクのことを指さし俺をニヤニヤして睨むチャラ男。
「おっ俺はそんな。」
「いいもの見せてやるよ。」
チャラ男はスマホを取り出して。AVを見せてきた。そこにいたのはミクとチャラ男だった。
俺は目を疑った。あの大人しそうなミクがチャラ男と頭の中がショートしそうだ。
「あの佐藤のハメ撮り動画と画像と交換しないか。」
「……わかった。」
俺はムラムラと怒りとが合わさったままノートを手渡した。俺が眠たいなかとった1限のマクロ経済に休まず出ていた時もミクとセックスをしていたんだろうか。そんなことを思うと発狂しそうだった。チャラ男は俺のラインに画像5枚と動画を送ってきた。取引は成立した。

 その日の授業はスマホのミクと教室のそばのミクを交互に見ながら、敗北感のような気持にさいなまれていた。チャラ男とミクが寝ているという現実を受け入れられない。授業の内容は頭に入ってこなかった。
「ノートサンキュ」
「ああ。」
「それじゃ。」
チャラ男はノートを返すと陽キャグループに紛れて教室を出て行ってしまった。

夜、一人のアパートで悶々とした俺は裸でピースするミクの写真を見ながら、オナニーした。そして、しばらくして涙があふれてきた。
「ちきしょう……。」
俺は、あのチャラ男以下っていうのかよ。
写真のミクの笑顔は俺に向けられたものではなかった。明らかにチャラ男に向けられたものだった。俺も可愛い子に笑いかけてほしい。俺はもう一回抜いてから目を閉じて眠りに落ちた。

つづく
チャラ男にモテる秘訣を訊く俺。チャラ男の意外な過去を知ることに

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