映画『カラオケ行こ!』
映画『カラオケ行こ!』を観てきました。
その感想です。
※場面描写に触れています!
原作を先に読んでいた身としては、「声変わり期の少年から絞り出される『紅』をどう表現するんだろう?」と思っていたけど、見事に落とし込まれていたように感じた。
映画ならではのクライマックスはどう演出するんだろう?と考え始めた頃に挿入されたお守りのシーンは、聡実くんが想像以上に爆発させていたけど、思春期の悩みとか表現されたいいシーンだったと思う。
私は関西弁ネイティブではないのでたまに「今のはなんて言ったんだろ…?」な瞬間はありましたが、勢いが大事ですよね。しっかり受け取りました!
映画ならではというと、『紅』の歌詞に絡めたモノローグ、映画の幽霊部員としての時間、ラブリーな顧問(代理?)の先生、ちょっと熱っぽい後輩くん、それを諌める副部長…
今回は、漫画『カラオケ行こ!』の延長線上にあるというよりは、映画という空間で拡張された世界観だったな〜というふうに思いました。
漫画の一コマ一コマを丁寧に縫い合わせていくように、漫画ではパッと切り替わる場面の間合いが補完されていた。
それは必ずしも、漫画を読んだ私の想像にあったものではなかったけど、でも映画のなかのワンシーンとして見ると、やっぱりそこに在るべきだ。となる。
とても納得感のある物語でした。
そして、漫画の表紙は雨に光るネオンが印象的な画だけど、この映画では、雷雨に始まり青空で終わる。
ポスターとかも青空を連想させる感じ。
なんというか、二次元だと雨の艶とかが二人のポップで奇妙な関係性をよく表しているな〜と唸ったものだけれど、実写は清々しい青空が似合う。
青春? そういうことなのかな。
世界や立場は違えど、まっすぐ生きてる二人の姿には、青空がよく似合うよ。
カラオケボックスで狂児にひしっと抱きつく聡実くんは解釈一致すぎてよかった。
きゅんっ、かわいいっ、と心打たれました。
ラストは、「ほんとに二人の過ごした時間が幻だったらどうしよう…?」とドキドキしていたらエンドロールが始まり、胸のあたりを押さえながら涙をこらえていましたが、最後に差し込まれていてよかった。救われました。
漫画では「学生生活を邪魔したくなかったから…」という大人の配慮が見て取れてぐっときますが、映画の、短い会話だけで伝わる二人の関係性もよいですね。
素晴らしかった〜!
まちなかを人目も気にせず走って、確保できる交通手段ギリギリ(ほんとギリ、出発1分前に乗った)で、寒暖差と息切れで頭がツーンとしながらも、ポップコーン売り場が閉まっていたって、それでも観てよかったと思えるいい映画でした!