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【読書レビュー⑤】春日武彦「恐怖の正体」

こんばんは。PisMaです。

本日は本を読んでいました。
読めたのは第5章「グロテスクの宴」。

本章では、著者の感じる「グロテスクな描写」についてまとめられています。さまざまな動物の骨格を人間の骨格にあてはめた「動物人間」、
暗く餌の少ない過酷な状況で進化した「深海魚」の外見について、などなど。

今回取り上げられた著者のグロテスクを表現する例ですが、今回の例において私はどれもグロテスクに感じたことがなかったため、あまり「これらはグロテスクの代表である」という主張にピンと来ませんでした。

「動物人間」では人間の身体が亀や馬などの骨格の構造に沿って変形した図になっており、こんなおぞましいグロテスクな表現はないといった旨のことが書かれています。
おそらくこちらの本のことを言っていると思います。確かにこの身体で生活すると思うとゾッとするでしょう。

しかしこの本の趣旨としては「動物はどの部分を発達させることによって生存競争を勝ち残っていったか」という部分であり、最も身近な人間に当てはめて分かりやすくしているのが目的の行動な気がしています。冒涜的な外見なことは同意しますが、意図がグロテスクとは違うような。

また深海魚についても、「攻撃本能と食欲だけに司られ孤独に活動する生命体。このような生き方をする人間も浅ましく見える」とのことでしたが、なんかそこまで言わなくてもというか、ちょっと違う気がするんですよねぇ。

我々は深海に住んでいないから現在のヒトの姿なだけで、同じ環境になったら深海魚のような生活をするのだと思います。ヒトがグロテスクでなく、深海魚がグロテスクだと思うのはヒトの外観を正常・普通だと思い込むからです。
生活環境の前提が違いますから、その姿で生まれた深海魚を「浅ましい」と思ったことは特段ありません。生きるのに必要な以上、嫌悪することもないんじゃないだろうか。

著者は甲殻類恐怖症があると冒頭で書いていましたし、グロテスクに関して「これはグロテスクだ」と感じる幅が広いように思います。故に個人的嫌悪を押し出した章になっているように感じました。
Twitter発の根拠が薄い本を代表例にあげるのではなく、もう少々根源的嫌悪や、グロテスクの語源から深掘りした内容が欲しかったので個人的には不完全燃焼なところはありますが…こうして考えると「グロテスクとは?」について均一した見解を得るのはかなり難しい気がしました。一度自分でもグロテスクだと感じるものについて探してみようと思います。

本日なここまで。
煮え切らない感想となってしまいましたが、新鮮かつ未熟な意見として記録に残しておきます。

お相手は黄緑の魔女PisMaでした。
グロテスク、それすなわち。

おやすみなさい。

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